「つながらない」をなくしたい――バッファローがWi-Fi 6ルーター/中継機の「Wi-Fi EasyMesh」対応を進める理由(1/3 ページ)
バッファローが、販売終了したものを含む全てのWi-Fi 6ルーター/中継機を「Wi-Fi EasyMesh」に対応させる方針を発表した。新モデルだけ対応するという選択肢もある中で、過去モデルも含めて対応するのはなぜなのだろうか。担当者に話を聞いた。
バッファローが6月3日、2019年以降に発売したWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)ルーターと中継機において「Wi-Fi EasyMesh」への対応を進めることを発表した。合わせて、Wi-Fi 6ルーターの新製品も披露している。
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同社では、メッシュWi-Fi対応製品として、2018年に「AirStation Connect」をリリースしている。これはバッファローが独自に開発したメッシュWi-Fiシステムを用いているが、今回は業界団体が策定した標準規格に基づくシステムを実装することになる。
このタイミングで、既存製品を含めてメッシュWi-Fi対応とする理由、その規格としてWi-Fi EasyMeshを用いることにしたのはなぜか――担当者に話を聞いた。
コロナ禍が「つながらない」を解決するきっかけに
2020年から現在に至るまで、新型コロナウイルスが猛威を振るっている。その影響で、企業では「テレワーク」、学校では「リモート授業(リモートスクール)」が一気に普及した。自宅でのインターネットの使い方が一気に変わったという人も少なくないだろう。
ただ、それに伴い、今まで気にしていなかった自宅のネット環境について意識をする人は確実に増えている。
バッファロー 新型コロナウイルスの影響で、ご自宅のインターネット環境を良くしようというユーザーが増えています。
例えば、今までなら「ルーターのあるリビングでつながれば問題ない」と考えていた人が、テレワークをするためにルーターから離れた自室でPCを使ってみたら「全然つながらない」「つながるけれど(リビングと比べると)速度が出ない」とお困りになり、Wi-Fiのカバーエリアを広げる目的で中継機を購入する方が有意に増えました。
GfK Japanの調査によると、弊社を含む全メーカーの2020年におけるWi-Fi中継機の販売台数は、2017年比で199%と2倍近くになりました。Wi-Fiのエリアカバーに困っている人が少なからずいることが伝わる数値といえます。
個人的な話だが、筆者もここ1年、身近な友人から自宅のネット環境の相談を受ける機会が増えた。その中で、Wi-Fiのカバーエリアを改善するために中継器の購入を進めたことも何度かある。
「Wi-Fiのエリアに困っている」という話は局所的というわけではなく、コロナ禍という特殊な状況下で顕在化が進んだ。中継機の好調な売れ行きが、それを示している。
認知が広がっていない「メッシュWi-Fi」
Wi-Fiのエリアを広げる手段として、Wi-Fi中継機自体は結構前から存在する。だが、一般的なWi-Fi中継機はWi-Fiルーターと協調して動作するわけではない。そのため、両者の電波を中途半端につかんでしまうと通信が余計に不安定になることもある。接続先を切り替える際に、つなぎ替えに少し時間を要することも多い。
そんな中、親機と子機が協調して動作することで、快適さを保ったままWi-Fiのエリアカバーを広げられる「メッシュWi-Fi」が注目を集めるようになった。さまざまなメーカーが、メッシュWi-Fiに対応するルーター(親機)やエリアを広げるための子機をリリースしている。
しかし、メッシュWi-Fiの認知度はそれほど高くない。普及が進んでいるとも言いがたい状況だ。
バッファロー BCNの調査をもとに計算すると、Wi-Fiルーターの販売数のうちメッシュWi-Fiに対応する機種の割合はまだ16%弱です。
同社が実施した「テレワークに関する調査」では、Wi-Fi中継機自体の認知度は60%程度あります。しかし、メッシュWi-Fiに対応する中継機が存在することへの認知度は3割しかありません。(メッシュWi-Fiは)まだまだ知られていないというのが実情です。
話を聞く限り、「これなら中継機に注力した方が販売台数や売り上げを稼げるのではないか?」と思わなくもない。というのも、従来のメッシュWi-Fiはルーターや子機を同じメーカーで統一しなければならず、初期コストがどうしてもかさんでしまうからだ。
このことは、AirStation Connectを展開してきたバッファロー自身も認識している。
バッファロー メッシュWi-Fiに対応するルーターや子機はこれまで、我々のAirStation Connectのように、(メーカーの)独自方式で実現しているものがほとんどでした。
メッシュWi-Fiは簡単、かつ効率よくWi-Fiのカバーエリアを拡張し、接続状況を改善できます。しかし、「独自規格」や「専用子機」といった低くないハードルがあります。簡単ではありますが、容易に導入できるかというと、そうとは言いきれません。
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