S2410Wの感想や、CRTと比べて変わった点などはどうだろうか。
「第一印象では、画面が広い(高解像度)のはもちろんですが、眩しい! という意見が多かったですね。ほとんどのオペレータが画面の輝度を最低近くに下げて使っています。また、業務的にカラーマネジメントは要求されませんので、画面モード(FineContrast)はテキストモードが多いようです」(津田氏)
眩しいという声には、筆者も同意だ。S2410Wには何度か触れているが、通常は輝度を0〜20%程度に落さないと、目に厳しい(もちろん個人差はあろうが)。ナナオの液晶ディスプレイは輝度の調整範囲が広いので、環境光など液晶ディスプレイの設置環境や使用状況に合わせて積極的に調整して使用したいところだ。
津田氏によると、CRTに比べて目の疲れが減ったという意見が多いようだ。これにはいろいろな要素が関係している。ひとつは画面表示がクッキリしたことだ。CRTの場合、製品によって程度の差はあるが、どうしても細部のぼんやり感と色のにじみが否めない。
刊広社で制作する住宅地図のAutoCADデータは、地図情報の文字や線が細かく色分けされている。CRT時代は画面に少し近寄って凝視しないと、色の区別がつかないことがあったが、S2410Wでは普通の姿勢と視聴距離で判別できるようになった。これには、S2410Wの高いコントラスト比「1000:1」も貢献している。
もうひとつ、S2410Wが備えるオーバードライブの存在もある。オーバードライブと言うと、動画の表示性能を高めるものと考えがちだが(それは正しい)、実はCAD系のソフトでもメリットが大きいのだ。線画や3Dオブジェクトを画面上で動かすときに、オーバードライブがあるとちらつきが減る。CRT全盛の古い時代を知っている人にはお分かりいただけると思うが、インターレースや低いリフレッシュレート(おおむね70Hz以下)で表示すると、画面がちらついて目が疲れやすかったという経験があるだろう。
あとは、S2410Wのスタンドである「ArcSwing 2」の効果だ。住宅地図の制作では、紙の書類や資料を机の上に開き、それらとディスプレイを交互に見ながら入力/修正していく。その際に、CRTだと視線の移動が大きく、結果として目や肩、首が疲れやすくなる。一方ArcSwing 2の場合、S2410Wの画面を机のすぐ上に持ってくることができ、さらに画面を見下ろすように設置できる。視線の移動が小さくなることによる目、肩、首の疲れ具合は、長時間の作業になるほど差がつく。
オペレータの皆さんにも感想を聞いてみた(お忙しいところありがとうございました)。共通していたのは、最初は鮮明すぎてびっくりしたが、調整して慣れたあとは仕事がしやすくなったということ。広い画面と細部まではっきり見える鮮明さが好評のようだ。また、高解像度のワイド画面は自由度が高いため、自分の使いやすいようにAutoCADのツールバーをうまく配置されていた。
また、20インチクラスのCRTはかなり巨大だが、S2410Wになったことでオフィスに開放感が出たこともメリットとして挙げている。
「それと消費電力ですね。液晶はCRTの半分以下ですから、これから液晶(S2410W)の台数が増えていくと、電気代の削減も目に見えてくると思っています。熱も全然違いますから、夏になるともっと実感できるかなと期待しています」(谷口氏)
会社概要
社 名 :(株)刊広社
本 社 :石川県金沢市大手町15-26
資本金 :1億円
従業員数:210名
創 業 :昭和37年5月
業務内容:住宅地図の制作・販売、マッピングシステム、オーダーマップ、カレンダー、企画デザイン、印刷
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日