普通のキーボードを“勝手に”エルゴノミクスに変える「MX Tilter Kit」を買ってみた:小寺信良のIT大作戦(1/4 ページ)
普通のキーボードを(勝手に)エルゴノミクスに変えるパーツを買ってきた。スペーサー軸を作ってキーキャップを持ち上げることで立体化するというアプローチは、これまでありそうでなかった発想である。
これだけAIの時代になっても、いまだ文字入力の主力はキーボードである。そのうち音声入力でも相当のことができるようになるとは思うが、書いたものの編集や一部の修正などでは、コントローラとしてキーボードが使われ続けるものと思われる。
キーボードへのこだわりを具現化した形として、2018年頃から急速に自作キーボードへの関心が高まった。そしてコロナ禍による在宅勤務が増加すると、一気に一般化していった。
現在は大手ECサイトでも、キーボードのパーツが売られている。キーキャップなどは抜いて差し替えるだけなので、スイッチのタイプさえ間違えなければ、比較的簡単に改造が楽しめる。既存キーボードのカスタマイズも、自作同様の市場規模を形成しているものと思われる。
その影であまり話題にならないのが、エルゴノミクスキーボードである。左右に分かれていればエルゴノミクスという人もいるが、本当のエルゴノミクスとは、人間工学に基づいてキーが立体的に配列されており、指・手首・腕・肩などの負担軽減を目的としたものを指す。
この分野では米Microsoftも力を入れていたが、いつの間にか製品を見かけなくなった。昨今はMicrosoftの周辺機器ポートフォリオを、Incaseがライセンスを受けて再展開しているようである。現在入手可能なエルゴノミクスキーボードは、大手ではサンワサプライやHP、新進気鋭としてはPerixxやEwinといったメーカーが頑張っている。ただ立体にメカニカルスイッチを配置するのが難しいため、1万円以下の廉価商品はメンブレン式になっているのが残念なところだ。
そんな折、普通のキーボードを(勝手に)エルゴノミクスに変えるパーツが「遊舎工房」に入荷したと、ネットニュースで報じられた。スイッチからキーキャップを持ち上げて、角度をチルトさせてくれるスペーサーのようなものらしい。通販サイトには載っていないので、店舗販売しかないのだろう。価格は9460円といささか高いが、取材のついでに立ち寄って購入してみた。
MX互換スイッチなら取り付けは簡単
製品名としては「MX Tilter Kit」という名前だが、箱には「3dkeycap」と刻印してある。いずれにしても、キーキャップを立体的に配置するためのパーツ、ということで間違いない。
中には英語のマニュアルと、チルトパーツが入っている。作りを見る限り、各パーツも箱自体も、3Dプリンターで製作されているようだ。まあそんなに数が出ない商品だろうから、製造方法としては妥当なところである。
どんなスイッチにも使えるわけではなく、基本的にはCHERRYのMXキースイッチと対応キーキャップが対象となる。スイッチの頭が十字になっていれば、大抵はMX互換キースイッチである。
チルトパーツは先端が少し斜めに傾いており、これを取り付けることでキーキャップを持ち上げ、なおかつ角度を付けることでチルト状態を作り出す、というわけだ。数としては、長い軸のものが20個、中くらいの軸が34個、薄いスペーサーのようなものが12個となっている。
キーをチルト状態にすることで、キーキャップ同士が干渉する可能性も考えられる。まずは一般的な配列の「Keychron K11 Pro」で試してみる。
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