レビュー

CPU性能もゲーム性能もアップ!! Coffee Lake-Sの第8世代Core i7/5を検証するメインストリームに6コアの選択肢(5/6 ページ)

Core i7-8700KとCore i5-8400のサンプルを入手。ベンチマークテストでその実力を確かめる。

Coffee Lake-Sは消費電力がやや大きい!? ターボの効き具合に違いがある!?

 最後に消費電力を見てみよう。まずはグラフィックスカードを搭載した環境だ。アイドル時で見ると、Coffee Lake-Sの2製品は40W程度。Core i7-7700Kがやや高い46Wだ。いちおう2つの環境でマザーボードが異なるので、その違い(機能やファン回転数制御など)が生じているとも考えられる(また、14nm+と14nm++というプロセスの違いも排除できない)ので、決定的な差とは言い切れない。

消費電力

 GPU高負荷時の1番目として3DMarkのTime Spyを実行した際の最大値では、330W程度で並んだ。もう少し実際の運用に近いTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsを実行した際のGPU高負荷時その2では差がついた。

 Core i7-8700Kでは360W程度、TDPが65WであるはずのCore i5-8400が340W台、TDPが91WのはずのCore i7-7700Kが330W台だ。ここでTDPの値と実際の数値に逆転が生じている。Core i5-8400はTDPが65Wではあるが、瞬発的なところではTDPが90WのCPUとさほど変わらないわけで、それ相応の冷却が必要と考えられる。

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 CINEBENCH R15を実行した際のCPU高負荷時では、それぞれのCPUの差が顕著に現れた。Core i7-7700Kを指標とすると、TDP上では4W高いだけのCore i7-8700Kが25W超高い値となり、TDPが26W低いはずのCore i5-8400も実際には17W低い程度である。Coffee Lake-Sの2製品は、思いの外消費電力が大きいと言える。

 続いて統合GPU使用時の結果を見ていこう。アイドル時については、やはり若干Core i7-7700K側のシステムが高い結果だが、30W前後である。

消費電力(iGPU)

 一方、GPU高負荷時としてテストした3DMarkのFire Strike時は、TDPが90W台のはずのCore i7-8700KとCore i7-7700Kとの間に34Wの差が生まれた。そしてCPU高負荷時としてテストしたCINEBENCH R15実行時は、47.5Wもの差となった。

 また、Core i5-8400も、Core i7-7700Kよりは低いものの両者の差は小さく、その差はGPU高負荷時、CPU高負荷時も5W前後で、TDPの値と実際の消費電力には乖離(かいり)がある。もちろんDDR4-2666メモリとなったことで、システム側の消費電力が増えている可能性はあるが、アイドル時の値を見る限りは、そこまで顕著ではないようだ。そうなると、CPUの違いだろう。

 振り返ると、Coffee Lake-Sの2製品は、Core i7-7700Kに対して不自然に高いスコアを出すことがいくつか見られた。アーキテクチャが変わらない以上、性能アップと消費電力が同時に起こっているわけで、これはつまりクロックが影響しているのではないかと推測される。

 ちなみに、Core i7-8700KのCINEBENCH R15実行時のログを見ると、マルチスレッド時であるのに47倍や46倍で動作するコアがあった。通常、マルチスレッド時のクロック倍率は、シングルスレッド時の倍率よりも低く抑えられるはずだ。Turbo Boost時の挙動の違いが、Coffee Lake-Sの“謎のブースト”を生じさせているのではないだろうか。その点でもう少し詳細にログを計測すべきだったが、それはまたの機会とさせていただきたい。

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