テスラ車の現オーナーが日本法人へ「喝!」 相次ぐ納車トラブルに募る国内体制への不安:走るガジェットTeslaに乗ってます(1/2 ページ)
日本での販売数がBMWを抜くなどオーナーが急増中のTesla。歓迎すべき人気の裏で、4年半乗る筆者のような既存オーナーの胸には、じわりと不安が兆し始めている。整備も車検も代車も追いつかない体制のまま台数だけが膨らめば、しわ寄せはどこへ向かうのか。6月末に発生した納車トラブルをきっかけに足元を見つめ直す。
「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現される米Tesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、このクルマを連載形式でレポートします。
日本でのTeslaの顧客体験が危険水域に達しています。今月のTesla連載は、テスラジャパンの顧客体験悪化の話題をお届けします。
大黒ふ頭で納車というスペシャルなユーザー体験!?
この原稿を書いているのは2026年7月初旬、この6月の日本でのTeslaの販売数は4000台弱(推定値)だったといいます。人気の高い独メルセデス・ベンツに迫り、独BMWを超えました。補助金効果があるとはいえ「あのテスラが!」と驚きを禁じ得ません。
東京や横浜を走行中もModel 3やModel Yに遭遇する機会が増えました。Teslaユーザーとしては喜ばしい限りです。しかし、この販売数の急増により、見過ごせない副作用も顕在化しています。
4年半乗ったテスラ「モデル3」を総括――気になるバッテリー劣化率、クルマには満足も唯一の不満点とはで「販売増ゆえのサービス地獄に陥っているのでしょう」と指摘しました。この原稿を書いたときから販売数はさらに伸び、それに呼応するかのようにさまざまな面で状況は悪化しています。
具体的には、納車に関する情報について連絡なし、約束したタイミングを反故にした納車の遅れ、直前になっての納車場所や日程の変更、購入者が納車日に出向いたら車検証もナンバープレートも準備されていなかった、サーバに車両が未登録のためアプリとひも付けできない、といった事例がSNSやコミュニティーにおいて報告されています。
極め付きは、大黒ふ頭での受け渡し通告です。6月の最終週末の数日前に一部のユーザーに対し関東地域の納車場所である東京の湾岸地区のショッピングモール「有明ガーデン」ではなく、横浜の大黒ふ頭での受け渡しを通告するメッセージが届いたとのことです。
大黒ふ頭というと上海工場から海路で運ばれたTesla車両の陸揚げ拠点です。さすがに、この知らせには、ここまで来たか!と度肝を抜かれました。当日の納車台数が有明ガーデン駐車場のキャパシティーを超えてしまったための苦肉の策だったのでしょう。
ただ、その週末は台風の直撃が予想されていました。さすがに、直前になって海辺の吹きっさらし状態の大黒納車はキャンセルされた模様ですが、現場の混乱ぶりを象徴する出来事でした。もし、実際に大黒納車が敢行されていたならば、台風一過で「♪〜大黒ふ頭で虹を見て〜」(サザンオールスターズ)と伝説になったかもしれません(そんなことはないか…)。
正規の有明ガーデンの納車にしても、週末などは1日200台という状況もあり、テスラジャパンのスタッフだけではリソースが足りず、TOCJ(テスラオーナーズクラブジャパン)のボランティアまで動員する状態です。ただ、新ユーザーの質問や疑問への対応、記念撮影のお手伝い等が主な役割で、責任を伴うような役割を負っているわけではありません。
筆者は、2025年6月「体験してみよう」という趣旨でこの納車ボランティア活動に参加しました。当時は数十台程度の納車数で、牧歌的な雰囲気の中、和気あいあいとした時間が過ぎていきました。
今回もボランティアによる納車サポートが実施されましたが、かなり大変だったようです。LINEのボランティア連絡用コミュニティーには、テスラジャパンのスタッフの状況を含め現場の混乱が生々しく時系列で投稿されています。橋本理智社長自ら納車カウンターに出向きユーザーに対応していたことでもその状況がうかがい知れます。
6月の最終週末は充電無料キャンペーン締め切りの直前ということも相まって納車が集中したとはいえ、この狂乱ぶりは尋常ではありません。驚いたことに、当日になって大黒ふ頭から有明ガーデンにキャリアカーでピストン輸送さながら運ばれてくる車両もあったようで、EVなのにピストンとはこれいかに、と冗談のひとつも言いたくなります。
事は納車時の混乱だけではありません。台数が急増したということは、テスラジャパンがそれに見合うサービス体制を整えないかぎり、整備、定期点検、車検といった後のサービスについて、多くの課題がそのままスライドしていくことになります。新規ユーザーだけでなく、筆者のような既存ユーザーにもその影響が拡大していくことが予想されます。
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