完成品PC限定で良コスパ! 内蔵GPUなしの「Ryzen 5 7500F」ってどんなCPU?(1/3 ページ)
AMDが2023年7月にリリースしたデスクトップ向けCPU「Ryzen 5 7500F」は、一部の国/地域を除いて単体販売されていない“GPUなし”のCPUだ。今回、ある意味でレアな本CPUを試す機会を得たので、その実力をチェックしてみたい。
PCを購入する際に、予め想定していた予算内で求めている性能を得られると、ものすごく満足感が高い。しかし現実には「あれも、これも」とこだわっていくうちに、予算をオーバーしてしまいがちだ。
予算を増やせるのなら、それに超したことはない。しかし、現実にはそううまく行くとも限らず、何らかの妥協を強いられることになる。
欲しいスペックを満たしつつ、費用を節約したい――そんな時にふと頭に思い浮かぶのが内蔵GPUを省いた(無効化した)CPUだ。外部GPU(グラフィックスカード)を初めから搭載するのであれば、内蔵GPUが省くだけで数千円の節約となる。
そんな内蔵GPUを省いたCPUの1つが、AMDの「Ryzen 5 7500F」だ。読者の中には「え、そんなCPU聞いたことない」という人もいるかもしれない。それもそのはず、Ryzen 5 7500Fは単体販売されないCPUの1つで(※1)、入手するにはメーカー製PCか、BTOビルダーによるカスタマイズPCを購入するしかない。
今回、AMDからのご厚意でRyzen 5 7500Fの実力を試す機会を得た。ある意味でレアな「GPUなしCPU」の実態に迫っていこう。
(※1)一部の国/地域では単品販売されています
「GPUなし」ゆえにお買い得
11月23日現在において、Ryzen 5 7500Fはデスクトップ向け「Ryzen 7000シリーズ」のエントリーモデルとなっている。AMDのWebサイトに掲載された製品情報によると7月22日にリリースされたようだが、ハイエンドモデル、L3キャッシュ増しモデル、メインストリームモデルとは異なり、何の発表もなく“しれっと”ラインアップに追加された。
本モデル以外のRyzen 7000シリーズは、全モデルにRDNA 2アーキテクチャのGPUコア(Radeon Graphics)を内蔵している。しかし、冒頭でも触れた通り、Ryzen 5 7500FにはGPUが内蔵されていない。そのため、映像を出力するには別途GPUを装着する必要がある。
GPU付きが標準ということもあり、モデル名にはGPUレスであることを示す「F」というサフィックスが付いている。これはIntelのデスクトップ向けCPUにおける「GPU無しモデル」と同様だ。
基本的なスペックは以下の通りで、単品販売もある「Ryzen 5 7600」と比べると動作クロックが100MHz(0.1GHz)低い。
- CPUコア:6基12スレッド
- CPU動作クロック:3.7GHz~5GHz
- L2/L3キャッシュ:合計38MB
- TDP(熱設計電力):65W
- アンロック:対応
TDPが65WのRyzen 5ということもあって、純正のCPUファン「Wraith Stealth」も付属する(※2)。
(※2)組み込まれるPCによっては、Wraith Stealthを使わずに独自のCPUファンや冷却機構を使うこともあります
「GPUがないと、どのくらい安くなるのか?」という点だが、本モデルをベースCPUに採用しているマウスコンピューターの「NEXTGEAR JG-A5G1D」の場合、CPUをRyzen 5 7600Xにアップグレードすると価格が2万2000円アップする。また、本CPUが最小構成となるサイコムの「G-Master Spear X670A」の場合、Ryzen 5 7600構成との価格差は6840円だ。
購入先のメーカーや購入のタイミングにもよるが、Ryzen 5 7500Fを搭載するPCはRyzen 5 7600搭載モデルよりも5000円~1万円程度安い。GPUを省き、動作クロックを100MHz低くしただけで、意外と大きな価格差が付くものである。
さて、そんなRyzen 5 7500Fの実力を、ベンチマークテストを通してチェックしてみよう。
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