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カラー対応にメリットはあるのか? E Ink搭載Androidタブレット「BOOX Nova Air C」を試す(3/3 ページ)

Onyx International製の「BOOX Nova Air C」は、カラー表示に対応する7.8型E Ink(電子ペーパー)を搭載するAndroidタブレットだ。E Inkのカラー対応のにメリットはあるのか――実際に使って検証してみよう。

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専用の電子書籍アプリもあり(ただし日本語タイトルはない模様)

 E Inkというと「電子書籍リーダーとしてはどう?」という点も気になる。BOOX Nova Air Cには、専用の電子書籍ストアアプリがプリインストールされている。しかし、筆者が見た限りでは日本語の書籍が見当たらなかった

 日本の電子書籍を利用したい場合は、Google Playストアから各種電子書籍ストアのアプリをインストールして使うことが現実的だろう。今回はAmazonの「Kindleアプリ」を試してみたが、表示や操作は全く問題なかった。

 カラーE Inkということで、カラー写真が多用されている電子雑誌も表示してみた。しかし、先に少し触れた通り、全体的に彩度は低めなので「カラーで快適に楽しめる」とは言いがたい。特に、写真内に小さめの文字が回り込むようなレイアウトのページでは、文字が読みづらくなってしまう。ただし、ピンチ操作で拡大できるので、さほど問題にはならないだろう。

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 マンガを含む電子書籍は、可読性の面における問題はない。


専用の電子書籍ストアアプリが用意されているが、日本語の書籍(タイトル)を見つけることはできなかった

Kindleアプリで購読できる雑誌をカラーで表示してみる。カラー写真が多い雑誌の場合、ディスプレイの彩度が低いこともあって、全体的にくすんで見えてしまう

自動回転はしないが、横向き表示にも対応している。Kindleアプリの場合は見開き表示も問題ない

表示の設定はアプリ単位で可能

 E Inkデバイスでは、スクロールやページ遷移をした際に、前の表示内容がうっすらと残る「ゴースト現象」が問題になることがある。これを防ぐために、ページ遷移ごとに画面をリフレッシュするという策もあるのだが、その分だけ描画が遅れてしまう。この遅延は画面をスクロールした際により顕著に現れ、画面がチラチラして見にくくなってしまう恐れもある。

 そこで、BOOXシリーズでは画面の輝度、コントラストや更新タイミングをアプリ単位でも調整できるようになっている。例えば、画面の動きが少ない電子書籍アプリではリフレッシュの頻度を高めに設定してゴーストの発生を抑制する一方で、画面スクロールが多くなるWebブラウザアプリでは、多少のゴーストに妥協してスクロールの滑らかさを優先する、といった使い分けも可能だ。


画面のコントラストやリフレッシュモードはアプリ単位で設定できる。ゴーストや描画時のチラツキが気になる場合には、アプリごとに個別設定してみるといいだろう

 率直にいうと、現在の所は電子書籍をE Inkでカラー表示するメリットはさほど感じない。ただし、カラー作品が多いマンガアプリをスマートフォンよりも大きな画面で見たい場合には最適な選択肢の1つとなりそうだ。また、ノートの作成で色が使えるのは大きなメリットといえる。

 筆者としては、BOOX Nova Air Cに「電子書籍の表示デバイス」よりも「カラーが使える手書きデバイス」としての可能性を見いだした。ある程度の汎用(はんよう)性を犠牲にしたとしても、設定の煩雑さなどをなくした「カラー手書きノートデバイス」が出てくることも期待したい。

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