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優先席巡るSNSの議論、マナー指摘し炎上ケースも 専門家「鵜呑みにする危険性」指摘

バスや電車の「優先座席」を巡るXの投稿がたびたび議論を呼んでいる。優先座席に座る人の顔の写真や動画をアップし、問題視する投稿もあり、中には批判が集まって炎上するケースも。専門家は「写真やSNSの投稿から得られる情報は限られており、うのみにする危険性を理解すべきだ」とする。

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産経新聞

 バスや電車の「優先座席」を巡るXの投稿がたびたび議論を呼んでいる。優先座席に座る人の顔の写真や動画をアップし、問題視する投稿もあり、中には批判が集まって炎上するケースも。優先座席については必要な人が座れるよう「譲り合いの精神」やマナー向上が必要なのは当然だ。一方で目に見えない体の事情を抱える人もいる。専門家は「写真やSNSの投稿から得られる情報は限られており、うのみにする危険性を理解すべきだ」とする。

「目の前に妊婦が立っていても知らんぷり」「優先座席に座る健常者」──Xにはマナーを指摘する投稿が相次ぐ。中には、優先座席に座っていた若い男性を年配の男性が注意する動画も。口論などのトラブルに発展するケースもある。

 こうしたトラブルへの懸念から、周囲に必要な人がいなくても優先座席に座ることを控える人も少なくない。東京都杉並区の会社員の女性(26)は、電車通勤する際「普段は優先座席に座らない。体調が悪いときは座ることもあるが、『若い女性が座っている』と思われそうで、座りづらい気もする」と明かす。

「専用席」設けるところも

 全国の私鉄が加盟する日本民営鉄道協会(東京)によると、優先座席については明確なルールが定められているわけではなく、乗客の利用マナーに委ねられているのが現状だ。

 優先座席の座席近くに「必要な人がいる場合には席をお譲りください」との文言が書かれたステッカーなどを掲示し、協力を仰ぐ形が一般的だという。同協会では「思いやりを持って、臨機応変に対応していただきたい」とし、優先座席に限らず電車内のマナー向上のための啓発活動に努めるとしている。

 一方、独自のルールを設ける車両もある。

 札幌市営地下鉄では、座席を必要としている人が確実に座れるように、1975年から「専用席」を運用している。

 利用客の間ではシステムが浸透し札幌市交通局によると、満員電車でも専用席だけが空いていることも珍しくないという。席が空いているのに座れないことへの意見も一部寄せられるというが、一定の評価があるとして今後も設置を継続する。担当者は「空席を作っておくことで必要とする人がスムーズに座れるため、必要性を感じている」と話す。

 優先座席を巡る一部のSNSの投稿について、近畿大の大澤聡准教授(メディア論)は「倫理やマナーには正解がないため論争になりやすい。SNS上の賛同を得ることで、自分は間違っていないと確認したいのだろう」と推察する。

 大澤氏はこれまでも女性専用車両の設置や新幹線でのマナーなどをめぐる議論が繰り返されてきた背景もあると指摘。「昨今の日本社会はこの手の問題を厳密なルールとして明文化する傾向にあるが、それだとかえって公共性が失われかねない」と警鐘を鳴らした。(堀口明里)

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