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「AMD Software Adrenalin Edition」登場 全てのゲームに超解像の恩恵を与える新機能を搭載

AMDが、Radeon GPUやRyzen APU向けの新ソフトウェア「AMD Software Adrenalin Edition」の提供を開始した。ゲームを問わず超解像表示を実現する「Radeon Super Resolution」を実装した他、細かな機能改善が施されている。

 AMDは3月17日(米国東部時間)、同社のGPU/APU(GPU統合型CPU)向けソフトウェア「AMD Software: Adrenalin Edition」の提供を開始した。このソフトウェアは、同社のサポートサイト、または「Radeon Software」のコントロールパネルからダウンロード/更新できる。

AMD Software: Adrenalin Editionの概要

 AMD Software: Adrenalin Editionは、従来「Radeon Software Adrenaline(Edition)」という名称で提供されていたものだ。今回、Radeon GPUだけでなくAMD製ハードウェア全般の体験を高めるソフトウェアとして位置付けを明確にするためにリブランドされた。


AMD Softwareは、Radeon Softwareをリブランドしたものである

 今回のアップデートにおける主な新機能や機能改善は以下の通り。

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Radeon Super Resolution(RSR)

 「Radeon Super Resolution(RSR)」は、2021年末から実装が予告されていたゲームにおける超解像表示機能で、「RDNA」以降のアーキテクチャのRadeon GPU(Radeon RX 5000/6000シリーズ)で利用できる。


Radeon Super Resolution

 技術的なベースは、既に登場している「AMD FidelityFX Super Resolution(FSR)」と同様だが、RSRはドライバ側の設定を有効にすればほぼ全てのゲームで有効化できるという違いがある。ゲーム開発者からの視点に立つと、FSRとは異なり、ゲーム側の特別な対応が不要であることがメリットだ。

 ゲーム内の描画解像度を下げた上でRSRを有効にすることで、解像度とフレームレートの両方を高めることができる。RSRを使って1080p(フルHD、1920×1080ピクセル)映像を3840p(4K/UHD、3840×2160ピクセル)にアップスケールすると、ゲームによっては4K解像度そのままでプレイする場合の3倍のフレームレートでプレイ可能だ。


RSRを利用するには、AMD Softwareのコントロールパネルで有効化した上でゲームで描画解像度を引き下げればよい。先述の通り、特別な対応をしなくてもほぼ全てのゲームで有効化できる

フレームレートの改善効果はゲームにもよるが、最大で3倍まで引き上げられるという

技術的なベースとなったFSRとの機能差分。FSRは他社GPUでも利用可能で画質も高いが、ゲーム側で対応しないといけない。それに対して、RSRはRadeon RX 5000シリーズ以降でのみ利用できるという制約はあるものの、ほとんどのゲームで有効化できるというメリットがある

AMD Link

 「AMD Link」は、スマートフォンやタブレットなどを使って自宅のPCで動いているゲームにアクセスして操作できる機能だ。今回のアップデートでは、最大4人のプレーヤーが1台のPCに同時アクセスできるようになる。

 さらに、従来はWindows PCでリモートアクセスするには、「GCN」以降のアーキテクチャのRadeon GPUまたはAPUを搭載する必要があったが、今回のアップデートではNVIDIA製GPUやIntelのCPU統合GPUを搭載するPCからもアクセスできるようになる。


AMD Linkは最大4人が同時アクセスできるようになる。NVIDIA/Intel製GPUを搭載するWindows PCからのリモートアクセスもサポートするようになる

Radeon Image Sharpening(RIS)

 「Radeon Image Sharpening(RIS)」は画像の細部を明瞭化する機能だ。従来はゲームアプリのみが対象だったが、今回のアップデートによって一部のWebブラウザ、オフィスアプリや写真/動画再生アプリでも有効化できるようになった。ゲーム以外で対応するアプリは以下の通り。

  • Google Chrome
  • Microsoft Edge
  • Mozilla Firefox
  • Microsoft Movies & TV(映画&テレビ)
  • Microsoft Photos(フォト)
  • Microsoft Word
  • Microsoft Excel
  • Microsoft PowerPoint
  • Microsoft OneNote
  • Microsoft Teams
  • VLC Media Player
  • Adobe Acrobat Reader

Radeon Image Sharpeningはゲーム以外の一部アプリでも有効化できるようになった。

ソフトウェア自体の改善

 新バージョンでは、コントロールパネルのユーザーインタフェース(UI)にも一部変更がある。ゲームを起動すると通知ウィンドウが現れるようになった他、通知ウィンドウにはユーザーがどの機能を有効にして、どの機能を無効にしているのかを示す情報を表示されるようになる。

 ソフトウェアの更新がある場合の挙動も変更される。従来は新しいソフトウェアを丸ごとダウンロードしていたが、新バージョンでは差分のある(更新/追加される)ファイルだけをダウンロードすることでダウンロードにかかる時間を短縮した。


コントロールパネルを始めとするソフトウェアのUIが改善される他、ソフトウェアのアップデートにかかる時間を短縮している

2022年第2四半期には「FSR 2.0」が登場

 今回の発表に合わせて、AMDは「AMD FidelityFX Super Resolution 2.0(FSR 2.0)」を2022年第2四半期(4~6月)に公開することを発表した。

 FSR 2.0は従来バージョンと同様に特別なハードウェアを必要としない超解像技術で、画質は従来よりも向上するという。詳細は3月23日(米国太平洋時間)に開催される「GDC 2022」のセッション「Next-Generation Image Upscaling for Games(Presented by AMD)」で公開された後にAMDのオープンソースサイト「GPUOpen」の特設サイトで公開される予定だ。


FSR 2.0の概要。説明を見る限り、リアルタイムレイトレーシング(RT)を有効にした場合でも超解像を利用できるようだ

FSRの詳細は、GDC 2022のセッションで公開されるという

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