「既に実用段階に進んでいる」レノボが考える生成AIの利活用 「Lenovo Tech World Japan 2024」はヒントの宝庫だった(1/3 ページ)
Lenovoグループの日本法人3社が共催する年次イベント「Lenovo Tech World Japan」が2024年も開催された。生成AIが企業にも普及していく中で、その導入について悩んでいる企業はもちろん、もっと活用を進めたい企業にとってもヒントにあふれるイベントとなった。その様子を見てみよう。
レノボ・ジャパン、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、モトローラ・モビリティ・ジャパンの3社は11月26日、法人ユーザー向けのセミナー/展示イベント「Lenovo Tech World Japan 2024」を虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)で開催した。同イベントは、米ワシントン州シアトルで開催された「Lenovo Tech World 2024」の内容を日本向けにアレンジしたもので、「Smarter AI for All ~よりスマートなAIをあらゆる人へ」というビジョンに基づき、レノボが考える生成AIソリューションやそれを支えるPC/サーバ類に関するセミナーや展示をまとめて確認できる。
同イベントでは午前中にレノボ・ジャパンの檜山太郎社長などが登壇する基調講演が行われ、午後には製品やサービスを“深掘り”する分科会と展示会が開催された。この記事では、その内容の一部を紹介しよう。
普及段階に入ったAI 重要なのは「ステップバイステップでの導入」
1本目の基調講演に登壇したレノボ・ジャパンの檜山太郎社長は「AIという言葉を聞かない日はない。我々の調査では、(AIを)『社内で既に活用している』または『一部で利用している』という企業が6割近くとなった。レノボでは『Smarter AI for All ~よりスマートなAIをあらゆる人へ』というビジョンを掲げており、あらゆるユーザーにAIを届けて活用してほしいと考えている」と述べ、生成AIは既に実用段階に入っていることを強調し、それをどのように事業につなげていくのか考えていくのかが大事になると説明した。
檜山氏は、AIの実用について「(生成AIは)段階的に導入していくことが大事だ。自動車の自動運転が良い例で、複数の段階で少しずつ進化させて、最終的に完全な自動運転を実現しようとしている。生成AIも同じで、きちんと段階を踏んで、まずは組織の中で限られた範囲で導入し、その後1人1人にパーソナライズしていき、1つ1つ積み上げていってから全体で導入をしていく必要がある」と語る。
その上で、檜山社長は「PCは、これまで『Personal Computing』のためのデバイスだったが、これからはAIも使える『Personalized Computing』デバイスになっていく」と説明する。PCにAI機能が実装されていくことで、1人1人に最適化された使い勝手を実現するデバイスに進化するということだ。
その実例として、檜山社長はMicrosoftが提唱する「Copilot+ PC」を挙げる。レノボではAMD/Intel/Qualcommの3社のCPU/SoCを採用するCopilot+ PCを取りそろえており、そのポテンシャルを引き出すためのAIエージェントアプリ「Lenovo AI Now」の開発を進めているという。
AI NowはGPU/NPUの演算能力を生かした生成AI機能が搭載されており、例えばプロンプトに「本日のスケジュールは?」と入力すると当日のスケジュールを表示してくれたり、WordやPowerPointなどのファイルを指定して「要約を作成してほしい」と指示をすると、その要約を作成してくれたりする。現時点では英語のみに対応し、日本語を含む他言語には対応していないが、英語圏以外への展開に向けた準備は進められているという。
これまでは、こうした生成AIの機能はクラウドにデータをアップロードすることで初めて利用できた。しかしGPUやNPUの性能が向上したことで、必要な演算処理をローカル(オンデバイス)でも行えるようになった。クラウドにデータをアップロードしなくてもいいということは、データのセキュリティを向上し、プライバシーへの懸念を減らすことにつながる。
デバイスの進化が、安全にAIを使う素地を整えつつあるのだ。
短期間でAIを導入できるソリューションも提供
檜山社長に続けて登壇したLenovoのアミス・パラメシュワラ氏(AI CoE、ソリューション・サービス・グループ アジア太平洋代表)は、レノボが提供するAIサービスの強みを説明した。
パラメシュワラ氏は「我々の調査によると、企業のCIO(最高情報責任者)のうち、61%がAIに関するROI(投資対効果)の評価が難しいと感じており、51%が自社のIT部門にはAIのスキルが足りていないと考えている。そしてAIの効果が少なくとも2~3年で出るとは考えていない」と説明する。要するに、AIの導入には時間がかかり、短期的に効果を期待できないと考える企業は多いのだ。
「重要な事は、そんなに時間をかけずに、短期でAIのソリューションを導入できるようにすることだ」と語るパラメシュワラ氏は、「我々のAIソリューションを活用している顧客企業は、早ければ90日間でAIソリューションを導入できている」とした上で、SAP(ドイツ)、国際自動車連盟(フランス)、Lotus Cars(イギリス)の3社の事例を紹介した。
パラメシュワラ氏は「AIに投資を行う際は、「費用対効果」が高いソリューションにすべきだ。レノボではエンドツーエンドでのAIソリューションを提供しており、よりモダンなAIソリューションを提供できる」と語る。PCからデータセンターまで、レノボが費用対効果の高いAIソリューションを顧客に提供できると強調した格好だ。
提供:レノボ・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月29日
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