大阪・関西万博で話題を呼んだ「LIFE2050」が幕張に移設 Apple Vision Proを使った最先端の没入体験を「CEATEC 2025」のIPAブースで味わえる:大阪・関西万博(2/2 ページ)
2024年に続き、IPAがCEATECでApple Vision Proを使った没入型体験シリーズ「Live Anywhere」を披露する。大阪・関西万博で体験した林信行さんがレポートをまとめた。
最高の体験のために作りこまれた空間と小物
いや、それだけではない。実はApple Vision Proと連動するように作られた建物や建物内に置かれたさまざまなアイテムが、Apple Vision Pro単体では得られない近未来体験を生み出している。
例えば教室にはオルガンなどが置かれているが、このオルガンも仕掛けがあり、鍵盤を弾くと、そのことがApple Vision Proに伝わり特別コンテンツの再生が始まる。
他にも、地球儀や掃除道具箱など教室に置いてあるさまざまなアイテムが、IPAが行っているさまざまな事業を象徴したアイコンになっており、近づくとその説明が表示される。
しばらくすると、橋本さんに代わって特別出演のラッパー/ダンサーのIDさん、Eeveeさん、dodoさんらが子供たちと一緒に教室の中で輪を作って歌い踊るが、その踊りの輪に混じったり、真ん中に立ったり、後ろから見ることも可能だ。
こちらも橋本愛さんと同様、1人1人の身体の大きさやちょっとした動きに、画質は荒いのにすごく生身の存在感、そして未来を感じる。
Apple Vision Proで最も未来を感じる体験は、空間ペルソナと呼ばれるかなりリアルに顔を再現する技術での3D映像通話で、こちらも相手の身長(や椅子に座っている場合は座高)がリアルに再現される。星の島の学び舎の体験は、それと比べると画質がかなり荒いが、その代わり顔だけでなく全身が再現されることで、その分の生々しさが伝わってくる。
AR専門家や落合陽一氏も驚いた「物質と映像の融合」
自らもApple Vision Pro用のコンテンツを開発しているMESON(メザン)の小林佑樹代表は、教室の後ろに置かれている地球儀に驚かされたようだ。体験できる人も少ないのでネタバレをしてしまうと、ラッパーらと踊るシーンでは、この地球儀がミラーボールに変わって光を反射する。
「かなりリアルなミラーボールだなぁ」と思っていたところ、後でApple Vision Proを外して教室の中を再びのぞくと、置かれていたのは最初からミラーボールで、最初に教室にあったリアルな地球儀の方がミラーボールを覆い隠していたバーチャル映像だったことに衝撃を受けたという。
メディアアーティストの落合陽一さんも、落合さん自身が追求している「映像と物質の区別が付かない世界をうまく表していたこと」に感心したという。
「特に、ギミックと映像とゴーグルが融合していてよかったと思う」と感想を漏らしている。
五感を刺激する没入体験
体験は裸足で行うことになっているが、これはクライマックスで触覚が関わってくるためだ。よく人間は五感のうちの三感で体感すると、その体験をよりリアルに感じると言われるが、星の島の学び舎ではApple Vision Proによる立体的な映像と音の体験に加え、体験スペースを吹く風や、ウーハーから響いて来るごう音などの触覚も関わってくることも、ただのApple Vision Proでの体験とはレベル違いの体験になっている秘密だろう。
ちなみに、IPAがCEATECでこのApple Vision Proを使った没入型体験シリーズ「Live Anywhere」を披露するのは2025年が2回目だ。2024年にも縁側のある日本家屋を作って高木正勝さんのピアノと閑喜弦介さんのギター、U-zhaan(ユザーン)さんのタブラ、武田カオリさんのボーカルによる演奏などが体験できるコンテンツを作っていた。
地域DXやIoTセキュリティの取り組みも紹介
IPAでは、この没入型体験に加え、「地域DX推進ラボ/地方版IoT推進ラボ」と称してSociety 5.0の実現に向け、地域課題に挑む12のラボの取り組みを紹介している。
現場でのAI活用や人材育成に関するパネルディスカッションも実施する他、「JC-STAR制度」パートナーズ&グローバルパークと称して、ネット家電などのIoT機器のセキュリティを「星の数」で可視化するラベリング制度「JC-STAR」をアピールする予定だ。
また、幕張メッセの国際会議場にて10月15日には「―Society5.0実装のフロンティア― データとAIで未来を拓く」と題した講演を、10月16日にはIPA全センターが集結する1日限りのスペシャルセッション(データとAIの時代を見据えて:IPAの挑戦)を開催する。
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