レビュー

国産ゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」の実力を試すニッポンの本気(1/3 ページ)

日本人によって開発された日本人向けのゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」を、DHARMA POINTブランドのマウスパッドや、ゲーマー向けキーボードとともに検証する。

DHARMA TACTICAL MOUSE

 コンピュータの進化とともに、さまざまな形態でコンピュータゲームが供給されるようになって久しい。ニンテンドーDSPSPGP2Xといったポータブル型、WiiPS3XBox 360などTVに接続する据え置き型、そしてPC。1ユーザーに対して複数のプラットフォームが存在するようになり、ゲームの種類によって、市場規模だけでなくハードウェア特性も含めた最適なプラットフォームが選択されるようになった。

 例えばPCゲームは、PCならではの理由をもったゲームに集約されつつある。ハードウェアメーカーのライセンスを必要としないこと、そのために販売に至るまでの規制が緩いことなどから、いわゆる美少女ゲームはPCの独壇場だし、高精細なディスプレイによる大量の情報表示、ほぼ100%と言ってもよいネットワーク常時接続環境、テキストを直接入力できるキーボードを搭載していることからMMORPGなどのオンラインゲームも多い。そして複雑な描画演算と物理計算によって高いリアリティを誇るFPS(一人称視点シューティングゲーム)はグラフィックスカードの性能を限界まで引き出す、ある種のフラッグシップアプリケーションとも言える存在となっている。

 そのような状況を背景に、現在のPC用ゲームデバイス市場でもっとも熱いのがゲーミングマウスだ。今回は日本発のゲーミングマウスとして熱い注目を集めるシグマA・P・Oの「DHARMA TACTICAL MOUSE」(以下、DTマウス)を評価するとともに、マウスパッド「DHARMA TACTICAL PAD(HARD TYPE)」(以下、DTPハード)と「DHARMA TACTICAL PAD(SOFT TYPE)」(以下、DTPソフト)、そしてDHARMA POINTブランドではないが、同じくシグマA・P・Oのゲーミングキーボード「GMKB109」を紹介しつつ、PC用ゲームデバイス選びのポイントを考えていこう。

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FPSに求められるもの

一般的なFPSの操作

 先に述べたとおり、現在のPCゲームの真骨頂と言えるゲームはFPSだ。基本的な動作は共通しており、一般に左手でキーボードを操作して武器の交換や移動などのアクションを行い、右手で視点移動と照準をマウスで制御し、マウスボタンで攻撃する。

 もちろん、いま使っているマウスやキーボードでもFPSを始めることは可能だ。むしろ、そういったユーザーが大半だろう。しかし、自分のテクニック、経験が蓄積され、上達していくに従って、一般向けのマウスでは不満を感じるようになるユーザーは多い。キーボードを使った移動が基本的に一定速度であるのに対し、照準を受け持つマウス操作は2次元平面上のあらゆる角度、速度、距離を反映するため、キーボードやゲームパッドに比べて、操作の幅が非常に広い。

 そのため、ゲームに慣れないうちは気付かなかったタイムラグや、マウスを動かす自分の感覚と実際のポインタとのズレ、動かしにくい角度や位置などが、ゲームに習熟すると気になってくる。そもそもFPSではいくら移動(キーボード操作)がうまくても、照準を合わせられなければ敵を倒すことはできない。aim(照準を合わせること)は戦術以前の重要なスキルとなっており、自分の意思を的確に伝えられる高性能なマウス、言いかえれば目的のポイントへのすばやい移動、正確なクリック動作を可能とするマウスを求める声が高くなるのはごく自然なことだ。実際、ほとんどのゲーミングマウスの仕様はこの2つを満たすことをベースとしたうえで、製品独自の機能を付加しているといっても過言ではない。

スペックから読み取る移動検出性能

 移動検出に関するスペック要素としては、センサの種類、解像度、スキャンレート、リポートレート、リフトオフディスタンスなどがある。センサの種類は古くはボール式(機械式)だったが、ボールの回転を伝達するローラーが汚れるとマウスが「滑る」現象が発生しやすい。そのような機械的な読み取りミスをなくし、メンテナンスフリーにしたのが光学式だ。マウス底面から接地面を連続して撮影し、前後の映像を比較することでどの方向にどれだけ移動したかを検出するもので、撮影の頻度(スキャンレート)が低かったり、精度が低かったりすると移動を正確に検出できない場合がある。また、検出した移動をどれくらいの頻度でPC側に報告するか(リポートレート)によってはすばやい操作のディテールに欠ける場合もある。なお、現在の製品では光源にレーザーを使用したレーザ式が用いられることが多い。

