Anthropicの「Mythos」でCloudflareがサイバー防衛テスト──脆弱性発見から悪用までが数分に短縮と警告
米CDN大手のCloudflareは5月18日(現地時間)、サイバーセキュリティの防衛を目的とした取り組み「Project Glasswing」の一環として、Anthropicのプレビュー版AIモデル「Mythos Preview」を自社の50以上のリポジトリでテストした結果を公開した。
Project Glasswingは、Anthropicをはじめ、AWS、Google、Microsoft、CrowdStrikeなどのIT大手が結集し、世界の重要なソフトウェアインフラをAIの力で保護、強化することを目的とした共同プロジェクトだ。このプロジェクトの基盤となる「Mythos Preview」は、Anthropicが開発した最先端AIモデルのプレビュー版で、ソフトウェア脆弱性の発見と、それを実証(悪用)する能力を備えている。AIの進化によってサイバー攻撃の脅威が急速に高まる中、この能力を攻撃者より先に防御目的で活用することが同プロジェクトの狙いだ。
Cloudflareは、テストの結果、Mythos Previewが従来の汎用AIモデルから飛躍的な進歩を遂げていることが確認できたとしている。特に、複数の軽微なバグを組み合わせて実際の攻撃経路を割り出すエクスプロイトチェーンの構築と、自らコードを書いて実行し脆弱性を実証する概念実証(PoC)の生成で、高い能力を発揮したという。PoCが実際に提示されることで、AIによる脆弱性スキャンで長年の課題であった誤検知(フォールスポジティブ)が劇的に減少し、人間によるトリアージの手間が大幅に削減されたとしている。一方で、正当なセキュリティ調査であっても、モデルのガードレールが断続的に作動してタスクの実行を拒否してしまうケースがあることも判明した。
同社はこのテストから得られた重要な知見として、強力なAIでも汎用的なコーディングエージェントを単にコードベースに適用するだけでは機能しないことを挙げた。コンテキストの制限や処理能力の課題を克服するため、Cloudflareはタスクを細分化し、複数の特化型エージェントを並行して実行させる専用の実行パイプラインを構築することで、効果的な脆弱性調査を実現したとしている。
さらにCloudflareは、AIの登場により、脆弱性の発見から悪用までの時間が、数カ月から数分へと短縮されていると警告した。これからのセキュリティチームは、単にパッチ適用を迅速化するだけでは対応しきれず、脆弱性が存在していても攻撃者がそこに到達できないような防御層を設けるなど、アプリケーションのアーキテクチャ全体を見直す必要があると結論付けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
3
Google、「Gemini 4 Carbon」発表 「Argon」公開から2週間、サイバー防御能力などを強化
-
4
渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪
-
5
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
6
Apple、初のタッチ対応「MacBook Pro」発表 新型OLED搭載、国内価格は49万9800円から
-
7
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
8
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
9
「ツイキャス」不正アクセスで停止 復旧までに「相応の時間」
-
10
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR