「Siri AI」の進化に「Geminiそのまま」の誤解――現地取材で見えた“新生Apple Intelligence”の全貌(2/4 ページ)
「GeminiがApple Intelligenceの正体」は誤解だ。WWDC 2026の現地取材で見えてきた第3世代は、200億パラメータのAIをiPhoneで動かす革新技術、Google Cloud+NVIDIAによるインフラ刷新、そして静かに変わる「無料」の定義まで、想像以上に深い変化を遂げていた。
Geminiを使うが「Geminiにはあらず」
そしてもちろん、AIモデルは第3世代になって大きく進化した。
2026年1月にアナウンスがあったように、Appleは新しいApple Intelligenceの開発について、米Googleと「Gemini」を利用する契約を交わしている。
そのため発表前は「次世代Siriの中身はGeminiである」という臆測がなされていた。WWDCの基調講演を見た人でも、「Geminiをそのまま使っている」と思っている人が多いのではないだろうか。
だが、それは間違いだ。
Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるクレイグ・フェデレギ氏は、基調講演後に記者向けに開催された技術説明会で、次のように説明した。
「Googleが顧客に展開しているモデルや、モデルを展開するためのインフラストラクチャは一切使用していない」
「iOSを動かす上で、Geminiアプリなどのコードは全く含まれていない」
すなわち、Geminiと第3世代Apple Intelligenceはイコールではなく、あくまで「開発などいろいろなところで協力していく」形なのだ。
第3世代Apple Intelligenceで使われるAFMには、5つのAIモデルがある。うち2つがオンデバイス用で、PCC向けのサーバモデルが3つ、という構成だ。
オンデバイス向けの「AFM 3 Core」「AFM 3 Core Advanced」、クラウド用の「AFM 3 Cloud」とクラウドで画像やジェン文字(Appleのオリジナル絵文字作成機能)を生成する「ADM 3 Cloud(Image)」は、Googleの協力のもと、Geminiを使って「改善」する形で作られている。要は、他のAIモデルを教師AIとしてAIを作っていく「蒸留」を行ったのだ。そのためには当然、Geminiを持つGoogleの許諾が必要になる。
一方で、PCC向けのフラグシップに当たる「AFM 3 Cloud Pro」は、Apple独自に作ったLLMであり、「Geminiなどのフロンティアモデルに匹敵する」とされている。
プライバシー重視の構造がAppleの特徴
以下の写真はスマホを例に、Appleが第3世代Apple Intelligenceと一般的なチャットbotを比較するために提示したものだ。
一般的なチャットbotはアプリ自体はスマホ上にあるものの、処理の主体であるAIモデルもエージェンティックAIのオーケストレーション層もクラウドの上にある。さらに、AIが使うナレッジ(知識層)も、Webやサーバ上に構築されたサービスとして存在する。
それに対してApple Intelligenceは、大半の処理がiPhoneなどのAppleデバイス上で行われる。推論もオーケストレーションも、まずはiPhone上のAIモデルで処理される。
他方で、より大規模な推論を必要とする場合には、PCC上で動作するクラウドモデルを使う。それらAIが使うナレッジとしても、Googleのものではなく、Appleがこれまで独自に構築してきたナレッジ層が使われる。
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