レビュー

700グラム台+IGZOか、タッチ+長時間動作……どちらがいい?──新「LaVie Z」即レビュー(後編)2種類の「LaVie Z」をまとめてチェック(1/2 ページ)

高解像度で795グラムの超軽量モデルか、900グラム台+長時間動作のモデルか。新「LaVie Z」の注目2モデルのパフォーマンスをまとめてチェックしよう。

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なんと2560×1440ドット! 超高精細のIGZOディスプレイを新採用

 液晶ディスプレイが大きく進化した点も新「LaVie Z」の特長だ。

2560×1440ドット表示のIGZOディスプレイを採用する「LZ750/NS」(高解像度モデル 写真=左)と、タッチ+1920×1080ドット表示の「LZ650/NS」(タッチモデル 写真=右)

 高解像度モデルは、表示解像度2560×1440ドットに対応したIGZO液晶ディスプレイを採用。画素密度は約221ppiである。一方のタッチモデルは広視野角のIPS液晶ディスプレイ(+タッチパネル)を採用し、表示解像度は1920×1080ドット、画素密度は166ppi。いずれも前モデルの1600×900ドット表示と比べて高解像度になった。

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 高解像度、高画素密度のメリットは、文字や写真、動画などが美しく、高精細に見えることにある。前モデルを含め、一般的なディスプレイに表示した文字を意識して見てみると、文字や写真を構成する細かいドット(ピクセル)が見えることだろう。対して、高画素密度のディスプレイでは、同じ文字や写真などのコンテンツを見ても、そのドットが見えない(見えにくい)。画素密度が高いということは、画面の一定面積内にたくさんのドットで構成していることを示す。ドット1つ1つが細かくなるため、その分滑らかできれいに見えるということになる。

 なお、アップルがそのような高画素密度ディスプレイに「Retina(網膜)」という言葉を使っているのは、肉眼でそのドットを見分けられないほどの高密度であるということに由来している。もっとも、画素密度が高ければ無制限にきれいに見えるわけでもなく、ドットが肉眼で認識できなくなれば、理屈上はそれ以上きれいに見えるとは感じないはずである。これはディスプレイとの距離も関係し、一般的には、ディスプレイから40~60センチほど離れて使うクラムシェルスタイルのノートPCではおおよそ220ppiほど、ノートPCより近距離で使うスマートフォンは300ppiあたりが「Retinaクオリティ」の目安とみるとよいだろう。

高解像度モデル(写真=左)とタッチモデル(写真=右)は、ディスプレイフレームのデザイン(非光沢/段差のない全面ガラス)、ディスプレイ表面の光沢処理(ノングレア/グレア)などの違いがある

 筆者の感覚では、タッチモデルの13.3型/1920×1020ドット(約166ppi)くらいでも40~50センチ離れて使えばほとんどドットは見えず、十分美しいと感じるのだが、高解像度モデルの220ppiと見比べてしまうと、また一段レベルの高い美しさ、そして臨場感が感じられる。

 なお、IGZOディスプレイとは、TFT回路にIGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素で構成される半導体)を利用したシャープ開発の液晶パネルのこと。IGZOは電子移動速度が通常のアモルファスシリコンと比べて20~50倍高速であるほか、リーク電流がきわめて低いという特性がある。この特性はTFT回路を小型化できることに直結し、画素の高開口率化、高精細化を可能にし、バックライト電力の低減にも寄与する。通常、ディスプレイを高解像度化すれば消費電力の増加も懸案となるが、バッテリー駆動時間が重視されるモバイルノートPCでもこういった超高解像度ディスプレイを搭載できるようになったのはIGZOパネルの恩恵も大きいといえる。

アイコンやテキストの表示の大きさ(表示DPI設定)はディスプレイのプロパティで設定する。13.3型で2560×1440ドット表示となると、Windowsの標準dpi(小:100%)は非常に広大なデスクトップ領域に驚くが、実利用においてはおそらくアイコンやテキストのサイズが小さすぎる。高解像度モデルの本評価機は、通常のWindows 8マシンにはない「特大:200%」とする設定が追加されており、これが標準で有効となっていた(画像=左)。高解像度モデルでdpi設定を「大:150%」にしてみた。個人的にはこれくらいがちょうどよく感じる(画像=右) ちなみにデスクトップに「表示サイズの変更」設定へのショートカットがあらかじめ配置してある
タッチパネルは、タッチセンサーを液晶パネルに直接貼り付ける「ダイレクトボンディング」と呼ぶ方法で実装されており、薄型化と体感操作性を高めている。表面の滑り、精度とともに良好だ

 IGZOモデルは表面仕上げがノングレアである点もポイントだ。光を拡散させる仕上げのため、コンシューマー向けモデルに多い光沢(グレア)仕上げほどの鮮やかさはなくなるが、外光や照明などが映りこみにくく、長時間の使用でも比較的目が疲れにくいビジネスシーンやモバイル利用シーンへのメリットがある。前モデルでノングレア仕上げを望む声が多かったため、採用に至ったという。

 両モデルの表示品質の印象を簡単にまとめると、輝度はごく標準的、色味はどちらも青色がやや強めに感じる。どちらかというとIGZOパネル搭載の高解像度モデルのほうがより青が強く見える。視野角はIPSパネル搭載のタッチモデルが優秀で、かなりきつい角度から見ても色味の変化はほとんどない。一方のIGZOパネル搭載モデルは上下左右とも斜めから見ると若干だが白っぽく色味の変化がある。ディスプレイの開閉角度はどちらも約135度まで開く。こちらは前モデルと同等と思われ、ある程度見やすい角度に調整できる。

ゆとりのあるキーボードを搭載

キーボードは前モデルとほぼ同じ。ストロークは確かに浅めだが、剛性感があるのでたわむ/ゆがむといった操作性や入力性の悪化につながる要素はない

 キーボードはアイソレーションタイプで、標準的な6段配列を採用している。主要キーのカタログ値キーピッチは18ミリ、キーストローク1.2ミリで、これは前モデルと同じ。実測値もほぼ正方18ミリピッチだった。左上部の半角/全角キーのほか、カーソル上下キーを含む最下段には横幅がやや狭い(キーピッチ約13.5ミリ)キーはいくつかあるが、操作性を大きく損ねるほどではない。また、強めにタイプしてもキーボード全体がたわむような悪い感触もなく、スイッチの感触も上々だ。前モデルもそうだったが、浅めのキーストロークであり、あっさりした見た目とは異なり、意外にタイプ感はよい。1キロを大きく切る超軽量なボディで、これだけゆとりがある入力環境を備えたノートPCはなかなかなく、この点でも貴重な存在と思う。

 キーボードの手前には、タッチパッドと2ボタンを一体化したクリックパッド(NXパッド)を備える。シナプティクス製のドライバが導入されており、2本指でのスクロールやつまみズーム、回転などのジェスチャー機能のほか、Windows 8.1のチャームの表示などに対応したエッジスワイプ機能も搭載している。

薄型化と強度の確保を両立する「筐体一体型キーボード構造」と呼ぶ設計を前モデルより継承して採用。キーボードユニットの素材を変え、前モデルよりさらに軽量化したという(写真=左) NXパッドにはシナプティクス製のドライバが導入されており、2本指でのスクロールやつまみズームなどの機能のほか、パッドのエッジから内側に指を滑らすスワイプ動作でWindows 8.1のチャームの表示やなどを行なうエッジスワイプ機能も搭載している。慣れないうちは手のひらが触れて誤操作することもあるが、設定項目「PalmCheck」を最大にするなどの調整である程度カバーできる(写真=右)

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