「ホロライブ」のカバー、収益支えるグッズ売上にブレーキ 上期は増収減益、“VTuber卒業ラッシュ”の影響は
VTuber事務所「ホロライブ」を運営するカバーは11月11日、2026年3月期第2四半期(25年7月1日〜9月30日)の決算を発表した。増収減益で、ライブやイベント、タイアップの好調により増収したが、グッズ事業の製造原価増や在庫の評価減が響き減収となった。
VTuber事務所「ホロライブ」を運営するカバーは11月11日、2026年3月期第2四半期(25年7月1日〜9月30日)の決算を発表した。売上高は121億2400万円(前年同期比13.4%増)、営業利益は16億9300万円(同33.3%減)、純利益は13億600万円(同13.0%減)の増収減益だった。ライブやイベント、タイアップの好調により増収したが、グッズ事業の製造原価増や在庫の評価減が響き減収となった。
事業別の売上は「配信/コンテンツ事業」は22億9900万円(前年同期比5.3%増)、「ライブ/イベント事業」は19億2200万円(同68.0%増)、IP事業の「ライセンス/タイアップ事業」は20億6200万円(同39.4%増)、物販などの「マーチャンダイジング事業」は58億3900万円(同0.7%減)だった。
配信/コンテンツ事業は夏季休暇など季節的な要因が、ライセンス/タイアップ事業やライブ/イベント事業は海外展開が伸長に寄与した。一方、収益の柱となっているマーチャンダイジング事業はトレーディングカードの販売が好調だったものの、米国の関税の影響などでEC需要が低下し、売り上げは前年同期比で微減した。
さらに配信/コンテンツ事業についても総視聴時間に落ち込みが見られた。24年3月期上期(24年4月1日〜9月30日)以降、総視聴時間は上り調子で、25年3月期下期(24年10月1日〜25年3月31日)には計4億2500万時間に達したが、26年3月期上期は反落し、計3億7200万時間に落ち込んだ。ただし視聴回数は伸長しており、25年3月期下期は計29億5800万回だったところ、26年3月期上期は計33億8800万回だった。
カバーは今後、下期中にEC販売チャンネルの拡大や、海外送料の固定化を進め、マーチャンダイジング事業の需要改善を図る。ゲームを中心としたライセンス/タイアップ事業の伸長による収益向上も見込んでいる。
ホロライブを巡っては、24年に所属タレントの“卒業”が相次いだことが話題となり、ファンからは運営体制に疑問を呈する声が続出していた。
この“卒業ラッシュ”については、配信/コンテンツ事業のトラフィックに関する見通しとして「昨年度にタレントの卒業が複数見られたものの、新規タレントがけん引する形でコミュニティー全体のエンゲージメントは継続している」「今後も既存および新規タレントを通じた再現性の高いヒットコンテンツのリリースにより、持続的な成長を企図する」との見方を示した。ただし、EC売上高の短期的な落ち込みにはタレント数の減少が影響したとしている。
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