iPhoneへの「マイナンバーカード」搭載で、日本は再び世界の「デジタルライフスタイルのリーダー」に(1/3 ページ)
iPhoneにおける「個人番号カード(マイナンバーカード)」のサービスが始まった。このことは、日本が世界最先端の「デジタルライフスタイルのリーダー」になるきっかけと言っても過言ではない。
「デジタル体験作り」では世界に負けていない日本
日本はIT分野で遅れていると、よく言われる。確かに日本には世界で成功しているアプリやサービスがあまりないし、デザイン軽視の使いにくいWebサイトが不評を買うことも多い。
しかし、実は生活をより快適で豊かにする「半デジタル半リアル」の体験作りでは、いくつか世界に誇れる事例を生み出している。例えば、多くの訪日観光客が列をなすチームラボのデジタルアート体験はその1つだろう。一方、実用性の観点では、交通系ICカードの利便性の高さは世界中の人々が感心している。
もちろん、日本にも「ダメな体験」はある。ちょっと前まで、「スマホを決済端末にタッチするだけ」という店舗決済において日本は世界をリードしていた。しかし、ちょうど世界の主要都市において「Apple Pay」「Google Pay」によるタッチ(EMVコンタクトレス)決済が広がる中、日本では決済事業に進出したい企業たちと、その動きを後押しする省庁によって、時代に逆行するバーコード/二次元コード決済が普及してしまった。今日では支払い方法が乱立して、かえって決済が複雑になるという残念な状態となっている。
だが、そんな日本がデジタルライフスタイル分野で再び世界をリードすることになる。iPhoneへの「個人番号カード(マイナンバーカード)」の搭載だ。
iPhoneのマイナンバーカードで何ができる?
iPhoneのマイナンバーカードでは、プラスチックのマイナンバーカードで使える機能の一部をiPhoneの「ウォレット」アプリから呼び出して利用可能だ。具体的には以下のようなことができる。
- マイナポータルにカードなしでログインして、医療費や年金の記録を確認したり、引越しに伴う住所変更手続きを始めとするオンライン申請をしたりする
- コンビニエンスストアの複合機で市区町村から公的証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書など)の交付を受ける
- 対面での本人確認や年齢確認を行う
- オンラインでの本人確認や年齢確認を行う
(※1)対応状況は市区町村によって異なる
これらのうち、1と2についてはAndroidスマートフォンでは2023年5月11日から先行して対応している(参考記事)。その後に行われた法改正を受けて、iPhoneでは1と2に加えて「属性証明」とも呼ばれる3と4の機能も実装された。Androidスマホでも3と4に対応する予定だが、現時点では時期の見通しは立っていない。
iPhoneのマイナンバーカードを受け入れるに当たって、一部の店舗や行政機関では追加対応が必要となる場合もある。例えば医療機関における「マイナ保険証」としての利用は、7月から実証実験を実施した後、9月から医療機関ごとに順次対応することになる。
そのため、当面の間はiPhoneでも利用できるかどうか事前に確認すると共に、プラスチックのマイナンバーカードも一緒に持ち歩くことが推奨されている。
iPhoneのマイナンバーカードは、2026年からは確定申告にも利用できるようになる。また遠からず「マイナ免許証」の機能も利用可能になることが期待されている(時期は未定)。
対応機種
iPhoneのマイナンバーカードは、iOS 18.5以降をインストール済みの「iPhone XS」「iPhone XR」以降のiPhoneで利用できる。
カード情報のインストールは「マイナポータル」アプリを使って行うが、詳しい方法はデジタル庁が用意した特設ページで確認してほしい。
- →マイナンバーカードをあなたのiPhoneの中に(デジタル庁)
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