オフィスを狙った本格仕様の2スピンドルコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK T8210」(2/2 ページ)

» 2005年10月21日 09時30分 公開
[平澤寿康,ITmedia]
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 ペンと本体をストラップでつなげるように配慮されている点もポイントだろう。デジタイザは専用のペンをなくしてしまうと操作不能となってしまうためペンの管理には気を遣う必要があるが、ストラップで本体につないでおけば、ペンをなくすこともなくなる。目立たない点ではあるが、利用者の立場に立った嬉しい特徴と言える。

専用ペンの頭と液晶ディスプレイの側面(写真ではペン収納スペースの右側)に取り付け穴が開いており、ストラップでつないでおける

 タブレットモードでは、本体の左側面が上に来るような向きで利用するのが一般的だ。本体左側面にはCPUの空冷ファンの排気口が配置されており、内部の熱が上方に排出されるため自分にはかからない。また、本体内部のパーツの配置も、熱を発するものを本体左側に集め、空冷ファンで効率的に放熱できるように配慮している。

 タブレットモードで使用する場合、キーボード面からの放熱が液晶ディスプレイで遮断されてしまう。だからといって、その分の熱を本体の裏側から逃がそうとすると、タブレットモードで使用する場合に腕が触れる部分が熱くなるためユーザーに不快感を与えてしまう。そこで、熱を発するパーツの多くを空冷ファン付近に集めることで、1つのファンだけで効率よく放熱しつつ、本体裏面の腕が触れる部分もあまり熱くならないように工夫しているわけだ。

 実際にタブレットモードで利用してみたが、確かに空冷ファンのある部分は裏面が温かく感じるものの、それ以外の部分はほとんど熱を感じることはなく、腕に抱えて使用しても全く不快感は感じなかった。

 また、タブレットモードでは光学式ドライブが下側に来るため、胸や腹部で誤ってイジェクトボタンを押してしまうことによるトラブルが懸念される。これを回避するためT8210には、タブレットモードでは光学式ドライブが自動的にロックされ、イジェクトボタンを押してもトレイが排出されないようにする専用ツールが搭載された。もちろんツールの設定によっては、タブレットモードでも光学式ドライブのロックを解除できる。

 このような細かな配慮によって、タブレットPCとしても快適に利用できるわけだ。

FMV LIFEBOOK T8210の主な仕様
OS Windows XP TabletPC Edition 2005
CPU(クロック) Pentium M 740(1.73GHz)
FSB 533MHz
チップセット モバイルIntel 915GM Express
メモリ(最大) PC2-4200対応DDR2 SDRAM 256Mバイト(2Gバイト)
ディスプレイ 1024×768ドット表示対応12.1インチ液晶
グラフィックス チップセット内蔵(GMA900)
HDD Serial ATA150 40Gバイト
光学ドライブ DVD-ROM & CD-R/RWコンボ
セキュリティ セキュリティチップ、セキュリティボタン、指紋センサー、スマートカードスロットを搭載
ポインティングデバイス タッチパッド
ネットワーク 1000/100/10BASE-T有線LAN、IEEE802.11a/b/g無線LAN、モデム
インタフェース ポートリプリケータ(専用80ピン)、PCカードTypeIIスロット、SDメモリーカード/メモリースティック兼用スロット、USB2.0×2、IEEE1394、VGA、IrDA、ヘッドフォン、マイク
ポートリプリケータ オプション(DVI-D、VGA、有線LAN、USB2.0×4、音声出力)
バッテリ駆動時間 約4.6時間(JEITA値)
サイズ 293(幅)×244(奥行き)×35.5〜38(高さ)ミリ
重量 約2.15キロ(ウェイトセーバー使用時約1.95キロ)
価格(税別) 24万3000円
出荷開始 11月中旬


4種類のセキュリティ機能で高度な安全性を実現

 さまざまな場面で情報流出が問題になっている昨今、簡単に持ち運べるノートPCへのセキュリティ要求はどんどん高まっている。特に企業向けマシンでは、セキュリティ機能は必須になっていると言ってもよい。その点T8210は、セキュリティチップとセキュリティボタン、指紋センサー、スマートカードという4種類のセキュリティ機能を搭載することで、企業ユーザーが求める高いセキュリティ性を実現している。

 OS動作中はタブレットボタンとして機能する液晶ディスプレイ下部の5つのボタンは、PCの起動や復帰をパスワードで保護するセキュリティボタンとしても使用できる。

液晶ディスプレイ下部のタブレットボタンはセキュリティボタンとしても使用できる

 指紋センサーは、キーボード手前のタッチパッド部分に配置されている。指紋センサーを指でなぞるだけでユーザー認証が行えるため、利便性を損なうこともなくセキュリティ性を高められる。タブレットモードでは隠れてしまう点はやや残念だが、それでも指紋センサーの搭載によって高いセキュリティ性が確保できることを考えると、特にビジネスユースでは優位となるはずだ。

指紋センサーは左右ボタンの間に配置されている。スクロール機能付きのため、スクロールボタンとしても使用可能だ。キーボードはキーピッチ19ミリ、キーストローク約3ミリのフルサイズ

 また、セキュリティチップによるファイルの暗号化も行える。たとえHDDを抜き出したとしても、セキュリティチップを利用した暗号化を行っておけばデータを抜き出すことは不可能だ。

 さらにT8210には、「スマートカードスロット」も用意されている。スマートカードはIC搭載のセキュリティカードのことで、一般的にICカードと呼ばれているものと同等である。スマートカードを挿入し、そのカードに登録されているユーザー認証コード(PIN)を入力しない限り、データやネットワークへのアクセスやマシン自体の動作を制限できる。スマートカードを抜いてしまえば、万が一PINが漏洩したとしても不正利用を防げるため、パスワードのみによる一般的なユーザー管理よりもはるかに高度なユーザー管理が可能となる。

 このようにT8210では、4重のセキュリティ機能によって、一般のノートPCとは比べようのない高いセキュリティ性が実現できる。企業ユースのマシンとして考えると、この非常に高度なセキュリティ性は大きなアドバンテージとなるだろう。

これからのビジネスマシンのスタンダード

 これまでタブレットPCは、バーティカル分野での使用が一般的だった。しかし、WordやExcel、PowerPointなど、ビジネスでよく利用するアプリケーションの多くがペン入力をサポートするようになった現在では、タブレットPCの活用シーンが一般のビジネス分野へと大きく広がってきた。

 例えば資料のチェックを行う場合でも、タブレットPCを利用すれば、資料を画面に表示させつつ、変更点などを直接ペンで書き込んで指示できる。PCの画面が紙のように利用できると言えばわかりやすいかもしれない。プレゼンテーションでタブレットPCを利用すれば、重要なキーワードにマークを付けて強調したり、概念図やグラフ、チャートなどを描きながら解説できるため、より訴求力のあるプレゼンを実施することが可能だ。こういった利用方法はタブレットPCならではのもので、これまでのPCに対するイメージを大きく変えていくだろう。

 そしてT8210は、タブレットPCとしてだけではなくB5ファイルサイズのモバイルノートPCとしても、申し分のない仕様が実現されている。ノートPCとしても快適に利用でき、さらにタブレットPCの機能を活用して、通常のノートPCにはない効果と利便性が得られる。

 高いセキュリティ性とも相まって、これからのビジネスノートのスタンダードと言ってもよい非常に魅力的な製品である。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日