AMDファン期待のモンスター級ゲーミングPC「MASTERPIECE a1500BA1」を徹底検証:AMDの最強CPU&GPUをぶん回す(1/4 ページ)
G-Tuneにラインアップされる「MASTERPIECE a1500BA1」は、ターボ時のクロックが5GHzに達するAMDのモンスター級CPU「AMD FX-9590」を搭載したハイエンドモデルだ。AMDは「コスパで勝負」だけじゃないぜ!!
アビー製ミドルタワーケースに組み込まれたハイエンドスペック
MASTERPIECE a1500BA1は、マウスコンピューターのハイエンド機に採用されるアビー製の特注ケースを用いている。評価機はブラックを基調とし、フロントパネル両端に赤いラインが入る“AMDカラー”のデザインだ。フロント下部には同社のゲーミングPCブランドである「G-Tune」のロゴとともに、AMD FXとRadeonという2つのAMDロゴシールが張られ、AMDファンの目には「特別な製品」として映ることだろう。
このケースは、フロント、両側面にエアホールを設けており、通気性を重視している。電源は下部にレイアウトし、電源部とマザーボード部との間にもスペースがあって、本来の内部空間はかなり広めだ。ただし、本モデルは特別モデル。ハイエンドパーツがギッシリと組み込まれ、これだけスペースのあるケースなのに、密に感じるところがある。まずはそのスペックを確認していこう。
ターボ時5GHzに達するCPUを安定動作させるためのスペシャル仕様
AMD FX-9590は、Piledriver(開発コード名)コアを搭載する製品で、1000のケタが1つ上がったものの、基本的にはFX-8350の高クロック版である。FX-8350が定格クロックで4GHzを達成したのに対し、FX-9590はターボ時とはいえ5GHzを達成している。仕様を比べてみるとよく分かるが、かなりアグレッシブな設定の製品である。
Black Edition CPUでオーバークロックするにしても、5GHz台に乗せるのは「当たりコア」を引き寄せる運や、特別な機材、そしてテクニックを要する。つまり、FX-9590は、AMDによる選別品と考えるのが妥当だ。生産された製品から高クロック動作に耐えるものをFX-9590として供給する、コアなAMDファンのための「夢のCPU」といったところだろう。
製品名 | FX-9590 | FX-8350 |
---|---|---|
コードネーム | Vishera | Vishera |
コア数 | 8 | 8 |
スレッド数 | 8 | 8 |
定格クロック(GHz) | 4.7 | 4 |
ターボ時クロック(GHz) | 5 | 4.2 |
2次キャッシュ(KB) | 2048×4 | 2048×4 |
製造プロセス | 32 | 32 |
TDP | 220 | 125 |
DDR3メモリ | 1866 | 1866 |
チャネル数 | 2 | 2 |
ソケット | AM3+ | AM3+ |
特に注意を必要とするのがTDPだ。FX-9590は、ベース時で700MHz、ターボ時で800MHzも引き上げただけに、TDPが220ワットに達し、コンシューマ向けCPUではずば抜けて高い値となっている。FX-9590がリテール向けに単体販売されないのもこのあたりに理由があるのだろう。
通常のCPUであれば、高くても125ワットや130ワットといったあたり。コストを抑え、フェーズ数を抑えたローエンドマザーボードだと、220ワットも供給できる電源設定のものはまずない。結果、OC向けマザーボードのように、電源回路を大幅に強化した製品を組み合わせることになる。
MASTERPIECE a1500BA1の評価機には、MSIのハイエンドマザーボード「990FXA-GD80」が採用されていた。チップセットがAMD990FX+SB950というのは妥当なところ。Hi-c CAPやスーパーフェライトチョークなどの高耐久性部品を採用し、DrMOSを用いて電源フェーズの発熱を抑えた設計で、本来、OC向けと呼んでいい仕様のATXマザーボードだ。
また、220ワットというTDPを冷やせるCPUクーラーも重要なパーツとなる。MASTERPIECE a1500BA1で採用されているのは簡易水冷キット。ラジエータサイズも、長さ120ミリモノながら、厚みは38ミリある大型タイプで、前後に12センチ角ファンを挟んだ構成だ。おそらく、空冷CPUクーラーで220ワットを冷却するとなるとヒートシンクが大型になりすぎることもあるのだろう。ラジエータという大型パーツはあるものの、簡易水冷キットであれば、CPUソケット周辺に限ればスッキリと抑えられ、組み込み易さは格段に向上するし、220ワットクラスの冷却性能で見れば、簡易水冷と空冷クーラーどちらも同じくらいのコストがかかるはずだ。
なお、簡易水冷キットを使いオーバークロックをしたことのある方なら経験済みかもしれないが、簡易水冷キットのデメリットとして、OC時にレギュレータ部分に熱溜まりが生じることがある。空冷CPUクーラーであれば、そのファンでCPUソケット周辺の空気を流し去る効果があるが、簡易水冷キットの場合はラジエータ部にファンを置くため、それができない。
MASTERPIECE a1500BA1では、そうした点をきちんと考慮しているようで、CPUソケット上にブラケットを配置し、12センチ角ファン1基を追加している。こうした点は、「さすが自作PCを熟知したPCメーカーだけはある」と感じさせてくれる。
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