マイクロソフトがVistaのライセンス条件を開示:XPからのアップグレードは要注意!?(2/2 ページ)
マイクロソフトが、日本におけるWindows Vistaのライセンス情報などについて説明会を実施した。
Windows XPではできなかった上位SKUから下位SKUへのダウングレードにも対応
そしてもう1つの注目すべき情報は、Windows XPまではできなかった、上位SKUから下位SKUへのダウングレードが可能になっていることだ。
例えば、Windows XPへのアップグレード時には、Windows MeからWindows XP Home Editionという同じ位置づけのSKUや、Windows XP Professionalという上位SKUへのアップグレードが可能になっていたが、Windows 2000からWindows XP Home Editionといった下位のSKUへは移行できなかった。「従来のWindowsでは、下位のSKUへダウングレードできない仕様になっていた。これは下位のSKUへ移行した場合、Windows 2000からWindows XP Home Editionへのバージョンアップの場合にはドメインログオンの機能が使えなくなるなどの問題が発生することを防ぐためだった」との通り、下位SKUにダウングレードした場合、森氏の発言にあるような問題が起きるのを未然に防ぐためだった。
これがVistaでは変更される。「Vistaでは上位SKUから下位SKUへの移行が可能になる」との通り、Windows XP ProfessionalからVista Home Basicへのダウングレードが可能になるのだ。ただし、上位SKUから下位SKUへ移る際には大きな制限がある。「上位SKUから下位SKUへ移行する場合、いわゆるアップグレードインストールはできず、新規インストールのみとなる」というのがその制限だ。
Windowsをインストールしたことがあるユーザーであればお分かりの通り、Windowsのインストールには従来の環境(例えばレジストリやブラウザのお気に入り、Cookieなど)を引き継いでOSをバージョンアップするアップグレードインストールと、これまでの環境を引き継がず新しいOSとしてインストールする新規インストールがある。ところが下位のSKUへ移る場合にアップグレードインストールはできず、新規インストールのみが可能で、以前のWindows関連ファイルは、windows.oldといったフォルダに強制的に移動させられ、ブラウザのお気に入りやcookieといった環境も引き継がれないという。つまり、クリーンインストールしたのとほぼ同じような状態でのみインストールが可能だ(ファイルはHDD上に残っているので、クリーンインストールよりも移行は楽かもしれないが)。
このため「マイクロソフトとしては上位SKUから下位SKUへの移行はおすすめしないというのが基本姿勢。とくに日本ではXP ProfessionalからVista Home Premiumへ移りたいというユーザーが多いと思われるので、早期に情報を開示して注意を呼びかけていきたい」という。
森氏も述べているように、日本ではVista Home Premium相当であるXP Media Center Editionの普及率が米国に比べて低く、かつXP Professionalの普及率もほかの市場に比べると高いというやや特殊なマーケットであるため、このような問題が発生する懸念がある。なお、XP Professionalのユーザーで、アップグレードインストールをしたいというのであれば、下記の表の通りUltimateを選択するというのがもっともよいということになるのではないだろうか。
VistaのアップグレードキャンペーンでPC販売の上積みを目指す
このほか、マイクロソフト プラットフォームビジネス推進本部 春原久徳氏が、Vistaのアップグレードキャンペーンに関する説明を行った。すでにマイクロソフトは10月26日から現在販売されているWindows XPベースのPCに、Vistaへ安価にバージョンアップできるクーポン券を添付するキャンペーンを開始しているが、今後もリテールチャンネルの店頭などで、ユーザーがVistaに実際に触れるキャンペーンプログラム“Windows Vista Touch Point”などを展開し、Vistaリリースを前に落ち込み気味のPCの販促を行っていくという。
「すでにホワイトボックスの製品では効果が出始めている。国内のPCベンダーが前年同期に比べて下回っているという厳しい状況の中、ホワイトボックスは前年同期とほぼ同等に収まっている」と述べ、今後もキャンペーンなどを通じてユーザーの関心を高めていきたいとまとめた。
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