「ポストイットの山」はもういらない――生成AIは、新規事業を共に作る“パートナー”になりうるか:もう迷わない、新規事業のススメ(3/3 ページ)
ポストイットを壁一面に貼り付けるブレスト風景が過去のものになりつつある。「生成AI」の登場で、新規事業開発においても膨大な作業から人間を解放する。市場調査に数週間かけていた時代は終わり、人間は本来の「発見」「思考」「意思決定」に集中できる環境が整った。九州大学の最新講義から見える、AIと共創する新規事業デザインの未来。
人間本来の深い思考の時間を取り戻すチャンス
生成AIの活用が進むことで、私たちは「作業」から解放されつつある。情報の収集や整理、ドキュメントのたたき台作成といったタスクは、AIが得意とする領域だ。これによって生まれた余剰時間を、人間は何に使うべきか。
それは、本来人間が担うべき「発見」「思考」「判断」、そして「意思決定」である。 AIが生成した数十人のバーチャルインタビュー結果から、数値には表れない人間の機微や本質的なインサイトを「発見」できるか。AIからの辛口レビューを受け止め、それでもこの事業をやる意義は何なのかと「思考」を巡らせることができるか。そして最終的に、リスクを負ってでもGoサインを出す「判断」と「意思決定」ができるか。これらは依然として、人間にしかできない高度な知的生産活動だ。
生成AIという強力なパートナーを得たことで、新規事業に挑戦するハードルは以前よりも下がっているといえるだろう。専門的なスキルや膨大なリソースがなくても、アイデアと情熱、そしてAIを「適切に使う」リテラシーがあれば、誰でも事業創造のスタートラインに立てる環境が整いつつあるのだ。
恐れることなく生成AIをパートナーとして迎え入れ、使い倒すこと。そして、人間は人間本来の深い思考と意思決定に時間を使うこと。それが、これからの新規事業を成功に導く鍵となるはずだ。
著者:株式会社アドライト(企業情報)
アドライトでは、オープンイノベーションによる新規事業創出や社内ベンチャー制度構築、イノベーター人材育成等、事業化の知見や国内外ベンチャーのネットワークを生かした事業創造支援を展開。事業会社だけでなく、国の行政機関や主要自治体とも連携し、未来へと続く事業を共創している。直近では、脱炭素・GX(グリーントランスフォーメーション)・クライメートテック領域に注力し、同領域に関心のある事業会社や地方自治体との共同プロジェクトを多数進めている。
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