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子供にマイナンバーカードを作ったら巨大な落とし穴があった話小寺信良のIT大作戦(1/2 ページ)

大学進学を機に引っ越す息子のマイナンバーカードを使って転出届をオンラインで出そうとしたところ、予想外の落とし穴が連続した。14歳で作ったカードには署名用電子証明書がなく、リセットアプリも顔認証も機能しない。行政DXが進む今、同じ問題はどの家庭にも起こりうるかもしれない。

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 ことの発端は、大学で家を離れる息子に送金するため、セブン銀行でオンライン口座を作らせようとしたことだった。今回の話はややこしいので、時間があるときにゆっくり読んでいただきたい。

 オンライン口座開設にあたっては、「マイナンバーカード」とそれに格納されている「署名用電子証明書」が必要となる。ご承知のように署名用電子証明書を取り出すためには、英数字6〜16桁のパスワードが必要になる。また現住所がマイナンバーカードと一致している必要がある。

 なるほど、じゃあそれは転出・転入してからやればいいか、ということになった。転出はマイナンバーカードがあればオンラインでできる。我が宮崎県はマイナンバーがかなり普及しており、「転出届は、スマホで5分!」がキャッチフレーズとなっている。

 大学合格がなかなか決まらず、引越しまで時間がなくなってしまったので、わざわざ市役所に行って転出しなくていいのは助かる。転入は現地の市役所じゃないとできないので、転出も現地に行ってやろう、ということになった。

子どもの顔、大人の顔

 さあ現地に着きました。荷物の搬入も終わりました。じゃあ転出届をオンラインで出すぞ、となった途端、詰んだ。

 転出するには署名用電子証明書とそれを利用するためのパスワードが必要になる。ところが、息子がマイナンバーカードを作ったのが14歳の時だったのだ。

 マイナンバーカードは、15歳未満には署名用電子証明書が付与されないという仕様になっている。パスワードを忘れたという話はよくあるが、証明書自体が入っていないというケースがあることを、うかつにも知らなかった。

 仕方ないので、転入先の群馬県前橋市役所で何か方法がないか、聞いてみた。するとマイナンバー担当者から、マイナンバーカードと「利用者証明用電子証明書」(数字4桁)があれば、アプリを使ってパスワードをリセットして再登録できるとのことだった。

 結論から先に言うと、この案内は誤りである。担当者もそんな前例がなく、事情をよく飲み込めなかったのだろう。単にパスワードを設定すればいいと思っていたようだ。

 リセット用アプリ「JPKI暗証番号リセットアプリ」はまさに暗証番号をリセットするためのアプリだ。最初から署名用電子証明書が入っていないケースでは、そもそも暗証番号をリセットする対象物が入っていないので、何も機能しない。

 ただその時は、パスワードが設定されていないだけで、署名用電子証明書は入っているものと思い込んでいたので、それをトライしてみた。そこでもまた、落とし穴が空いていた。

 このアプリは、利用者証明用電子証明書を4桁のパスワードで解除し、スマホでマイナンバーカードを読み取り、顔認証をすることで、コンビニのマルチコピー機を使っての手続きを予約するためのものだ。

 利用者証明用電子証明書のパスワードはあるので、それでマイナンバーカードを読み取って顔認証をしようとしたが、「記録された顔データと一致しない」とエラーが出た。3回トライしたが同じエラーで、ロックアウトされてしまった。

 どれどれと思ってマイナンバーカードに記録された写真と本人を見比べてみたが、まあ親だから同一人物であることは分かる。だが客観的にはどうだろう。14歳のまだ髭も生えていないような子ども時代の顔データが、今の大学1年生にまで成長してほとんど大人になった顔と照合できないということは、十分に想像できた。

 そんな小さいうちからマイナンバーカードなんか作るからだ、と思われるかもしれない。だが今は保険証が廃止されてマイナンバーカードに吸収されたため、今後は保険証代わりに小さい子にもマイナンバーカードを作るケースは珍しくなくなる。成長しちゃって顔データが照合できないという問題は、どこのお子さんにも起こりうる。

 似た人(兄弟や双子など)で認証できないよう、かなり厳しく照合しているのだろうが、本当に本人であっても認証できない事例がありうるということだ。

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