第2世代「Wacom MobileStudio Pro 16」をrefeia先生が徹底チェック!(5/5 ページ)
ワコムのプロ向けタブレット「MobileStudio Pro 16」が生まれ変わり、第2世代に進化を遂げた。その使い勝手を、人気イラストレーターが“実践”視線で確かめた。
第2世代「MobileStudio Pro 16」まとめ
さて、そろそろまとめていきましょう。
気に入った点
- 先代と同等ながらも依然高レベルのペン性能と描き味
- 上質/ソリッドなビジュアルと、剛性感のあるシャシー
- 極めて緻密な表示
- 耐久性と、摩擦の一貫性に優れたガラスとマット加工
- 自分の製作の全てを任せ得る、第7世代Core i7のデスクトップPCと同等のパフォーマンス
- ユーザー自身で交換可能なメモリとストレージ
- バッテリーの劣化対策にメーカーが取り組んでいる形跡がある
- 先代では別売だった、薄型で背面に装着できるスタンドが付属している
- ワコムリンクを使えば、外付け液晶タブレットとしても動作する
人によっては難点になり得る点
- 高価なSKUしか販売されていない(モデルのラインアップが少ない)
- ファンノイズが大きく、表面温度も使い方を工夫しないと快適とは言えない
- 高性能ノートPCは既に6コアかそれ以上の時代に入りつつある中、依然として4コア
- イラスト製作にQuadro P1000は過剰な場合が多い。特にCLIP STUDIO PAINTやSAIのユーザーは、その恩恵を得るのが難しい
- 先代にあった3Dスキャンカメラが省略された
- 内蔵カメラとスピーカーは、価格からは想像しづらいほど品質が低い
- バッテリーの持続時間が短く、場合によっては1時間半ほどで切れる
- 大きく重いACアダプターで、一般的なUSB PD充電器が事実上、利用できない
- バッテリーの劣化対策については依然確信を得づらい
といったところですね。MobileStudio Pro 16は、先代では速いノートPCの枠を超えなかったのが、本機は4コアのCore i7が搭載され、イラスト用途としてはある程度最近のデスクトップPCを代替し得る能力になりました。先代では選べた20万円台のSKUが失われて、ターゲットにできるユーザーが狭まった一方、「運搬できるスタジオ」が本当に必要な人には心強い生産性をもたらしています。
確かに高価な機種ですし、発表時には高すぎるとの反発も聞かれました。ですが、デスクトップとモバイルの両方の面倒をみなければいけなかった環境をシンプルかつ省スペースにして総合的なコストを減らしたい人や、マルチロケーションで製作をする人、家で高性能な機材を使いながら、外出先でできることと、その能率にもできる限り妥協をしたくない人には、他では得難い価値を持った機種と言えるでしょう。
また、記事執筆中に、13.3型のMobileStudio Pro 13の新型が発売されました。この機種もSKUは1つしかありませんが、本機のCore i7よりわずかにクロックが低いだけの高性能なCore i5-8269U(4コア8スレッド、2.6GHz~4.2GHz)と、Quadroほどではないものの一般的なノートPCより強力なIntel Iris Plus Graphics 655、8GBメモリ、SATA SSD 128GBのストレージと、CPUパワー以外は穏当な仕様です。この機種もメモリとストレージはユーザーが交換できます。
新型MobileStudio Pro 13は、16と比べてCPUパワーは依然高いまま、高価なQuadroが省かれました。GPUよりもCPUパワーを要求するアプリが多いイラスト用途とは、かみ合わせの良い性能バランスになっていると思います。ワコムストア価格で22万8800円で、16よりずっと安価です。サイズが問題なければこちらの方が合う人が多そうですね。
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