入庫した製品との突き合わせ、会員に送ったアンケートや注文書の返信状況の突き合わせ……など、膨大なリストから、関連するものを“突き合わせチェックする”という作業、業務内外問わず、一度は行ったことがあるだろう。今回は、タブレットPCを用いた“突き合わせチェック”の活用例を紹介しよう。
普段Excelでまとめている一覧表のリストや数値と、実際のそれを「突き合わせる」照合業務がある。
例えば、棚卸しで膨大な数の部品在庫との突き合わせ、入庫した製品との突き合わせ、会員に送ったアンケートや注文書の返信状況の突き合わせ……などだ。タブレットPCとデジタルノートなら、このような作業が場所を選ばず、ペンをタップする操作だけで簡単に行うことができる。
事務用品やコンピュータ関係の消耗品を扱う企業に勤務するB氏は、実在庫や入庫した製品の確認を数日おきに行う業務を担っている。
B氏の本来の業務は、Excelで作成した製品一覧表で入出荷と在庫を管理することだが、Excel上のリストや数値と、実際に倉庫にある在庫数量や入出荷した製品数が、ぴったりと合致しているかを定期的に照合して確認することになっている。
突き合わせの作業は1日の入出荷分だけで数時間、そして在庫分全てチェックする場合は、部分的な棚卸しを行うようなものなので、製品点数によっては1〜2日がかかる場合もある。そのため、突き合わせ作業をアルバイトやパートの方に手伝ってもらうことこともある。
当初、B氏はプリンタで出力した製品一覧表リスト(紙)を突き合わせの担当者に渡し、担当者はその日の入荷分と出荷分の製品をそれぞれ製品一覧表リストと照合し、合致している製品には赤ペンでチェックを付け、相違があったものにはその旨書き込んでもらっていた。
そこで、紙でプリントしてチェックしていた作業をデジタル化することにした。
Excelの一覧表から、チェックが必要な項目だけを選択してタブレットPCのOneNoteにコピー。突き合わせの担当者はタブレットPCのペン操作でチェックを行う。
B氏はチェックしてもらったデータを受け取り、チェックで問題のあった製品をノートフラグ機能で即座にピックアップし、その情報を仕入れや営業担当にすぐにデータ転送するようにした。
では実際の使い方を解説していこう。
一連の操作手順としては、まずExcelからOneNoteにチェックリストの情報を転送することからはじまる。
特別な操作は不要で、Excelでコピーしたい項目や範囲をマウスで指定し、[編集]-[コピー]でクリップボードにExcelのデータをコピーするだけ。その後でOneNoteの画面を表示し、新しいページに[編集]-[貼り付け]でExcelのデータがOneNoteコピーされる。
OneNoteに製品チェックリストがコピーされたら、次に担当者がチェックを入力するためのボックスを作成する。
製品名の段落にカーソルを合わせると、段落ハンドルが表示されるので、段落ハンドルを右クリックしてショートカットメニューから[同じレベルで すべて選択]を選択する。
OneNoteでチェックボックス付きのチェックリストができたら、突き合わせの担当者はタブレットPCでリストの照合を行う。チェックがOKだった製品は、タブレットペンでタップするだけでチェックマークが付けられ、チェックが完了となる。
照合した結果が違っていたものには、別のマークのノートフラグを付けておくと、後で簡単に抽出ができるため便利だ。B氏は例えば、数量が合っていない製品や入荷するはずであったのに未入荷だった製品には別のマークを付けてもらい、判別できるようにした。
製品が少ない場合は、チェック結果を一覧で確認することも容易だが、製品数が多くなると結果の確認にも時間がかかる。また、間違いや異常があった製品は、その情報を他部署や取引先に素早く連絡するなど、迅速な対策が必要だ。
そのチェックには、[作業ウィンドウ]を開いて「ノートフラグの概要」で行う。ノートフラグの概要にはノートフラグの一覧が表示されていて、今回の例では製品名のチェック一覧となっている。
ノートフラグの種類ごとにリスト表示され、見やすく分類できるように予めノートフラグは工夫して設定しておくことが重要だ(予め設定しておかないと、その項目内容などは反映されない)。この例では、数が合わなくて「保留」となっている製品や、到着するはずが未着だった「未入荷」の製品がひと目で確認できる。
また、チェックボックス型ノートフラグの情報を対象にし、チェックされていない情報だけをリスト出しする機能を利用し、未チェックのものと保留の製品をリストアップすることもできる。
こうしたリストアップで確認ができたら、[概要ページを作成する]ボタンをクリックし、リストの内容だけを新規のページに抽出しておく。抽出した情報は、状況報告や調査依頼のために、関係部署や取引先に電子メール等で配布することも容易になる。
今回は、製品チェックを例に解説を進めてきたが、同様に会員や顧客に発送したアンケートや招待状の戻りのチェック、同窓会の出欠確認など、人物のリストを対象にし、同様の活用方法を実践するケースもある。
似たような業務で効率化を思案している場合は、検討してみてはどうだろう。
(第26回へ続く)
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