AIグラスへの不安感は、盗撮問題に集中しすぎると問題を見誤るのではないか:小寺信良のIT大作戦(2/5 ページ)
ディスプレイ搭載AIグラス市場で世界首位とされる中国「Rokid」が日本市場へ本格参入した。以前から「盗撮」の道具となる可能性を指摘されているAIグラスだが、発表会に参加して、もっと別のことに対して不安になった。
AIグラスの可能性
AIグラスは、AIをウェアラブルにするという目的で作られている。AIは人間から何らかの指示なり質問なりを与えることで回答を返すわけだが、人間が直接的に指示を与えるなら音声入力ということになる。つまりAIグラス内蔵のマイクで利用者の音声を聞き取るわけだ。
ディスプレイ非搭載のAIグラスは、結果を音声で返す。ディスプレイ付きAIグラスは、音声に加えて視覚情報、すなわち文字や図形などで返す。
この中で重要なのが、AIに対する視覚的情報入力だ。カメラで捉えられたものをAIが判別して、何らかの処理を行う。例えば外国語の看板であれば翻訳文を表示するだろうし、同じ商品の数を瞬時にカウントさせるなど、商品在庫管理などにも利用できる。
Rokidの発表会では「Rokid Card」というサービスが紹介された。これはビジネス時の名刺交換の際、大抵は名刺から読み取れる情報は少ないが、名刺を撮影することでAIが関連情報を検索して要約し、AIグラスに表示してくれるというものだ。これにより、会話につながる「次の一言」の情報が得られるようになる。
こうした機能を使う際に、カメラでの「撮影」という行為が必要になる。カメラに写ったあらゆる情報を読み取ってしまうと、動作が煩雑すぎる。よって撮影というトリガーを通じて、この機能が起動するわけだ。
例えば筆者などは、顔は覚えているが名前が出てこないケースが多くて困る。顔認識してその人の名前がすぐ出てくるようなアプリがあればずいぶん助かる。すでにFacebookなどでも、アップした写真に写っている人物をFacebookユーザーから探し出す機能がある。AIグラスでも、過去撮影した写真や、SNSやメディアに公開されている写真から該当人物を探し出すのは、難しいことではないだろう。
ただ、こうした機能が実際に動き始めることを想像すると、多くの人は途端に不安になるのではないだろうか。
顔を合わせただけで、AIグラスをかけている相手側は、こちらからは分からない情報を得ているかもしれないのだ。例えば3年前にXが炎上したとか、昨日は息子と喧嘩したとか、もちろんどこかで公開している情報ではあるのだが、本人はネタにしてほしくない情報が、その場で瞬時に相手側に知られるかもしれない。
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