“最強”カード? 「Radeon HD 7990」のパフォーマンスを検証:ほぼ7970×2基(2/2 ページ)
Maltaこと「Radeon HD 7990」が登場。Radeon HD 7900シリーズGPUを2基搭載したゲーマー向けのウルトラハイエンドグラフィックスカードだ。ベンチマークスコアを狙うオーバークロッカーや、どんな高負荷なゲームでも快適に楽しみたいゲーマーは必読!!
Radeon HD 7970に対して最大7割アップを確認
今回は、LGA 1155環境をベースに検証テストを行なっている。比較用に用意したのは、Radeon HD 7970と、前世代のデュアルGPUカードであるRadeon HD 6990の2本だ。Radeon HDシリーズの中でのポジションを、ベンチマークから確認して行こう。そのほか、テストに用いた機材は以下の通りだ。
比較対象 | Radeon HD 7990 | Radeon HD 7970 GHz Edition | Radeon HD 6990 |
---|---|---|---|
CPU | Core i7-3770K(3.5GHz) | ||
メモリ | CFD Elixer W3U1600HQ-8G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2) | ||
マザーボード | GIGABYTE GA-Z77X-UD3H(Rev.1.0) | ||
ビデオカード | リファレンスカード | MSI R7970 Lightning BE | MSI R6990-4PD4GD5 |
ストレージ | OCZ Vector(Serial ATA 3.0、128GB) | ||
OS | Windows 8 Pro 64bit | ||
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) |
3DMark 11では、Radeon HD 7970に対し、最大6割程度のスコア向上が見られた。およそRadeon HD 6990とRadeon HD 7970が近いスコアを出すのに対し、Radeon HD 7990はさらに高いスコアを出している。おそらく、Graphicsスコアのほうが性能差を把握しやすいだろう。
3DMarkも同様だが、Ice StormやCloud Gateに関してはスコアが飽和しており、アドバンテージが見えづらい。Fire Strikeに関してはPerformanceもExtremeもRadeon HD 7970比で5~6割アップといったところ。ただし、これをGraphicsスコアで見てみると、実際にはCloud Gate以上で7割前後スコアが向上していることが分かる。なお、Radeon HD 7990は、Fire StrikeのPerformance設定、GT1では60fpsを超え、70fps近く出していた。
Unigine Heven Benchmarkにおけるテッセレーション性能テストでは、こちらもRadeon HD 7970比で7割近い向上が見られた。2560×1440ドットで60fpsを超えているのは素晴らしい。
ゲームベンチに移り、まずバトルフィールド3は、Unigine Heaven Benchmarkと似たような傾向となった。どの解像度でもRadeon HD 7970に対してキッチリと十分なアドバンテージを見せている。
次のJust Cause 2は、今回、ハイエンドGPUということもあり、画質設定をできるだけ高めに設定してみたが、Radeon HD 7990の場合はこれでもスコアの天井に張り付いてしまい、2560×1440ドットのみ若干下がるものの、88fpsあたりで打ち止めなようだ。一方、Radeon HD 7970や6990は解像度が上がるにつれスコアが低下していく。差が明確な2560×1440ドットで見ると、Radeon HD 7990は7970に対し20fps以上のアドバンテージがみられる。
The Elder Scrolls V: SkyrimもJust Cause 2と似たような傾向だ。Radeon HD 7990では80fps少々で打ち止めになったが、ほかの2つのGPUは解像度が上がるにつれスコアが低下した。負荷の軽いタイトルでは、よほど高解像度でない限り、Radeon HD 7990のアドバンテージを引き出せないようである。
バイオハザード6は、ポイントで表されるため性能差を把握しづらいが、おおむねUnigine Heaven Benchmarkやバトルフィールド3に似た傾向とみられる。
今回初めて取り入れたファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク ワールド編は、マルチGPU、というよりCrossFireXのじゃじゃ馬面が出てしまった印象だ。シングルGPUのRadeon HD 7970のほうが高いスコアで、2つのマルチGPUカードはスコアが伸び悩んでいる。どのようなタイトル、どのようなシーンでもシングルGPUに対してアドバンテージがある、とは言い切れない点に注意したい。
消費電力は、アイドル時で見ると、Radeon HD 7970に対して10ワットほど高い程度に収まっており、80ワット近かったRadeon HD 6990よりもかなり低く抑えられているのが分かる。また、ZeroCore Power Technologyの特徴であるディスプレイ消灯時の消費電力抑制を確かめたところ、アイドル時に対しおよそ10ワットほど低い値が出ていた。Radeon HD 7970ではここが20ワットも下がっているので、それよりはインパクトの少ない値だったが、ほぼ変化のないいRadeon HD 6990に比べれば20ワット近くの差が生じることとなる。
一方、高負荷時は411.5ワットと、比較中最も高い値となった。同じ補助電源端子構成のデュアルGPUカード、Radeon HD 6990と比べても25ワット程度上昇している。ただし、Radeon HD 7970と比べると、およそ90ワット程度の上昇で2基のGPUによるパフォーマンスが得られることになるから、この数値の割には電力効率がよいともとれる。
高負荷なゲームタイトルやマルチディスプレイ環境で真価を発揮
今回の計測におけるパフォーマンスは、これまで紹介した結果の通りだ。CrossFireXというマルチGPUなりのクセは変わらないものの、有効に利用できるタイトルでは、シングル時と比べ一気にフレームレートが高くなる。高負荷なゲームや、マルチディスプレイ環境、120Hz表示以上のディスプレイと組み合わせてゲームを楽しみたい方に向けた製品だ。一方、負荷の軽いゲームでは、力を持て余すことになる。また、そうした負荷の軽いゲームの場合、そもそもCrossFireXに対応していないなどの点から、あえて選ぶ理由がなくなってしまうので注意したい。
AMDは、2013年度中に登場するといわれるバトルフィールド4のデモでRadeon HD 7990のデュアル構成(4GPU)が採用されていることや、Radeon HD 7990のデュアル構成ならCrysis 3の最高画質設定が4K2K(3840×2160ドット)で60fps以上出せることを紹介している。4K2Kとなると、ハイエンドにもほどがあると言いたくなるが、そうしたエンスージアスト向けのカードであることは確かだ。現在のゲーマーのトレンドである2560×1440ドット前後に当てはめれば、将来に登場するだろうゲームタイトルに向けた「余裕」と捉えることもできるだろう。
GeForce GTX 690、Radeon HD 7990と、最新世代のデュアルGPUカードが出そろった。どちらも当然、非常に高価なグラフィックスカードである。ただ、今回Radeon HD 7990にはプロモーションとして、復数本のゲームタイトルがバンドルされるという。そのタイトルの価格を考慮すれば、実売価格よりもさらに若干お得にはなるだろう(こうしたカードを求めるゲーマー層はすでにそれらタイトルを購入している可能性もあるが……)。発売は5月初旬とのこと。ゴールデンウィークに間に合うかどうかは微妙なところだが、もしも入手できたら、どっぷりゲームにハマれることは間違いない。
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