なにがどれだけ変わる?「AMD A10-7870K」で確かめるGodavariの存在意義:AMDは29%の性能向上といっています(2/2 ページ)
AMDから「A10-7870K」が登場。“Kaveri”から“Godavari”に変わったが、果たして何が変わったのだろうか? 1年半ぶりに登場した最上位APUを検証する。
CPUもGPUもクロックアップの効果あり
処理能力検証のベンチマークテストでは、今回測定したA10-7970Kのスコアと、以前行った検証作業で測定したA10-7850Kのスコアと比較した。そのため、A10-7870Kの検証システムの構成はA10-7850Kの検証システムとできるだけ同じにしている。ただし、OSは64ビット版 Windows 8.1 Pro Updateに変わったほか、SSDも変更している。
検証システムの主な構成 | ||
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メモリ | G.Skill ARES F3-2400C11D-16GAB(DDR3-2400:8GB×2) | |
マザーボード | ASUSTeK A88XM-A | |
チップセット | AMD A88X | |
グラフィックスコア | Radeon R7 | |
ストレージ | OCZ Vector 180(Serial ATA 3.0、MLC、960GB) | OCZ Vector初代(Serial ATA 3.0、256GB) |
OS | 64ビット版 Windows 8.1 Pro Update | 64ビット版 Windows 8.1 Pro |
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) |
PCMark 8のスコアは、Homeが3572、Creativeが4272、Workが4596となった。過去に計測したA10-7850Kと比べて、すべてでスコアが向上している。それぞれのテストでCPUとグラフィックスコアの負荷バランスは異なるが、CPU使用比率の高いWorkでは103%、グラフィックスコア使用比率の高いCreativeでは104%となっている。
CINEBENCH R15では、マルチCPU測定が327 Cb、シングルCPU測定が96 Cbで、どちらもA10-7850Kのスコアを上回った。向上率はマルチCPU測定で104%、シングルCPU測定で103%だ。マルチCPU測定では定格側動作クロックにおける200MHzの差が、シングルCPU測定では最大動作クロックにおける100MHz差が、それぞれ影響したものと考えられる。
3DMarkによるグラフィックスパフォーマンスの測定でも差は少ないもののスコアの向上が確認できる。ドライバの更新や3DMark自体のアップデートもあるので比較は難しいが、グラフィックスコアの動作クロックを引き上げ分、スコアも向上したと考えていいだろう。
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編の最高品質テストでは、「快適」評価は1280×720ピクセル条件までだった。この1280×720ピクセルにおけるスコアの差では500ポイント程度だ。フレームレートの違いは37.421fps対33.202fpsとなる。A10-7850Kでも30fpsを満たしていたのでプレイするには十分だ。
1600×900ピクセル条件におけるスコアも向上しているが、こちらはA10-7870Kでも26.191fpsまで落ちる。この状況で評価は「やや快適」という判定だ。ベンチマークテストの動作画面をチェックしていると、動作が重くなるシーンもあるが、エフェクトや登場するオブジェクトが少なく負荷が軽いシーンであればスムーズに動く。1920×1080ピクセルで測定すると19.151fpsまで落ちた。ベンチマークテストの評価では「標準的」だが、画面の描画は少々カクつきが分かるようになってくる。
ファイナルファンタジーXIVの新しいベンチマークテスト「蒼天のイシュガルド ベンチマーク」は、A10-7870Kのみのスコアだ。一部DirectX 11対応の機能もテストできるが、この評価作業ではDirect 9ベースの「高品質(デスクトップPC)」プリセットのスコアをチェックする。こちらの結果も、「快適」という評価は1280×720ピクセル条件までだ。このときのスコアは3855、フレームレートは31.427fpsで、新生エオルゼア ベンチマークよりも負荷は高い。1600×900ピクセル以上では、スコアもフレームレートも、新生エオルゼア ベンチマークより低い。プレイするなら解像度設定は1280×720ピクセルまでとするのがよいだろう。
なお、プリセットをDirectX 11対応にして、画質も「最高品質」に引き上げると、1280×720ピクセル条件で2848、フレームレートは21.184fpsとなった。DirectX 9対応の高品質設定で解像度を1段階引き上げたフレームレートと同等になるようだ。こちらもプレイは可能だが、やはりカクつきは分かってしまう。
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族オンライン ベンチマークソフト」も、A10-7870Kのみの計測だ。画質を最高品質として、1920×1080ピクセル設定におけるスコアは6630で、評価は「快適」だった。なお、画質を「標準品質」とすれば、スコアは8224まで伸び、「とても快適」という評価になる。なお、DDR3-1333メモリで計測した場合、スコアが4263、評価が「普通」まで下がっている。A10-7870Kで3Dゲームを楽しむのであれば、オーバークロックメモリを組み合わせるのがよいことを示す実例といえる
消費電力は、SSDの違いやBIOSアップデートにより設定が完全に同じとはいえない可能性があるものの、計測結果をみる限り、A10-7850KとTDPが同じでも消費電力が増えている印象だ。とはいえ、今回の検証環境のように、最小限の構成であれば150ワット以下で十分に足りる。電源ユニット容量の余裕や変換効率を考慮しても、必要な容量は300ワットクラス、あるいは150~200ワットクラスのACアダプタあたりだろう。
これからAPUで自作するユーザーにはよい選択肢
A10-7870Kの実売価格は税別で1万8000円前後だ。対するA10-7850Kは現在1万7000円前後、一部では1万5000円前後で販売している。A10-7870Kの登場がA10-7850Kの価格に及ぼす影響は今のところ情報を得ていないが、A10-7870Kになって機能面で大きく強化した項目はない。ただ、クロックアップをした分だけパフォーマンスが向上している。APUを使うPCを初めて組み立てるユーザーなら、A10-7870Kを避ける理由はないといっていいだろう。
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