2画面ディスプレイ搭載の「Zenbook Pro 14 Duo」は、どこでも高い生産性を実現できる! ただし欠点も見えてきた:「目指せ↑ワンランク上の仕事術」デジモノ探訪記(3/3 ページ)
企業や組織のIT部門を支援してきた石黒直樹氏が、実際に使っていて仕事に役立つと思ったものや、これから登場する新製品、新サービスをいち早く試してレビューする連載。
「運ぶ」ことを考えると、欠点が見えてくる
目玉のセカンドディスプレイ、本体の処理性能、そしてスタイラスペン──どれも申し分ありません。しかし、その代償として「本体が重い」「バッテリーが持たない」「ファンの音がそれなりにする」という、持ち運びやカフェなどでの利用には向かないという欠点が出てきます。
Zenbook Pro 14 Duoの重さは約1780gです。私が使用している持ち運び用のノートPCである富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の「LIFEBOOK WU2/H1」は約930gです。
LIFEBOOKのバッテリー持続時間はカタログスペック(JEITAバッテリ動作時間測定法Ver.2.0)で約28時間、実利用では6~8時間といったところです。外出時の隙間時間に使う程度であれば、バッテリー切れの心配もないため、よほどでない限り充電器を持ち歩くことはありません。
Zenbook Pro 14 Duoの場合、カタログスペックで約8.4時間、実利用では2~3時間といったところです。高負荷をかけているわけではありませんが、1~2分で約1%バッテリーが減る感覚です。
わざわざ省エネになるように設定にはしていませんが、高性能モデルに対して電力を気にしてわざわざ性能を下げるというのは「それ、高性能マシンを購入する必要あるの?」と思ってしまう派です。なお、ディスプレイの輝度は高く使う人なので、その電力消費も大きいと思います。
外出時にわざわざ重い本体を持ち運ぶのにもかかわらず、バッテリー切れで使えなくなるというのは避けたいです。そのため、気持ち的にも充電器を持ち歩くのが基本となってしまいます。結果的に「重い本体+充電器の重さ」となってしまい「そこまで気合いを入れて持ち運びますか?」と考える必要があります。
本体+純正充電器で約2310g。さすがにためらいます。本製品はThunderbolt 4をサポートしており、別途USB Power Delivery対応のACアダプターも利用可能ですが、出力150W~180W対応モデルが必要です
もう1点、「ファンがそれなりに稼働する」という点です。すごく静かなカフェなどで仕事をする場合は気になるケースが出てくるでしょう。私はWindowsを使う時はタッチパッドではなくマウスを使うことが多いですが、このマウスのクリック音ですら気になり、静音モデルのマウスに買い換えたほどです。
仕事をすることが当たり前ではない場所であるカフェで、周囲の方の迷惑になりかねないのは本当に気になってしまいます。
逆に言うと「据え置きで使う」「外出先でも電源がある場所で使える」「車で移動するのがメイン」といった状況であれば、セカンドディスプレイや高い性能をふんだんに享受できるノートPCだといえるでしょう。ただし、なかなかよいお値段で、上位モデルの「インテル Core i9-13900H」「NVIDIA GeForce RTX 4060」搭載モデルは44万9800円(税込み/同社直販のASUS Store価格)です。
ビジネス用マシンに特化したモデルが欲しい
今回、レビュー用の機材としてお借りしたのですが、触った当初「これは購入せねば!」と感じました。それくらいセカンドディスプレイを気に入りました。しかし、持ち運び用途を想定していたため、バッテリーの減り具合と重さを考えた時に、使いどころを真剣に検討してから判断せねばならないと思いました。
「触ると欲しいけど、持ち運んで使えるか?」と考えると、活用できる機会がどこまであるのかと……葛藤中です。
以下はメーカーに対して切実なお願いです。Zenbook Pro 14 Duoがクリエイター向けのマシンであることは理解しているので、取り上げたような欠点は仕方ないと思います。それとは別モデルとして、ビジネス用のモバイルノートPCとしてセカンドディスプレイ搭載のモデルを発売していただきたいです。
ZenBook Pro 14 Duoのウリであるセカンドディスプレイ搭載をベースに、専用GPUの搭載をやめ、CPUも省電力性能を重視。仕事マシンとして利用した時にバッテリーは6時間ほど持ち、その中でできるだけ軽量化してSIMスロットを搭載──ASUS JAPANは国内でもスマホを販売しているので、SIMモデルも不可能ではないと思っています。もしこうした機種が発売されたら、即買い換えです。
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