液晶ディスプレイとプリントの色を合わせたい!――「EIZO EasyPIX Ver.1.1」でカラーマッチング事始め:Windows 7/Snow Leopardでも使える(3/3 ページ)
画面と印刷の発色が合わないからといって、やみくもに画像データをレタッチしたり、設定をいじくり回すのはむしろ逆効果になることも多い。それでは、一体どうすればいいのか? 一番いい方法は、カラーマネジメント対応の液晶ディスプレイを導入することだが、個人ユースであれば、もっと手軽な方法もある。それは……。
再調整機能で定期メンテナンスも容易に
EasyPIX Software Ver.1.1にはカラーマッチングの再調整機能も追加された。これは以前調整した目標値でセンサーによる再測定・再調整が行えるというものだ。メインコントロールパネルで「再調整する」ボタンをクリックすると、いきなりセンサーを取り付ける画面に切り替わるので、そのまま自動測定を行えば、前回セットした目標値での再調整が実行できる。
毎日PCを使い続けているとなかなか実感できないが、液晶ディスプレイは経年変化で輝度や発色の状態が少しずつ変わるため、定期的に再調整することが望ましい。1~2カ月に1回程度の再調整を行うことで、常に最適な表示状態を維持できるはずだ。メインコントロールパネルには調整後の経過時間が表示されるほか、調整後に一定時間がたつと画面上に通知してくれる機能もあるため、この通知機能を利用するといいだろう。
カラーマッチングには周辺環境を整えることも重要
最後にEasyPIXによるカラーマッチングを行ううえでのコツについても触れておきたい。環境光の重要性については既に説明したが、プリント用紙にもそれぞれ特徴がある。さまざまなメーカーが販売している写真用紙は製品のグレードによって紙質だけでなく、紙の白色も結構変わるので、同じメーカー/シリーズの写真用紙でも製品ごとにカラーマッチングを行わないと色が合わない点は覚えておこう。
また、最近の家庭用インクジェットプリンタは、メーカー独自のチューニングにより失敗写真を自動補正して見栄えよく仕上げる処理を行うため、撮影した写真を意図通りに印刷したい場合は、プリンタドライバのカラーマネジメント設定を変更する必要がある。詳しくはプリンタのマニュアルなどを参照してほしいが、エプソンやキヤノンのプリンタドライバには色補正方法として「ICM」の選択肢があり、これを選ぶことでICCプロファイルによるカラーマネジメント設定が行え、元データに即した発色が得られるはずだ。
ただし、PhotoshopやRAW現像ソフトといったカラーマネジメントシステム対応のアプリケーションでICCプロファイルを用いた印刷設定をしている場合、プリンタ側の設定は不要になる。2重に設定すると、かえって色が合わなくなってしまうので要注意だ。
もちろん、印刷だけでなく、画面上で画像データを正しい発色で表示するにはアプリケーション側の対応や設定も欠かせない。主要なアプリケーションにおけるカラーマネジメント設定の対応状況については、ナナオのサポートページにまとまっているので、こちらも併せて参照してほしい。
EasyPIXの調整作業自体は実に簡便なのだが、現状のPC環境ではアプリケーションやプリンタなど個別の設定が求められることも多い。これはディスプレイメーカーの努力だけではどうにもならない部分で、PCで色を扱うならば、最低限の知識として押さえておいたほうがいいだろう。こうした設定さえ正しく行えば、EasyPIXのカラーマッチング性能を最大限まで引き出せる。
デジタルフォトを扱うすべてのユーザーへ
以上、EasyPIXのアップグレードポイントを一通りチェックした。本格的なカラーマネジメントに挑戦したいならば、ベストソリューションはColorEdgeになるだろうが、EasyPIXは低コストで導入できるカラーマッチングの入門機として使い勝手がよく、迷うことなく目的別の色調整が実践できる。
特に今回のバージョンアップによって、低価格帯のカラーマッチングキットながら、センサーによる紙白設定機能が行えるようになったのは朗報だ。これにより、マッチング機能の価値がぐんと高まっている。また、無償で手動によるマッチング機能が利用できるようになったことに加えて、対応機種が増え、最新OSのWindows 7やMac OS X 10.6 Snow Leopardまでサポートしたことで、幅広い環境で使えるツールに進化しているのは見逃せない。
この冬、OSをアップグレードしたり、PCや液晶ディスプレイを購入する予定があるならば、EasyPIXのカラーマッチング機能も同時に導入してみてはどうだろうか。自分で撮影した写真をプリントしたり、ブログやネットオークションにアップしたりといった用途にPCを活用しているユーザーであれば、EasyPIXはきっと重宝するはずだ。
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