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「中国製三脚」が問いかけてくる現実 6万円台のビデオ三脚を使って見えた、市場の転換点小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

中国SmallRigが手掛けるビデオ三脚「SmallRig x Potato Jet TRIBEX SE」は、レバー1本で3本脚が一斉展開する「X-クラッチ油圧テクノロジー」が最大の特徴だ。6万6890円という価格は同等機能の製品の半額水準。だがその革新的な機構には、プロには見過ごせない弱点もある。実機を購入し、老舗Manfrottoのビデオヘッドとガチンコ比較した。

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最大の特徴、「X-クラッチ油圧テクノロジー」の功罪

 TRIBEX SE最大の特徴は、「X-クラッチ油圧テクノロジー」だ。昨今の三脚はすでにシングルロックが主流になっているが、それでも脚部1本につき1つのシングルロックがあるため、3箇所を外さなければならない。一方X-クラッチ油圧テクノロジーは、それをワンレバーで外せるという機構である。

 ロックを外すためのレバーは、90度折れ曲がるようになっているが、どちらの角度でもレバーを握ればロックが外せる。だが通常は水平に出したほうが握りやすいだろう。


足を放出するためのレバー

 これを握ると、まずは脚部の太い方から先に伸び、続いて細い方が伸びるようになっている。重量と摩擦抵抗を使って、そのようになるよう調整されているようだ。

 脚部は一般に太い方が曲がりにくい。また二重三重に重なっている方が曲がりにくい。その物理的条件から考えると、太い方が先に伸びて、それでも足りなければ細い方が伸びるという順序は妥当である。設置する際は、三脚をカメラごと希望する高さにいったん持ち上げたのち、レバーを握って脚部を放出するという手順になる。一方収納する際は、三脚を開いたままだとある程度までしか短くならない。収納するには3本の足を全て閉じる必要がある。

足の伸縮の様子

 TRIBEX SEのヘッドはペイロードが6kgなので、三脚自身の重量も入れると最大10kg弱の一式をおりゃーっといったん持ち上げることになる。これはなかなかの重労働だ。実質的にはカメラ重量はせいぜい2〜3kgぐらいに抑えたほうが現実的だろう。実際ヘッドのカウンターバランスは4kg固定なので、カメラヘッドを振るならどのみち重量はそれ以下に抑えることになる。

 TRIBEX SE最大の弱点は、ボールレベラー機能がないことだ。Manfrottoではセンターポールの底部のネジを緩めることで、水平を微調整するポールレベラー機能が使える。

 一方TRIBEX SEは、X-クラッチ油圧テクノロジー自体で三脚の放出と水平調整をいっぺんに行えるというのがウリなので、いったんロックしてしまうと、微調整するにはまたロックを外さなければならない。これは重たいカメラをまた三脚ごといったん持ち上げるという意味である。

 微調整ならば、足のどれか1本を微調整すれば解決する場合もあるが、TRIBEX SEには1本の脚部だけを手動で伸ばすという機構がないので、3本全部の足のロックを外すしかない。これはキッチリ水平を取りたい場合は何度もやり直しになるので、やっぱり重いカメラを載せるのは厳しいということになる。

粘りの強いヘッド

 ヘッドは油圧式のフルードヘッドだが、かなり小型にできている。パンおよびチルト方向の動きはかなり粘りが強く、ネジをかなり緩めてもあまりトルクが変わらない。近距離でのスポーツ撮影など速くカメラを振るような現場では使いづらいだろう。

 マウントプレートはManfrottoクイックリリースプレートと説明されているが、一般的なアルカスイス方式で、ネジは1/4-20と3/8-16の2タイプが付属しており、付け替えることができる。ただ搭載重量のことを考えると、1/4-20で使えるカメラをメインに考えた方がいいだろう。


プレートは一般的なアルカスイス方式

 またマウント部にはStandardとRS2/RS3の切り替えボタンがある。これは中国DJIのジンバルRS2/RS3専用のクイックリリースプレートに直接対応するためのものだ。スイッチとは言っても、単に脱落防止の突起の位置が変わるだけである。

 パン棒は、スクリューを回すことで伸縮できるようになっている。昨今は短い方が好まれるとも聞くが、長短どちらにも対応できるようになっている。


パン棒最短

パン棒最長

 このヘッドは、交換可能だ。ヘッドを裏返してセンターポールの付け根の面にある3つの固定ネジを外せば、センターに3/8-16のネジがある。3/8-16のネジ穴の付いたヘッドであれば、取り付けられる。Manfrottoも同じ方式なので、MHV500AHと付け替えてみたが、問題なく交換できた。


ヘッド下のネジを緩めればヘッド交換も可能

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