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Anthropic、バーナンキ元FRB議長を独立監督機関に招へい――AIが経済に与える影響を注視

Anthropicは、同社の独立監督機関LTBTの新メンバーに、元FRB議長のベン・バーナンキ氏を任命したと発表した。LTBTは、営利企業でありながら公益の追求を掲げるAnthropic独自のガバナンス構造の中核を担う組織。バーナンキ氏はAIが経済に与える影響に関する知見を提供する。

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 米Anthropicは7月9日(現地時間)、同社の独立監督機関「Long-Term Benefit Trust」(LTBT)の新たなメンバーとして、元米連邦準備制度理事会(FRB)議長でノーベル経済学賞受賞者のベン・バーナンキ氏を任命したと発表した。バーナンキ氏は現在、米ブルッキングス研究所の特別フェローを務めている。

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ベン・バーナンキ氏(画像:Novel Prize)

 LTBTは、Anthropicが掲げる「人類の長期的な利益のために先進的なAIを責任を持って開発する」というミッションから同社が逸脱しないよう監督する独立組織だ。

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 バーナンキ氏は2006年から2014年までFRB議長を務め、2008年の世界金融危機とその後の景気回復の局面で米中央銀行のかじ取りを担った。政府入りする前は20年以上にわたり経済学者として活動し、その多くをプリンストン大学で過ごして経済学部長を務めたほか、大恐慌や金融危機における銀行の役割に関する研究を積み重ねた。こうした業績が評価され、2022年にノーベル経済学賞を受賞した。

 Anthropicは、米デラウェア州法に基づく「Public Benefit Corporation」(PBC、米国の公益企業の一種)として設立されている。PBCは、商業的な成功と、社会的、公共的な利益の創出とを両立させることを目的とした企業形態だ。通常の株式会社では取締役が株主の利益を最優先するよう法的に方向づけられるのに対し、PBCの取締役は、株主の財務的利益と、定款に定めた公益目的とのバランスを取ることが法的に認められている。Anthropicが定款に掲げる公益目的は「人類の長期的な利益のための、先進的なAIの責任ある開発と維持」だ。

 Anthropicは、PBCという形態だけでは、同社が見据える「変革的AI」の開発に伴う統治上の課題に対応するには不十分だと考え、LTBTを設けた。LTBTは、AIの安全性や安全保障、公共政策、社会的企業などに専門性を持つ、財務的に利害関係のないメンバーで構成される。

 LTBTのメンバーはAnthropicの株式を保有せず、利益の分配も受けず、報酬は業務に費やした時間や労力に対してのみ支払われる。これにより、経営陣や投資家から独立した立場が確保される。

 LTBTは、Anthropicの取締役を選任、解任する権限を段階的に持つよう設計されており、最終的には取締役会の過半数を選任することになっている。メンバーは取締役会や経営陣に対し、特にAIがもたらすリスクや社会的影響に関わる重要な意思決定について助言する立場にある。

 バーナンキ氏の招へいは、Anthropicが最も注視する論点の1つである「AIが経済をどう変えるか」に専門知識をもたらすものだ。同社によると、バーナンキ氏はLTBTのメンバーとして、同社の経済研究をはじめとする活動に知見を提供する。

 Anthropicの共同創業者、ダニエラ・アモデイ社長は、AIは現代史において最も大きな経済的影響を及ぼす技術になり得るとし、その影響を理解し対応することがAnthropicの責務だと述べた。そのうえで、経済が混乱局面にどう反応するかの研究から、世界最大の経済のかじ取りまでを担ってきたバーナンキ氏の判断力が、AIが世界の労働力や経済に与える影響を予測・対応するうえで役立つとの見方を示した。

 バーナンキ氏は、AIの潜在能力は計り知れず、その結果として起こりうる事態の幅も大きいとコメント。AIが人類にもたらす長期的な利益がリスクを大きく上回るようにするための独自の統治構造をAnthropicが築いてきたと評価し、このミッションに貢献したいと述べた。

 バーナンキ氏の加入により、LTBTのメンバーは4人になる。同社によると、メンバーの経験は地球規模の保健、安全保障、法律、政策、経済など多岐にわたる。

 なお、Anthropicは同日、AIが仕事や社会、家族に与える影響について同社に質問できる「hard questions」のWebサイトも公開している。


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