タブレットPCのタブレット機能は、通常のノートPCに追加された付加機能の1つである。だが、“付加”機能と侮ってはならない。タブレット機能を活かした使い方をすることで、これまでのPCには真似できない使いこなしが実現できるのである。タブレットPCだからこそ可能なビジネス活用例を紹介しよう。
マイクロソフトのOfficeシリーズは、Office XP以降のバージョンでタブレットPCならではの機能が利用できるようになっている(Office XPでは、別途無償のタブレットPC用アドインをダウンロードする必要がある)。具体的には、タブレットPCのインク機能を使って、Office文書上に直接文字を書き込んだりすることが可能だ。この機能によって、これまでのPCには真似できないタブレットPCならではの使いこなしが可能になるのである。
ここでは、ビジネスソフトとタブレットPCの使いこなし術を紹介していこう。
タブレットPCを使うことで、通常のノートPCとはまったく違う効果が得られるのがプレゼンテーションだ。
現在では、プレゼンのテクニックがライバルとのビジネス競争の勝敗を決めることも少なくない。競合するライバルを複数交えたコンペなどでは、ライバルのプレゼンよりも強い印象を与えることが、そのままビジネスの勝敗につながる。
そのためPowerPointなどのプレゼンソフトには、アニメーション効果や、動画や音声の埋め込みなど、インパクトのあるプレゼンが行えるような機能が満載されている。もちろんビジネスパーソンであれば、誰もがそうした機能を使いこなしてインパクトのあるプレゼンを行おうとしているはずだ。つまり、同じプレゼンソフトを使っている場合は、そのソフトの機能をどれだけ使いこなせているかで、ビジネス競争の勝敗が決まってしまう可能性もあるわけである。
しかし、さらに一歩先を行くプレゼンを、同じプレゼンソフトで行うことができるとしたら? それが可能なのが、タブレットPCを使ったプレゼンなのである。
例えばタブレットPCのインク機能によって、デジタルなプレゼンテーションに「アナログ感覚」を持ち込むことが可能になる。アニメーションでフェードインしてくるメッセージテキストを利用するのではなく、プレゼンのスライドに、その場で文字や記号を書き込むのである。
プレゼンの最中に文字や記号を書き込む効果は、想像以上に大きい。それにはいくつか理由はあるが、(1)どこを説明しているのかがはっきりと分かるので、相手がプレゼンに集中してくれる、(2)音声情報(口頭での説明)と視覚情報(スライドへの書き込み)を同時に提供できるので印象に残りやすい、(3)機械的ではない“ONE & ONLY”なプレゼンを実施できるので、相手に特別感を抱いてもらえる──といったプラス要素が挙げられるだろう。
その場その場で臨機応変に対応できるのも、タブレットPCを使ったプレゼンの特長だ。
プレゼンに使用するスライドはあらかじめ作り込んでおく必要があるため、通常のノートPCの場合は、想定の範囲外の展開や質問に対しては、口頭で説明すること以外には対処方法がない。それに対し、タブレットPCを使ったプレゼンの場合は、スライドの余白やその場で新規作成したスライドに、フローチャートや概念図などを描いたり、覚えておいてほしい重要なキーワードを書き込んだりしながら説明できるので、プレゼン相手の印象や理解度が何段階も高まる。
プレゼン以外でも、ビジネスにタブレットPCを使用するメリットはさまざまにある。WordやExcelなどで作成された各種ビジネス文書のレビュー(確認・チェック)などもその好例だ。
例えば、部下が提出してきたWord形式の報告書などに修正・変更指示を書き入れて部下に戻すようなケースでは、多くの場合、Wordのコメント機能で引き出し線やコメントボックスを作ってキーボードからテキストを入力したり、報告書を印刷し、それに修正・変更指示を赤ペンで書き込んだりしているはずだ。
しかし、これらの方法よりもタブレットPCを使って修正・変更指示を直接報告書に書き込む方が、より手軽かつスピーディーにレビューが行える。また、修正・変更すべき部分をダイレクトに指摘できるため、意図がうまく伝わらずに修正・変更部分が手つかずに残ってしまったり、勘違いして別のところを修正・変更してしまったりといった間違いも減る。
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