富士通の企業向けノートPC「FMV LIFEBOOK」シリーズに、コンバーチブルスタイルのタブレットPC 2モデルが追加された。その中でも「FMV LIFEBOOK P8210」は、本体重量が約990グラムと非常に小型・軽量でありながらも、コンバーチブルスタイルを実現した意欲的なタブレットPCである。
富士通の企業向けノートPC「FMV LIFEBOOK」シリーズの新モデルとして追加された「FMV LIFEBOOK P8210」(以下、P8210)。「FMV LOOX S」をベースとし、タッチパネル液晶などのビジネス向け機能を盛り込みつつ、1キロを切る本体重量を実現したA5ビジネスモバイルマシン「FMV LIFEBOOK LS」シリーズの後継という位置付けだが、単なる後継モデルにはとどまらない進化を遂げている。
P8210の最大の特徴といえるのが、約990グラムと1キロを切る本体重量ながら、ノートPCとしてもピュアタブレットとしても利用可能なコンバーチブルスタイルを実現している点だ。
コンバーチブルスタイルのタブレットPCでは、利用形態に合わせて液晶ディスプレイを回転させるというギミックを盛り込まなければならない。そのため、コンバーチブルスタイルのタブレットPCの多くが、液晶ディスプレイ部を中央部1点のヒンジで本体に取り付け、そのヒンジが180度回転するという構造を採用している。
この構造を実現するには、ヒンジ部に高い強度と大きな設置スペースが要求されるが、P8210では本体内部のパーツや基板の配置を見直すことにより、液晶ディスプレイ部の回転機構を盛り込みつつ、LIFEBOOK LSシリーズとほとんど変わらない本体サイズと重量を実現した。コンバーチブルスタイルのタブレットPCとしては、世界最小・最軽量となっている。
これまでに発売されたタブレットPCでは、ペンによる操作を実現するため、液晶ディスプレイ部には電磁誘導方式のデジタイザが搭載されていた。ペン操作を実現するなら感圧式(抵抗膜方式)のタッチパネルでも可能だが、これまでタブレットPCで採用されることはなかった。これは、タッチパネルではペン操作時に手や指などが触れてしまうことによる誤動作が懸念されていたからで、タブレットPCにおける仕様上の要求事項でもあった。しかしP8210では、タッチパネルの認識精度を調整することでその問題を解決し、タブレットPCとして初めてタッチパネルを採用することとなった。
タブレットPCをピュアタブレットモードで利用する場合には、ペンを持つ手が液晶画面に触れた状態で操作することがほとんどだ。しかし実際にペンを持つ手を画面の上に置いてP8210を使用してみても、誤動作を起こすことは全くと言っていいほどなかった。無理に手に力を入れて画面を押さえてみるとマウスカーソルが飛ぶことがあったが、意識して力を入れない限り、そういったトラブルは一切なかった。これなら、タッチパネルを採用しているとはいえ、デジタイザ採用のタブレットPCとほぼ同じ感覚で利用できるだろう。
また、タッチパネルの採用によって、ペンを使わずに指で操作できるという利点も生まれている。エクスプローラでファイルを選択して閲覧したり、画面をスクロールさせるといった簡単な作業なら、指だけで簡単に操作可能だ。慣れれば、ファイル操作やホームページ閲覧なども指だけでこなせる。
従来のタブレットPCでは、ちょっとした操作を行う場合でもデジタイザ用の専用ペンを利用する必要があったため、やや面倒な印象を受ける場面もあった。しかしP8210では、ペンだけでなく指でも操作できるようになったことで、従来のタブレットPCよりも手軽に、より直感的に利用できるようになったと言っていいだろう。
ちなみに、タッチパネルはデジタイザと比較して構造が単純で、価格面や重量面で非常に有利となる。P8210のような小型・軽量マシンに搭載するにはうってつけといえる。もちろん、従来モデルであるLIFEBOOK LSシリーズでタッチパネルが搭載されていたということも、今回の採用に大いに影響しているはずだ。
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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日