“全編AI制作”でコスト9割減を実現したViglooに聞く韓国ショートドラマ事情 「視聴者は制作方法で作品を選ばない」:小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)
SFXは100%、音響効果は85%──。韓国のショートドラマ配信「Vigloo」は制作のほぼ全工程に生成AIを取り入れ、費用を9割超・期間を3分の1に圧縮した。AIディレクターへの取材と、配信中のフルAI作品を実際に観て見えてきた“現在地”とは。
以前業界の縦動画シフトという話の中で、ショート(マイクロ)ドラマプラットフォームについて言及した。
現在ショートドラマ配信プラットフォーム4強は、中国の「DramaBox」「ReelShort」「FlareFlow」、韓国の「Vigloo」である。
このうち韓国のViglooではAIを制作プロセスに本格導入し、制作費や制作期間を大幅に圧縮することに成功した。さらに直近では、制作の全プロセスでAIを活用している。例えばSFXについては100%、音響効果の約85%、BGMの約40%といった具合だ。また2026年制作する作品の30%以上でAIを活用することを想定しているという。
今回はこうした事例について、Vigloo AI ディレクターJayeon Hwang(ファン・ジャヨン)氏にお話を伺う機会を得た。
AIによる映像制作で、期間1/3に圧縮、制作費90%以上削減したという事例を紹介する。
Viglooの戦略
Viglooは2024年7月にローンチされた、ショートドラマ専門配信プラットフォームである。 親会社は韓国SpoonLabsで、Viglooのほか、オーディオ配信アプリ「Spoon」も運営している。Vigloo事業部としては、70〜80名が所属している。
制作体制としては、インハウスで2チーム(監督1名+クリエイター5〜6名 ×2)で行っているが、今後需要に応じて拡張する予定となっている。プラットフォーム内ではオリジナルだけでなく、社外制作のものも配信している。
自社制作のAI作品はすべて縦長専用で、スマートフォンでの視聴を前提としているため、配信解像度はHD(1080p)である。実写は4Kで撮影し、最終的にHDとしている。AI生成シーンは1080pで制作しており、使用ツールは「Seedance」と「Kling」。
そもそもAIによるコンテンツ制作を始めたきっかけは、中国が先行していたからだという。中国では制作コスト削減と収益化を両立する手段としてAI活用が進み、そのトレンドが韓国市場にも伝わり、導入へ至った。
ショートドラマ市場は競合が激化しており、実写制作費が4〜5倍に高騰した。また作品消費サイクルが1カ月未満と非常に短く、大量のコンテンツが必要になることも、AI導入を後押しした。
また、AIツールの技術進化と、実際にAIで制作した作品の市場反応が良好だったことも背景にある。米Netflixなど大手プラットフォームの参入は脅威と感じる一方、ショートドラマがメインストリームとして認められる好機と捉え、むしろポジティブな側面のほうが大きいという評価だ。
作品提供先としては、やはり韓国市場が最大で約35%。日本では約20%、英語圏(北米含む)が20〜25%で、上昇傾向にあるという。その他地域(スペイン語圏、東南アジアなど)は作品により変動がある。
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