科博の「大絶滅展」に行ってみた 5億年中、5回起きた大量絶滅「ビッグファイブ」って何?(3/3 ページ)
東京・上野の国立科学博物館にて開催中の特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」。過去5億年間で5回起きたとされる大量絶滅「ビッグファイブ」をテーマにした特別展の一部を、この記事では紹介する。
大量絶滅は現代につながる
また、白亜紀末の大量絶滅を扱っているK-Pg境界のエピソード5から会場を奥に進むと、現代へと直接つながる、新生代をテーマにしたエピソード6の展示ゾーンに入ります。ここでは「暁新世-始新世温暖化極大」のような、あまりなじみがないものの重要な気候変動イベントが言及されています。
このエピソード6では、今回の特別展の目玉展示の1つで、東京・狛江市の多摩川で発見された、約130万年前の「ステラーダイカイギュウ」(Hydrodamalis gigas)の全長6mの化石が世界初公開されています。“ダイ”を省いたステラーカイギュウの和名でも知られているステラーダイカイギュウですが、この化石が世界最古のものです。この化石には、26年1月4日まで愛称が募集されています。
なお、ステラーダイカイギュウは近代まで生き残っていましたが、1768年の狩猟例を最後に目撃例がなく、絶滅したとされています。遺伝子を調べた研究により、もともと種として衰退しており、自然に絶滅した可能性もあるものの、人間による乱獲が絶滅の主因であったことは間違いありません。
今回、個人的に筆者が推したいのが、別府湾から採集された地層です。別府湾海底の地層は、特に1950年代より新しい時代では、放射性物質やマイクロプラスチック、重金属など、現代社会の痕跡が見つかっており、この変化が1年単位で分かるほどはっきりしています。
地層から文明活動の痕跡が見つかることから、現代は完新世とは別の「人新世」という時代区分(地質年代)に属するという意見があり、その国際基準点として別府湾が検討されたほどです。残念ながら、別府湾は国際基準点には選ばれず、人新世を正式な時代区分として選ぶ決議も採択されていませんが、それでも別府湾の地層は標準補助境界模式層という補助的な位置付けとして、科学的な価値のある地位にいます。
筆者としては、このエピソード6に今回の特別展の趣旨が現れていると感じました。人間による乱獲や乱開発、温室効果ガスの放出による気候変動によって、現在の地球は「第6の大量絶滅の時代」にあるという意見があります。現在が大量絶滅の時代にあるかについての賛否はさまざまですが、大量絶滅をテーマとした展示ではこれに触れることが多くあります。
しかし、今回の特別展では、大量絶滅の“絶滅”だけでなく、それに伴う“繁栄”にも焦点を当てています。このため、単に絶滅した生物だけでなく、生物保護のような未来に焦点を当てている点でも、この特別展のテーマ性が見えてくるでしょう。
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