次期学習指導要領では「情報」教育を大幅に拡充、教科新設や先行導入も
文部科学省はSNSとの向き合い方などを含めた情報リテラシー教育を強化する方針で、2030年度から全面実施となる次期学習指導要領の下、小学校で「情報の領域」、中学校で「情報・技術科」を新設する。指導要領の全面実施を待たず、情報教育のみ先行導入を検討しており、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の作業部会で具体策が議論される見込みだ。
誹謗(ひぼう)中傷やハラスメントでアスリートが傷つくことなく競技に打ち込める環境づくりを目指すプロジェクト「RESPECTion!」(リスペクション)の一環として、レスリングのパリ五輪金メダリスト、文田健一郎選手(ミキハウス)が7月7日、母校の山梨県立韮崎工業高校で特別授業を行った。
SNSでの誹謗中傷は学校現場でも深刻な課題となっている。文部科学省はSNSとの向き合い方などを含めた情報リテラシー教育を強化する方針で、2030年度から全面実施となる次期学習指導要領の下、小学校で「情報の領域」、中学校で「情報・技術科」を新設する。指導要領の全面実施を待たず、情報教育のみ先行導入を検討しており、8日の中央教育審議会(文科相の諮問機関)の作業部会で具体策が議論される見込みだ。
「十数年前に比べてSNS関連のトラブルは明らかに増えているし、そもそも私たちが把握しきれない水面下の事象もあるに違いない」。山梨県立韮崎工業高校の村田繁校長は現状をこう語る。その上で「普段から指導はしているが、OBアスリートの授業だとより子供の心に残ったはず」と意義を述べた。
文科省もこうした現状を課題としてとらえており、現在検討中の次期学習指導要領では小中高いずれの学校でも、教科の新設や授業時間の増加を含めて情報教育を大幅に強化・拡充する。
具体的には、情報技術の活用、適切な取り扱い、特性の理解──の3つの柱を設定。この中の「適切な取り扱い」の項目で、SNSでの個人情報の拡散や不用意な書き込みによる「炎上」、誹謗中傷などの問題を扱う。ルールやマナーを守るだけでなく、ネット空間に広がる偽情報や誤情報に惑わされないメディアリテラシーも高める。
AIの発達によってフェイク動画が簡単に作れるようになるなど、今後はより精巧な偽情報の拡散が懸念される。情報技術の特徴やリスクを理解させる一方、情報活用能力を全ての教科の学習基盤とも位置づける。
最近は、自国に都合の良い物語(ナラティブ)のSNSを通じた流布など、外国政府による情報工作も活発化しているとされる。情報教育は将来的な国家の根幹にかかわるとの見方も広がっている。(大森貴弘)
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