2005年はナナオの液晶ディスプレイに多数の新モデルが登場した年だった。ラインアップも微妙に変化したため、個人向けとして注目しておきたいモデルを中心に全体像をまとめていく。簡単ではあるが、購入製品を選ぶ際のチェックポイントも解説しよう。
ナナオの液晶ディスプレイを整理するにあたって、基本的な仕様でソートできるようにした。それぞれのボタンをクリックしてもらうと、画面サイズ、液晶パネルの駆動方式、表面処理、PC入力、ArcSwing 2(スタンド)の有無、スピーカーの有無によって、該当モデルを一覧できるようになっている。
簡単なスペックは一覧表にも掲載したが、より詳細なスペックは各モデルの紹介記事を参照してほしい。一覧表の製品名の部分をクリックすると、該当記事にジャンプする。スペックの“読み方”については、過去に掲載した「ITmedia流液晶ディスプレイ講座」も参考になるだろう。
軽く触れておくと、輝度はだいたい250cd/m2が1つの基準となる。個人用途であれば、映像鑑賞でも250cd/m2で十分だ。ビジネスアプリケーションやインターネット用途では、輝度はずっと低く設定して使うことになるだろう。
コントラスト比は、基本的に高いほうがよい。好みもあるが、コントラスト比が高いと画面がくっきりメリハリがつき、階調の表現力も向上する。この辺については、「ITmedia流液晶ディスプレイ講座:第2回」を参照してほしい。
画面サイズは画面解像度とも関係が深い。現在の主流は17インチのSXGA(1280×1024ドット)だが、徐々に19インチのSXGAにシフトしている。どちらも画面解像度が同じなので、19インチのほうが文字やアイコンが大きく表示されて見やすい。
20インチ以上になると、従来通りのアスペクト比「4:3」でUXGA(1600×1200ドット)の製品と、ワイド画面の製品が登場する。ワイド画面はPC用途でも映像鑑賞でも使いやすく、人気が急上昇中だ。これから購入するなら、20インチ以上でワイド画面の製品がお勧めだ。
液晶パネルの駆動方式は画質に大きく影響する。詳しくは「ITmedia流液晶ディスプレイ講座:第4回」を参照してほしいが、階調性や視野角による色変化/輝度変化の少なさといった理由から、静止画の表示品質が高い順にIPS方式、VA方式、TN方式となる。
映像やゲームの表示品質には応答速度が重要で、応答が速ければ残像感やぼんやり感が少なくなる。スペックに表記される液晶ディスプレイの応答速度は、画面が「黒→白→黒」(白→黒→白)で変化するタイムと、中間階調で変化するタイムに分かれる。表示色の大部分は中間階調なので、購入製品を検討する際にはこちらを重視するべきだ。
ここで注目したいのは、VA方式の液晶パネルとオーバードライブを組み合わせたモデル。オーバードライブは中間階調の応答速度を高める技術で、家電の液晶テレビでも広く採用されている。応答速度については「ITmedia流液晶ディスプレイ講座:第3回」が詳しい。一般論を簡単にまとめると、TN方式は「黒→白→黒」(白→黒→白)の応答速度は優秀だが、中間階調では大きく低下する。IPS方式の応答速度は全般的に遅めだが、階調全域で数字のバラつきが少ない(中間階調の応答速度はそれほど悪くない)。これもまた一般論だが、中間階調の応答速度を速い順に並べると、VA方式+オーバードライブ、TN方式(8msパネルの場合)、IPS方式、VA方式となる。
液晶パネルの表面処理は、光沢タイプとノングレアタイプに分かれる。光沢タイプは発色が鮮やかである反面、外光がほぼストレートに反射して画面に写り込むという弱点がある。ノングレアタイプは外光の反射はほとんどないが、鮮やかさやコントラスト感で光沢タイプに及ばない。何度か述べてきているが、動画などの「鑑賞」には光沢タイプ、いろいろな「作業」にはノングレアタイプが向いている。「ITmedia流液晶ディスプレイ講座:第1回」も参照してほしい。
ナナオの液晶ディスプレイは、多くのモデルが2系統のPC入力を装備している。ミドルクラスでは、アナログ接続用のD-Sub15ピンコネクタとデジタル接続用のDVI-Dコネクタの2系統だ。20インチ以上の上位クラスになると、アナログ/デジタル両用のDVI-Iコネクタ×2となる。DVI-Iコネクタはケーブルによってアナログ入力とデジタル入力を使い分けられるため、汎用性が高い。
ArcSwing 2は、高機能なスタンド機構だ。チルト、スイーベル、高さ調節を備え、中でも高さ調節の昇降範囲が広い点が使いやすい。画面部分が「弧」を描くようにスムーズに昇降し、デスクのすぐ上の位置まで画面を下げられる。ノートPCと同じように画面を見下ろす位置で使うと、目、肩、首の負担が少ない。画面の位置を変更する機会はそれほど多くないだろうが、液晶ディスプレイのスタンドとしてはトップクラスの使い勝手だ。
スピーカーを内蔵するモデルは「MultiEdge」というカテゴリに属し、大きく分けて2種類がある。1つはオマケ的なスピーカーで、音質は正直いまひとつ。もう1つは「SRS WOW」というバーチャルサラウンドを採用したタイプで、かなり良質なサウンドが楽しめる。
スピーカーの有無や音質に求めるレベルはユーザーによって大きく異なると思うので、外部スピーカーの導入(設置スペースや予算なども)も含めて検討したい。
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日