1.2万人削減のパナソニックの反転 痛み伴う改革からの成長戦略 旗印は「松下幸之助」(3/3 ページ)
1万2000人の人員削減など構造改革に区切りをつけたパナソニックホールディングス(HD)が反転攻勢に出る。旗印として前面に押し出したのは創業者、松下幸之助だ。現在の社会課題をエネルギーの有効活用と現場労働力不足の解消と位置づけ、AIインフラと社会オペレーションを支える2つの事業がその解決に役立つと成長の柱にすえた。
人員削減「衆知を集めた全員経営」
パナソニックHDは25年2月、成長が見込めないと判断したテレビやキッチン家電といった課題事業について撤退や売却も視野に入れて構造改革に着手。同5月には国内外で1万人規模の人員削減を表明した。
住宅設備子会社やスペインの自動車部品子会社を売却し、欧米のテレビ販売網の外部委託などのスリム化を進めた。人員削減は想定を2000人上回る1万2000人規模となり、楠見雄規グループCEOは「国内において踏み込み不足はほぼない」と語り、今年度末で課題事業ゼロは確実にやり切ると表明した。
人員について楠見氏は「適正規模だからこそ創意工夫して仕事のやり方を変え、頭を使う。人が余剰の状況では創意工夫しなくても仕事が回り、人は育たない」と強調。昨年、1万人規模の人員削減を発表したとき「人員は少し足りないくらいがちょうどいい」と述べ、波紋を呼んだ言葉の真意を改めて説明した。
一人ひとりの知恵を結集して経営すること、つまり、衆知を集めて経営に生かす姿勢を示したといえる。これは松下幸之助が掲げた「衆知を集めた全員経営」に通じる。
【真の使命における水道哲学】 松下幸之助は真の使命とした貧乏の克服について、水道の水に例えてわかりやすく説明したため「水道哲学」と呼ばれる。水道の栓をひねって水を盗み飲んだとしても、水そのものをとったとして誰もとがめだてはしない。それは価格があまりに安いからで、なぜ安いかというと豊富にあるからだ。ここに産業人の真の使命がある。すべての物資を水のように無尽蔵にし、水道の水のように価格を安くすることで、貧乏は克服できると説いた。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

