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パイロットの「エアステップ」はなぜ気持ちよく、長く書けるのか? “アガるシャーペン”の仕組み、開発者に聞く分かりにくいけれど面白いモノたち(4/6 ページ)

パイロットの「AIRSTEP(エアステップ)」は、495円と買いやすい価格とカジュアルなデザインながら疑似的な自動芯繰り出しのような機構を搭載。とにかく書き心地が良い。

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 ちょっと回りくどい機構なので、直観的には分かりにくいけれど、書いている状態のまま、ただパイプに隠れそうになっている芯を紙に押し付けるだけなので、フレフレ機構やサイドノックに比べても、動作が小さくて済むのがポイント。使っていると、本当に自動芯繰り出しのような気分になるから面白い。


「エアステップ」の中は、こんな風になっている。チャックの上部にある樹脂製のバネがポイント

 もちろん、ガイドパイプが完全にペン先の中に入ってしまうと、もう一度クリップをノックする必要はある。ただ、この場合も、クリップはノブノック式に比べれば、握っている指に近い場所にあるので、比較的スムーズにノック操作ができる。また、この機構のチャックの後ろに付いた樹脂製のバネのおかげで、多少の筆圧は吸収されて、書き心地がソフトになるというメリットもあるのだ。

 「バネが樹脂製というのもポイントなんです。金属製のバネだとちょっとの力でも収縮しますよね。そうすると、書こうとすると芯がもぐっちゃうから字が書けない。樹脂にすることで軽い力だとバネは作動せず、意図的な力で初めて作動するという仕掛けを作れます。ソフトタッチ機構も、このバネの副産物的な感じで実現しています」と多賀さんは説明してくれた。

 バネが働く強さをある程度コントロールできるし、耐久性もあるということで、樹脂製のバネを採用したという説明は理解しやすいけれど、実際に、バネの強度や、どの程度の力で芯の押し戻しを作動させるかといった設定を決めるのは大変だったと思われる。そこが上手く出来ているからこそ、柔らかいタッチで書けるということを機能として前面に出すことも可能になっているわけで、製品作りというのが、様々な要素の組み合わせでできていることを実感する。この柔らかいタッチを生かすために、最初に入れておく芯を2Bなどの柔らかいものにしようかという議論もあったという。


エアステップ全色を並べてiPhoneで撮った写真。どの色も、エラストマー製のグリップ、レジンの軸と天冠の三つのパーツが、ほとんど同じ色になっていることが分かると思う

 この機能面だけでも、500円以下で買えるシャープペンシルとしては十分に思えるのだけど、この製品で最も苦労したのは、ネーミングであり、シェイプデザインであり、軸とグリップの色合わせだったそうだ。

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