“タブレットPC”からペン機能を備えた“普通のノートPC”の1モデルへ──日本HPの新タブレットPC戦略を聞くインタビュー(2/3 ページ)

» 2005年11月08日 10時30分 公開
[池紀彦,ITmedia]

ITmedia 顧客からのフィードバックの結果、ということなのですね。とはいえ、これまでと全く異なるタイプの製品です。製品の開発や発売までにはいろいろと問題があったのではないですか?

挽野 tc4200に関しては、TC1000/1100のノウハウに加えて、ノートPCのノウハウの両方を活かすことができました。tc4200は欧米では2005年2月に発売済みですが、特に何の問題もなくスムーズに行えました。

日本HP初のコンバーチブル型タブレットPC「HP Compaq tc4200 Tablet PC」。コンバーチブル型を採用したのは、普通のノートPCの付加機能の1つとしてタブレット機能を提供するためだという

ITmedia 欧米の話が出ましたが、日本と欧米ではタブレットPC市場に違いはあるのでしょうか?

挽野 ピュアタブレット型の引き合いは日本が一番強いですね。日本では以前から受発注や在庫管理システムなどでペン対応の専用端末がよく使われていたので、ピュアタブレット型の方が馴染みやすかったのでしょう。逆に欧米はタイプライターの文化が根強いので、ノートPCとしても使えるコンバーチブル型の方が引き合いが強いようです。

ITmedia TC1100はtc4200と併売するのですか? お話を聞いていると、ピュアタブレット型の需要は今後もあるように思えるのですが。

挽野 TC1100は在庫がなくなり次第販売終了となります。私もTC1100を愛用しているのでなくなってしまうのは寂しいですが、タブレットPCは現在進化の過程にあり、現在のお客様が望んでいる形状がコンバーチブル型であるならば、そちらにシフトしていくのが自然の流れだと割り切っています。

山上正彦氏(以下、山上) tc4200がコンバーチブル型を採用したのは、現時点ではこの形状がふさわしいと考えたからです。もし将来的にTC1100のようなトランスフォーム型がふさわしいということになれば、もちろんそういった製品をもう一度製品化していきます。

ビジネス向けノートPCとしての機能・仕様をしっかりと作り込む

ITmedia tc4200の開発面で苦労した点などはありますか?

挽野 tc4200は、TC1000/TC1100の開発で得たノウハウと、長年にわたって蓄積してきた通常のノートPCのノウハウを組み合わせて開発したので、あまり苦労はなく、非常にスムーズでした。今回のモデルは台数が出ることを見込んでいるので、ノートPCとしての堅牢性の高さや本体の作り込みに力を入れています。

ITmedia 実際に試用して感じたことなのですが、tc4200はノートPCとして見ると少々重めですね。もう少し軽くならなかったのでしょうか?

挽野 tc4200はノートPCとしてのパフォーマンスや、本体の堅牢性、バッテリー駆動時間といったモバイルマシンとしてのバランスなどを重視して設計しています。先ほどもお話しましたが、ノートPCとしての機能や仕様をしっかり作り込むことに注力したので、このような形に落ち着きました。市場が広がり、出荷台数が増えていけば製品バリエーションを増やせるようになるので、その段階で軽量モデルを出すことも検討していきたいです。

ITmedia ボディに剛性があるので安心感がありますね。液晶ディスプレイの回転部なども実にしっかりしていました。パームレストが防弾素材というのもすごいですね。普通はあまり強化しない部分だと思いますが。

山上 パームレストは腕時計やアクセサリーなどで傷が付きやすいので、それを防ぐために防弾・防爆用にも使用されている高強度・硬度な特殊ポリカーボネート素材の「レキサン」を採用しました。弊社では「スクラッチフリーコーティング」と呼んでいます。また、キートップや液晶カバー、タッチパッドには特殊塗装の「インモールド・ラミネーション・コーティング」を施して、はげたり傷が付いたりしにくくしました。これらはユーザーからの要望に対応させていただいた部分です。

ITmedia キーボードのクリック感も良好ですし、タッチパッドとポイントスティックの両方を備えているのも、広いユーザー層に利用してもらおうという考えからでしょうか。

挽野 TC1000/TC1100ではポイントスティックのみを搭載していましたが、タッチパッドをお使いのユーザーも多いので、tc4200では両方を搭載することにしました。


パーソナルシステムズ事情統括モバイルビジネス本部プロダクトマネージャー 山上正彦氏

山上 キーボード周りでは、キーボードと本体の間に「マイラー」という電絶・非浸透フィルムをはさんで、万一キーボードに液体をこぼしてしまってもすぐに本体内部に侵入しないようにしました。マイラーは電気も通さないので、帯電した手でキーボードを触っても本体内部の電子部品に影響しにくくなっています。

 筐体の素材も、B5モバイルノートPCの「nc4200」と同じバスタブ形状のマグネシウムダイキャストを使用しているので、たわみやねじれなどにも耐えられる作りです。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日