「Vistaじゃ使えねえぇぇ」――見捨てられた周辺機器で幸せになる:“タダ”で幸せになるソフトウェアパラサイト(3/3 ページ)
今回は「VirtualBox」の話。動け!いま動かなかったら何にもならないじゃないか……だから、動いてよっ!――プリンタを見つめながらそんなセリフを吐いたことがある人は必見だ。
ファイルの共有方法は2つ
Virtual PCの場合はホストOSからゲストOSのデスクトップにファイルをドラッグ&ドロップすることで簡単にデータをコピーできた。しかし、VirtualBoxにはそのような連携機能はないため、共有フォルダを利用してファイルのやりとりを行う。共有フォルダの設定方法は次の2通りがある。
まず1つは一般的な共有フォルダを利用する方法だ。VirtualBoxのネットワークアダプタの設定でNATを指定した場合(デフォルト)、ホストOSのNAT側IPアドレスは「10.0.2.2」に設定される。そのため、ホストOSでフォルダに共有設定を行い、ゲストOS側で「\\10.0.2.2\[共有名]」のように指定する。Windowsの標準的な手法なので設定は簡単だろう。ただ、同一PC上でしか使わないのに共有フォルダとして開放することに不安を感じるかもしれない。
そういったちょっぴり神経質な人は、VirtualBox独自の共有フォルダ機能を利用する。この方法ではホストOS、ゲストOSの両方でコマンドを直接実行する必要がある。まず、ホストOSでコマンドプロンプトを開き、VirtualBoxのインストールフォルダに移動するため、次のように入力する。
cd "\Program Files\InnoTek VirtualBox"
次に、共有フォルダとして利用したいフォルダを「C:\tmp」、共有名を「vbshare」、仮想PCの名前を「WindowsXP SP2」とした場合は、
VBoxManage sharedfolder add "WindowsXP SP2" -name "vbshare" -hostpath "C:\tmp"
と入力する。なお、仮想PCが実行中だと失敗するので、必ず仮想PCを終了させてから実行しなくてはならない。コマンドが正常終了したら仮想PCを起動し、ゲストOSからコマンドプロンプトを開いて次のように入力する。
net use x: \\vboxsvr\vbshare
ここで「x:」は共有フォルダを割り当てたいドライブ、「vbshare」は共有名を指定する。ホスト名のvboxsvrは固定だ。コマンドプロンプトでの操作に抵抗感がなければこちらを利用するほうがいいだろう。
見捨てられたUSB機器がいま再び立ち上がる
さて、いよいよUSB機器の設定を行う。実際のPCに接続されたUSB機器をゲストOSがどのように認識するのかというと、ホストOS側にVirtualBox独自のドライバが組み込まれ、それがゲストOSに橋渡しするような形になる。そこでまず、どのUSB機器をゲストOSに渡すかを設定する必要がある……意味が分からなくても下の手順に沿っていけば問題ない。
まずVirtualBoxを起動し、仮想PCを選択してSettingsボタンをクリックする。USBの設定画面でEnable USB Controllerにチェックを入れ、USB Device FiltersのUSBコネクタに「+」マークが描かれているアイコンをクリックし、表示されるUSB機器のうち、ゲストOSに渡したいものを選択する。当然ながらゲストOSに渡したUSB機器はホストOS側では使用できなくなるので、必要最小限にしておく。
設定が完了したらいったんUSB機器を取り外す。試してみたところ、ホストOS側ですでに認識されている機器をデバイスマネージャ上から削除し、再度ハードウェア変更のスキャンをおこなって再認識させてもVirtualBox側で認識されなかった。VirtualBoxで使用するUSB機器は抜き差ししやすいUSBポートに移しておくといいだろう。再度接続し、正常に認識されればデバイスドライバ上でVirtualBox USBと表示される。
仮想PCを起動すればさきほどのUSB機器が検出されるので、あとは通常と同じようにドライバをインストールすればよい。
動いてよっ、で実際に動作したUSB機器
これで「革新的な最新OS」に対する憎しみも少しは緩和されるにちがいない。参考までに筆者が実際に試し、正常動作が確認できたUSB機器を紹介しておこう。
- イメーション「Disc Stakka」
- エプソン「PM-970C」
- ブラザー「P-touch 9200pc」(※)
※USB⇔RS-232C変換アダプタを経由して使用
ただ、すべての機器が動作するわけではないようだ。実際、カノープス製キャプチャユニット「MTVX-HF USB」は動作しなかった。正常に認識はされるのだが、FEATHERを実行し、TV画面を表示させようとするとエラーで終了してしまう。動画を再生すると落ちる、という声もあるので、このあたりはちょっと鬼門かもしれない。
マイクロソフトは既存の資産を活用しつつ、新しいOSへの移行を促すために仮想化技術を推進している。しかし、そのためにはハードウェアのサポートこそが重要なはずだ。そして、周辺機器の多くがUSBインタフェースを採用している現在、ここをカバーすることがどれだけ大きなメリットになるかは、このVirtualBoxで証明されている。Windows Vista導入のハードルを下げる仮想化技術、ぜひ試してみてほしい。
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