 とはいえ、単純なスペック競争にはならないのがマウスの難しいところ。ボール式より光学式、光学式よりレーザー式が優れているとばかりは言えない。例えば、マウスを浮かした時にマウスの動きが検出されなくなる距離のことをリフトオフディスタンスというが、これは一般にボール式、光学式、レーザー式の順に短いと言われている。

切り返しをしているところ。分かりやすいように極端な体勢を取っているが、切り返しの際にはマウス前方を高く上げることが多い

 FPSではプレイヤーの視点をマウスで操作するため、極端な話、右折ばかりを繰り返しているとマウスは延々と右方向に移動させることになる。つまり、必ずマウスの「切り返し」は必要となるが、その際にすばやく移動させようとしてマウスを持ちあげる高さがリフトオフディスタンスに満たないと、プレイヤーは文字通り“右往左往”することになる。これにはセンサーの位置も関係してくるだろう。個人差にもよるが、切り返しでマウスを持ち上げる場合、マウス前方をより高く持ち上げる傾向にある人は、マウス底面前方にセンサがついているマウスなら、リフトオフディスタンスの値よりも体感的には低い位置で切れるというわけだ。

 また、「正確かつ高速な移動」という命題に対して、ユーザーがどういったアプローチを行うかによっても大きな差が出てくる。正確さを重視し、高速性にマウス自体を大きく動かすことで対応するのであれば低い解像度、つまり、画面上の1ピクセルにあたるマウスの移動量が大きいほうがいい。一方、高速性を重視してマウスのわずかな動きで操作するのであれば高解像度のほうがよいということになる。低解像度で使用する方法をローセンシ(ローセンシティビティ)、高解像度をハイセンシ(ハイセンシティビティ)というが、ローセンシプレイヤーにとっては、スペック上の最大解像度はあまり意味をなさない。この解像度はcpiやdpiで表され、1インチの移動量を何ピクセル分としてカウントできるかを示す。

 そのほか、リポートレートはマウスの移動情報をPCに通知する頻度を表わす。1秒間に125回通知する125Hzが一般的だが、1000Hzまで変更できるマウスもある。ただし、リポートレートを上げることはマウスが「飛ぶ」という現象を軽減させるものであり、必要以上に高いリポートレートはPC側にも負荷をかけるため、ゲームの進行自体に影響を与えかねない。現時点では飽和しているスペックとも言える。

スペック上に表れないフィーリング

操作性に直結するマウスホールドのフィーリングはスペックに表れない

 一方、スペックとして表れない要素もある。マウスは腕や指の動きをPCに伝えるためのデバイスであり、その形状や大きさ、重量、すべり具合などは自分の意図する動きを思い通りに伝えられるかどうかに直結する。もちろん、手の大きさや指の長さ、マウスの持ち方によっても使いやすさは異なる。

 マウスの持ち方は大きく2つに分けられるようだ。親指と小指、薬指あたりの指先で側面を持ち、人差し指、中指をいささか曲げた状態でボタン上に待機させる「つまみ持ち」、手のひらをマウスに預けるようにして自然と包み込むように持つ「かぶせ持ち」の2種類だ。

 つまみ持ちの場合は小型のマウスが扱いやすく、かぶせ持ちでは大型のマウスが安定しやすいものの、もともと欧米人に比べて手の小さな日本人の場合、海外向けのマウスでは持て余してしまいがちだ。特にワールドワイドに展開しているマウスメーカーだと、日本向けのマウスであってもパッケージやソフトウェアを日本語化しただけで、マウスそのものは欧米サイズであることが一般的だ。「日本人によって開発された、日本人向けのゲーミングマウス」が切望されていたのは当然と言える。

 そこに満を持して登場したのがシグマA・P・Oの新ゲームブランド「DHARMA POINT」だ。

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