ノート型ワークステーションは、業務用途をメインにした質実剛健でハイスペックなノートPCだ。取引先や現場などに出向く機会が多いデザイナーやクリエイター、エンジニアなどに重宝されている。ノート型ということで何かと制約も生じるが、自分のデスクで作業をする場合、外付けの液晶ディスプレイを追加することで、仕事環境が一気に快適化される。
オフィスで使われるPCはノート型が当然のようになってきているが、デスクトップ型と比べて使い勝手が落ちる部分があるのも事実だ。マウスやテンキーなどは、外付けで追加している人も多いのではないだろうか。
ディスプレイ環境にも同じことが言える。機能的に「足りない」わけではないが、ノートPCの画面は解像度が狭く、発色性能もいまひとつなのが一般的だ。こうした事情から、「高性能なノートPC」+「液晶ディスプレイ」というニーズが高まっている。
業種的に見ると、高性能なPCとともに、大画面/高解像度/高画質の液晶ディスプレイが求められる環境が多い。具体的には、クライアント先で制作物を見せる機会が多い3D系デザイナー/クリエイターや、現場に出向くことが多い建築系/機械系CADエンジニアなどだ。そこで、ノートPCで単体の液晶ディスプレイを使うメリットと、そのハウツーを紹介してみたい。上記のような業種だけでなく、いろいろなオフィスでも応用できるので、興味があればぜひトライしてみてほしい。
最低限の条件としては、ノートPCに外部ディスプレイ出力端子があることだ。D-Sub15ピンのアナログRGB出力でも、Mac Bookのようなデジタル出力でもかまわない。
また、ノートPCのOSがWindows Vistaで、なおかつGUIにWindows Aeroを利用するときは、もう1つ条件が加わる。
2台以上のディスプレイでWindows Aeroを使う場合は、グラフィックスメモリ(VRAM)の容量に注意したい。2台の画面解像度がWUXGA(1920×1200ドット)以上になると、256Mバイト以上のグラフィックスメモリが必要になる。メインメモリの容量にも条件があるが、差し当たっては1Gバイト以上なら問題ない。
マルチモニタ時の必要VRAM容量
画面解像度 | 総ピクセル数 | 必要VRAM容量 (Basicモード) | 必要VRAM容量 (Windows Areo) |
SVGA(800×600)×2台 | 960,000 | 32MB | 32MB |
XGA(1024×768)×2台 | 1,572,864 | 64MB | 64MB |
SXGA(1280×1024)×2台 | 2,621,440 | 64MB | 128MB |
WSXGA+(1680×1050)×2台 | 1,764,000 | 128MB | 128MB |
UXGA(1600×1200)×2台 | 3,840,000 | 128MB | 128MB |
WUXGA(1920×1200)×2台 | 4,608,000 | 128MB | 256MB |
業務用のノートPCにWindows Vistaを導入したり、Windows Vistaモデルを購入するのは少し先の話かもしれないが、おおよそでも覚えておくとよいだろう。Windows Aeroについては、マイクロソフトの資料が詳しい。
今回の記事で用いた機材は、ノート型ワークステーションがデルの「Dell Precision M65」(以下、M65)、液晶ディスプレイがナナオの「FlexScan S2411W」(以下、S2411W)と「FlexScan S2000」(以下、S2000)だ。M65のOSは、Windows Vista Ultimateである。S2411WとS2000の詳細は、ナナオのWebサイト、もしくは過去の記事、「動画スペックに磨きをかけた24.1インチWUXGA液晶ディスプレイ──FlexScan S2411W」、「10万円以下とは思えぬ機能とクオリティの20.1インチ液晶ディスプレイ──FlexScan S2000」を参照してほしい。
まずは、M65とS2411W、およびM65とS2000で構築した、いろいろなデュアルモニタ環境を見ていただこう。
M65の液晶ディスプレイは標準でWUXGAの解像度を持っているため、ノートPCとしてはかなり良好な作業環境が得られる。しかし、デュアルディスプレイで単純に解像度をアップするだけでも、作業効率が大きく高まる。一方はCGソフトやCADソフトなどの業務ソフト、もう一方はブラウザやメーラー、各種オフィスアプリケーションといったように、画面を十分なサイズにしたうえで、複数のアプリケーション画面を同時に表示しておける。もちろん、一方は2Dのモデリング画面、もう一方は3Dのレンダリング画面といったように、ひとつのアプリケーションでふたつの画面を使い分けることも可能だ。
S2000のようなローテーション機能を持った液晶ディスプレイなら、縦長の文書やデザイン、Web画面などを大きく表示できて快適だ。オフィスのデスクにはスペース的な制約があると思うが、ディスプレイアームを使えばかなり柔軟に設置できる。
また、発色性能が重要となるデザイン業務などでは、S2411WやS2000の高画質が生きてくる。最近はノートPCでもそれなりに高画質な液晶ディスプレイを持っているが、きちんとチューニングされたS2411WやS2000にはかなわない。カラーマネジメントが要求される環境で、ノートPCの画面だけで作業しているケースは皆無だろう。
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日