企業の生成AI活用、大企業は46.5%に 一方で半数が情報の正確性に懸念 帝国データバンク調査
帝国データバンクが生成AIに関する企業の動向調査結果を公表した。生成AIを活用している企業は全体の34.5%に達し、そのうち86.7%が効果を実感している。導入率は、企業規模が大きいほど上がる傾向となった。
帝国データバンクは5月14日、生成AIに関する企業の動向調査結果を公表した。業務で生成AIを「活用している」と回答した企業は34.5%に達し、そのうち86.7%が「業務への効果が出ている」と回答。文章の作成・校正や情報収集を中心に利用が進む一方、情報の正確性や社員間の「使いこなし格差」が課題として上がった。
同調査は2026年3月17日から31日にかけて全国2万3349社を対象に実施し、1万312社から回答を得た。企業規模別にみると、大企業の活用率が46.5%であったのに対し、中小企業は32.4%、小規模企業は28.0%にとどまった。従業員数が1000人を超える企業では63.6%が活用しており、規模が大きいほど導入が進んでいる。
業界別では「サービス」が47.8%で最も高く、「金融」(38.6%)、「不動産」(34.9%)が続いた。一方で、「建設」は26.4%、「運輸・倉庫」は27.5%と相対的に低い水準となった。同社はこの結果について、業務の特性や社内体制がAIの活用割合に影響していると推測する。
また、「AIをどのような業務で使っているか」というアンケートについては「文章の作成・要約・校正」の45.1%がトップで、「情報収集」(21.8%)と「企画立案時のアイデア出し」(11.0%)が続いた。同社は、業務判断そのものの代替というより、業務判断の補助としての利用が中心となっていると分析する。
AIの利用に効果を感じている企業の割合は、「大いに効果が出ている」(25.2%)と「やや効果が出ている」(61.5%)合わせて86.7%に達し、ほとんどの企業は何かしらの効果を感じている。特に人手の限られた小規模企業では、「大いに効果が出ている」という回答が29.7%にのぼり、大企業の20.8%を上回った。
また、AI起因のトラブルに関しては「悪影響やトラブルはない」という回答が67.7%で最多。一方で、AI活用における悪影響として最も高かったのは「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」の18.8%となった。その他、「社員が業務をAI任せにして、仕事への意欲やスキルが低下した」「若手が育たなくなった」といった回答もあり、同社は「生成AIの影響は実際の事故よりも組織運営や人材育成の課題として表れやすい」と指摘する。
調査結果では、企業全体としてはAIの採用に前向きである一方で、「導入することで依存度が高くなり、人が思考しなくなることを警戒している」という慎重な意見にも触れている。同社は、「活用そのものの是非よりも、生成AIをどのように使うかに対する関心が強い」と分析している。
導入に伴う懸念事項については、「情報の正確性」を挙げた企業が50.4%で半数を超えた。このほか「専門人材やノウハウの不足」「活用すべき業務範囲の不明確さ」「情報漏えいのリスク」が上位に入った。また、活用に伴うトラブルや悪影響として、18.8%の企業が「社員間の使いこなし格差の拡大」を指摘した。
生成AIの活用を「禁止している」企業については、0.4%と少ない。同社はこの結果について、「生成AIは、導入そのものの有効性よりも、使いこなすための仕組みづくりが成果を左右する段階に入っている」と分析。「今後の企業の取り組みとしては、まず、生成AIを活用する業務範囲を明確にし、最終判断や確認の責任を人が担うことを前提とした運用ルールを整備することが重要となる」として、生成AIに対する企業の姿勢が変わっていく中で、導入を前提とした社内体制の整備の重要性を説いた。
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