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自宅のPC画面を出先から操作する新技術など――NECブースCEATEC JAPAN 2007

CEATEC JAPAN 2007のNECブースでは、新技術を使ったPCの遠隔操作や、デジタル放送の録画番組を複数クライアントへ同時配信するデモなどが行われている。

 10月2日、NECはCEATEC JAPAN 2007に出展しているブース内で、同社ホームサーバに関する技術説明とデモンストレーションを行った。紹介されたキーテクノロジーは3つ。

 1つは「リモートスクリーンテクノロジ」で、専用チップによりPCの画面・音声情報をリアルタイムにキャプチャ・圧縮し、ネットワークを通じてクライアント機器に転送、クライアント側でデコードして表示するというもの。「通常のデスクトップ画面を30fpsでキャプチャすると数百メガの帯域が必要になるが、今回開発したリモートスクリーンエンジンを採用することで、数メガから十数メガでも転送が可能になる」(NECパーソナルプロダクツ株式会社 ユビキタス事業開発本部長 栗山浩一氏)。また、非力なモバイルPCでも、自宅の高性能なPCをそのまま利用できるのが特徴だ。

 圧縮方式は、「ほぼロスレス圧縮と同等」の差分圧縮(画面上の動く部分を対象にする)のため画質劣化がほとんどなく、(実際のデモでは動画の全画面表示などでコマ落ちが発生していたものの)通常のデスクトップ操作ではほぼ完全に同期していた。クライアントと(自宅の)PC間はVPN接続を採用してセキュリティを確保するほか、ルータのポート自動開閉や、機器認証、クライアント側からのリモートパワーオンにも対応する。

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ホームサーバの新たな3つのコア技術(写真=左)。デスクトップ画面をリアルタイムで圧縮・伸張するリモートスクリーンテクノロジ(写真=右)
ほぼロスレスの圧縮方式で実際のデモでも画質の劣化は見えない(写真=左)。リモートスクリーンエンジンを搭載したエンコーダボード(写真=右)

 2つめは、「マルチレコードキャストテクノロジ」と呼ばれる、デジタルハイビジョン放送の2番組同時録画・2番組同時配信を実現する技術。同社独自のミドルウェアとファイル管理方式の採用により、HDDのアクセスを高速化させたほか、専用LSIで配信制御を行うことにより、同時録画と同時配信を可能にしたという。この“専用の管理方式”は具体的に、システム内に録画専用のHDDを搭載し、独自のファイルシステムを採用している。

 3つめは、ホームサーバ内をPC部分とレコーダ部分に分けて管理し、安定稼動を実現する「ハイリライアブルデザイン」技術。先述のマルチレコードキャストテクノロジで触れた録画専用HDDとも関係しているが、複数台搭載された録画用HDDは一定間隔で分散書き込みが行われ、HDDの耐久性を確保するという。また、レコーダ側には24時間でシステムを監視するマイコンが搭載されており、システムダウン時には自動復旧する仕組みになっている。

「マルチレコードキャストテクノロジ」と「ハイリライアブルデザイン」を組み合わせて、デジタル放送の録画番組を同時配信するデモ(画面=左)。複数台のHDDを搭載し、レコーダ機能とPC機能で内部がセパレート構造になっている試作機が展示されている(画面=中央)。専用LSIを採用することで、実際に同時配信中でもCPU(デュアルコア)の負荷はそれほど高くないようだ(画面=右)

 同社は、ホームネットワークに対応したデジタル家電の普及や、通信インフラの拡充にともなう「いつでもどこでもPCの機能を利用したい」というニーズの高まりを受けて同技術を開発。2008年前半での商品化をめざす。

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