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大事なのは“正しい色”を表示できること――液晶ディスプレイの「色域」を理解しようITmedia流液晶ディスプレイ講座II 第1回(3/3 ページ)

今回からスタートする「液晶ディスプレイ講座II」では、多数の液晶ディスプレイから自分に最適な1台を選び出すために知っておきたいポイントを解説していく。第1回のテーマは「色域」にスポットを当てよう。最近の液晶ディスプレイでは「広色域」がトレンドになっているが、誤解を招きやすいキーワードでもあるからだ。液晶ディスプレイの色域を正しく理解して、製品選びや日々の使用、調整に役立ててほしい。

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広色域の価値を高めるキャリブレーション

 広色域の液晶ディスプレイを最大限活用し、ユーザーが意図した通りの色を表示するためには、キャリブレーション環境の導入も検討してほしい。液晶ディスプレイのキャリブレーションとは、専用のキャリブレーター(測色器)で画面の発色を測定し、発色の特性をOSが扱うICCプロファイル(デバイスの色特性を定めたファイル)に反映させる仕組みだ。ICCプロファイルを経由することで、グラフィックスソフトなどで扱う色情報と、液晶ディスプレイの発色が高い精度で一致するようになる。

 液晶ディスプレイのキャリブレーションには、ソフトウェアキャリブレーションとハードウェアキャリブレーションの2種類がある点は覚えておきたい。

 ソフトウェアキャリブレーションでは、キャリブレーションを行う専用ソフトの指示に従いながら、液晶ディスプレイの調整メニューで輝度/コントラスト/色温度(RGBバランス)などを調整して、目的の発色へと手作業で近づけていく。液晶ディスプレイの調整メニューではなく、グラフィックスドライバの発色を操作する場合もある。どんな液晶ディスプレイでもキャリブレーションでき、低コストなのが利点だ。

 しかし、手動の調整なので精度にバラツキが生じたり、内部的にはソフトウェア処理でRGBの出力レベルを間引くことで表示の帳尻を合わせていることから、RGBの階調性が損なわれることがある。それでもキャリブレーションしない場合よりは、意図通りの色を再現しやすくなるはずだ。

 これに対してハードウェアキャリブレーションは、対応した液晶ディスプレイでしか利用できず、導入コストもかかるが、ソフトウェアキャリブレーションよりはるかに高精度で手間も少ない。一般的な手順としては、キャリブレーションソフトが測色器を制御し、画面の発色特性と目標の発色特性に合わせて、液晶ディスプレイの輝度やコントラスト、ガンマ補正テーブル(ルックアップテーブル)をハードウェアレベルでダイレクトに調整する。調整結果のICCプロファイル作成とOSへの登録まで、すべて自動で行える手軽さも見逃せない。

 ちなみに、ナナオの液晶ディスプレイでハードウェアキャリブレーションに対応している製品は現状で「ColorEdge」シリーズで、「FlexScan LCD」シリーズはソフトウェアキャリブレーションとなる。ColorEdgeシリーズのキャリブレーションに関してはこちらの記事(究極の色再現を目指したキャリブレーションソフト――「ColorNavigator 5.0」)も参照してほしい。

ColorEdgeシリーズでは測色器と専用のカラーキャリブレーションソフトウェア「ColorNavigator」を組み合わせることで、高精度ながら手軽なハードウェアキャリブレーションを実現している

 次回は液晶ディスプレイの「インタフェース」を取り上げる予定だ。新世代インタフェースの「HDMI」や「DisplayPort」を含め、液晶ディスプレイの映像インタフェースをまとめていきたい。

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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年3月31日

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