最速クラスの高速応答と低価格を実現した19インチ液晶ディスプレイ──FlexScan S1911-SA(2/2 ページ)

» 2006年06月30日 00時00分 公開
[林利明(リアクション),PR/ITmedia]
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 OSD機能と操作ボタン類は、従来のモデルと比べて簡略化されている。用途に合わせたプリセット画面モードの「FineContrast」は、「sRGB」、「Text」、「Custom」の3種類となり、OSDメニューで切り替えるようになった。従来は「Picture」や「Movie」もあり、前面ボタンで直接ローテーションできたので、モード切り替えを使用するユーザーにとっては使い勝手が若干悪くなったのは否めない。

プリセット画面モードの「FineContrast」は、「sRGB」、「Text」、「Custom」の3種類となった。モードの切り替えはOSDメニューで行う

 OSDメニューの調整項目は、輝度、色温度(5000/6500/9300K)、RGB各色のゲインという内容だ。調整できる項目は、FineContrastモードによって異なる。sRGBモードでは輝度のみ、Textモードは輝度と色温度、Customモードではすべて調整可能だ。実用上は、これだけ調整できれば十分だろう。FineContrastモードや調整項目の設定は、デジタルとアナログの2系統入力で別々に記憶される。SXGA未満の解像度は、常にフルスクリーン拡大となる。

 前面の操作ボタンは、左から順に、スピーカー音量の小と大、入力切り替え、左、決定、右、電源という並びだ。操作ボタンの横に明るさセンサーを備えており、周辺の明るさに合わせて画面の輝度を自動調整(「BrightRegulator」機能)することができる。BrightRegulatorは、OSDで無効にすることも可能だ。

 細かい点だが、青色LEDの電源ランプも、OSDから消灯できる。使用時に青色LEDの光が気になるというユーザーの意見があったことから、対応が盛り込まれた。青色LEDは意外と存在感があるので、点灯と消灯で使い比べてみるとよいだろう。

前面の操作ボタン。OSDの呼び出しは決定ボタンで行う。OSDメニューを操作する上/下ボタンがなくなったが、それほど不便には感じない。輝度はOSDメニューを呼び出さなくても、左/右ボタンで直接変更できる

 なお、S1911ではPCとのUSB接続機能が省かれているため、FlexScanシリーズ用のコントロールユーティリティ「ScreenManager Pro for LCD」には非対応だ。このため、Windows上から調整項目を変更したり、アプリケーションに合わせて画面モードを自動変更する「Auto FineContrast」は利用できない。

TN系液晶パネルゆえの限界はあるが、表示性能は優秀

 S1911の液晶パネルはTN系なので、VA系やIPS系の液晶パネルに比べると発色性能で劣るのは否めない。色視野角が狭いため、画面を見る角度が少し変わっただけでも色が変化する。これは、左右よりも上下の視野角で顕著だ。また、画面と約50cmの視聴距離で正対した場合も、画面の上部と下部で輝度差が見られる。

 色の再現性と階調性は輝度100%のsRGBモードで確認したが、こちらはなかなか良好だ。黒から白の連続グラデーションではトーンジャンプが少なく、カラーチャートや色見本と画面を見比べても、ほぼ正確な発色だ。TN系の液晶パネルを採用した低価格な製品は、黒つぶれとトーンジャンプが目立つことが多いのだが、こうした製品とは比較にならないほどS1911の発色は素性がよい。

 見た目の感覚で述べると、中間調からハイライト領域にかけては、発色の深みが少々足りないように感じた。画像のトーンカーブに例えると、中間調からハイライトをアーチ状に補正したようなイメージだろうか。最大表示色が1619万色であることも若干は影響していると思われるが、実用上は大きな問題ではない(厳密に見れば、おもに高彩度領域の階調で1677万色フルカラーが勝る)。

 動画の表示性能は優秀だ。黒白間で6ms、中間階調で2msという高速応答が活きている。「高速応答ならば残像感が少ない」とは必ずしも言い切れないのだが、映像コンテンツの残像感はほとんど気にならないだろう。ただし、アニメ映像やアクション系ゲームだと、スクロールシーンで微妙なブレを感じる場面もある。過去にも述べているが、この辺りはユーザーの感覚が大きい部分であると同時に、現在の液晶デバイスが抱える弱点の1つなので、あまり神経質に考えるのはよくない。

動画性能を最重視しつつ、全体的な画質と機能も求める人に

 高速応答のTN系パネルというのは、現在の液晶ディスプレイで1つの売れ筋を形成している。その中で、S1911はやや高価なグループに入るが、さまざまな付加価値を考えると、コストパフォーマンスはトップクラスだ。

 付加価値として挙げられるのは、2系統入力、入力系統ごとの設定記憶、自動輝度調整機能のBrightRegulator、スタンドのArcSwing 2、基本的な画質の高さ、といったところだ。購入製品を検討する際にもっとも重視するのは動画性能だが、全般的な機能や静止画の画質も妥協したくない人にお勧めだ。

 なお、EIZOダイレクトのBTOサービス「MyStyle 112」で「スタンダード(オーバードライブ)」の液晶パネルを選択し、スタンドを「チルトスタンド」、スピーカーを「なし」にすると購入価格(税込み)は5万4800円、さらにMyStyle 112限定セットの保護パネル&クリーナーを加えても5万6900円に下がる。スタンドとスピーカー以外は本製品と同等なので、少しでも安く買いたい人は検討してみよう。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日