“実”をともなうスタイリッシュボディにデジタルチューナーまで内蔵──PC対応26V型液晶テレビ「EIZO FORIS.TV SC26XD1」レビュー(2/2 ページ)

» 2005年10月31日 14時30分 公開
[ITmedia]
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オールインワンというスタイルは、リビングに置くための“1つの解”

 テレビでもPC用ディスプレイでも、スタンド付きというスタイル、しかも、これほどの高さを確保した本体は、ほかにあまり見かけない。これはひとえに、シンプリーコンプリートを実現するため、本格的な音響システムを内包したゆえんであろう。しかし、仕事場や書斎の机の上にPC用ディスプレイを置くならともかく、テレビをリビングに設置する場合などはテレビ台との組み合わせが前提となるわけで、この製品のスタイルはある意味で正解といえるだろう。

リビングに設置して画面を表示したところ。スタンド付きのため、テレビ台などと組み合わせなくてもベストな視聴ポジションが得られる

 また、スタンドは360度スウィーベルが可能な構造のため、向きはいくらでも自由に変えられる。全高も基本は約90センチだが、100/110センチと3ポジションで調整可能だ(本体を横にして、ネジ止め作業を行う必要がある)。SC26XD1は、リビングへ置いて、PCとテレビの両方で活用するのが基本形である。実際にそのスタイルを試みれば、このスタンド一体型による高さ設定が、実は絶妙だということに誰しも気づくだろう。

 この製品はワイド26V型を採用しており、画面の高さは32.3センチ。ハイビジョン映像を観る場合、最短での最適視聴距離はおよそ1メートル(画面の高さの3倍)となる。つまり、ソファに座って眺めるなら、テレビはソファテーブルの反対側に密着するくらいの位置でいいわけだ。しかも、この設置スタイルであれば、PCで使う場合にも、そのままテーブルの上にキーボードとマウスを置けばいい。ユーザーはほんの少し前に乗り出すだけで、楽に操作ができる。画面が遠すぎて、目を凝らすという事態に陥ることもない。

 さらに言えば、ソファテーブルの一般的な高さは40センチほど。幅を持たせても、35〜45センチ程度だろう。一方、この製品のスピーカーの高さは3ポジションで、各々36/46/56センチだ。つまり、ソファテーブルを前にしても、スピーカーは隠れもせず、無駄に画面が高くもない、ちょうどいい位置となるわけだ。

 入力類は、前述のPC(アナログVGA)、HDMI端子のほか、D4入力を2系統、ビデオ入力(S/コンポジット)を2系統、さらに、コンポーネント映像入力を装備し、もちろん各々に対応するステレオ音声入力(PCのみステレオミニジャックで、ほかはすべてステレオRCAピン)も用意されている。また、内蔵の地上/BS/CSデジタル放送チューナーから外部機器へのビデオ出力(S/コンポジット)も可能なほか、i.Linkも2系統装備しているため、HDDレコーダーやD-VHSデッキへのMPEG2-TS転送にも対応できる。

インタフェース類は、背面向かって右側のカバーの内部に配置されている。上部(中央の写真参照)には、PC接続用のアナログVGAやコンポーネント入力、HDMI入力、デジタルチューナーから外部機器へのビデオ出力(S/コンポジット)、i.Link×2など、下部(右側の写真参照)には、ビデオ入力(S/コンポジット)×2、D4入力×2を装備する

 液晶パネルの画素数は1366×768ドットで、輝度は500cd/m2、視野角は水平/垂直とも170度と、PCでの利用にも、テレビ視聴でも、快適に視聴できる表示性能を持つ。また、ナナオ製品らしく、多岐にわたる詳細な映像調整も可能なうえ、自動コントラスト拡張、色温度調整、ガンマ補正も行える点はいうまでもないだろう。

 この製品では、ナナオが新たに開発したEIZOオリジナル画像エンジンを採用することで、コントラスト比を約1.6倍まで高め、特に黒が引き締まったメリハリのある映像を実現した。具体的には、リアルタイムでシーンを解析し、その内容に応じて、バックライトの明るさやゲインレベルを制御、さらに、ガンマ値の補正を行っているという(コントラスト拡張機能)。実際にPCの画面からデジタル放送のハイビジョン映像まで眺めてみたが、デフォルト設定のままでも、十分に自然かつ高品位な映像を提供してくれる。

 また、見た目で特に優秀だと感じたのは、スケーリングやIP変換の性能だ。HDMIやD3経由で1080i入力を行った場合、製品によってはチラツキやジャギーが目立ってしまうことも多いが、SC26XD1ではそうしたノイズのほとんどない安定した表示のため、非常に見やすい映像が得られる。また、SD映像からのアップスキャンコンバートでも、妙にぎらついた色合いになったり、立体感が失われることはなく、自然な色表現・階調表現が再現可能だ。

 もちろん、PCとの接続においては、グラフィックスカード側で液晶パネルの画素数と同じ1366×768ドットの表示モードを選んでやれば、最高の表示品質が得られる。アナログRGB伝送ではあるものの、輪郭ブレや色にじみもほぼ見受けられない。

 SC26XD1はワイド26V型という巧妙なサイズ選択により、1台でPCからハイビジョン放送までの美しい画像を視聴ポジションを変えることなく楽しめる。しかも、FORIS.TVシリーズならではの余裕のある本体サイズを生かして、10センチのフルレンジ・バスレフスピーカーと3.1リットルのエンクロージャーを採用した。

 ダブルコーンを採用したスピーカー部は、低域から高域まで自然なつながりを実現し、幅広いソースに対応する音響設計となっている。実際、音質の高さはもちろん、特に音場の広がりに優れているように感じられた。テレビ内蔵のスピーカーシステムとしては、かなり高いレベルにあるといっていいだろう。

 さらに、今後は必須ともいえるHDMI端子まで装備ずみだ。しかも、これほどの豊富な機能と高い性能を実現しつつ、20万円を切る価格を実現している。特に、PCを中心にデジタルライフの幅を広げたいと考えているユーザーによっては、実に魅力的な製品といえるだろう。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日