ノートン 360は、コード名「Genesis」として開発が進められていた次世代セキュリティ“サービス”だ。ノートン 360のメイン画面は、この製品の特徴を端的に示す4つの大きな項目で分けられている。ウイルスなどからPCを保護する「PCセキュリティ」、オンラインでの取引を保護する「トランザクションセキュリティ」、ファイルのバックアップを行う「バックアップと復元」、そしてシステムのパフォーマンスを向上させる「PCチューンナップ」の4つだ。
これらの項目を見て、同社の製品ラインアップに通じるもの――「ノートン・インターネットセキュリティ」「ノートン・コンフィデンシャル」「ノートン・セーブ&リストア」「ノートン・システムワークス」を想起するのはたやすい。しかし、ノートン 360は既存の製品をバンドルしたスイートではなく、各パッケージの定評ある技術を踏襲しつつも、1からコードを起こして設計されたまったく新しいサービスだ。
現行のソフトウェアは、パッケージであれダウンロード版であれ、製品の“マスター”という概念が存在する。開発が完了し、できあがった完成品がマスターだ。しかし、ほとんどの製品が定期的なバージョンアップを予定しており、マスター=最終品ではない。バージョンアップの内容には新機能の追加や強化もあれば、バグフィックスも含まれる。あまりに深刻なバグであればパッチで対応する場合もあるが、基本的にはバージョンアップ版が出るまで最初のリリースのままずっと使い続けることになるだろう。
これに対して、ノートン 360の“サービス”たるゆえんは、その時点で提供できる最新のセキュリティを継続的に提供していく点にある。連続的に製品の品質が向上していくため、どの時点で購入してもその時点の最新版が利用できるということだ。利用を継続する場合も、次期製品のリリーススケジュールなどに関係なく、単純に1年延長するだけ。いわばセキュリティコンサルタントと契約しているイメージに近い。
なお、ノートン 360は期限が過ぎるとすべての機能が使用できなくなる。ソフトウェアとしては大胆な試みのようにも思えるが、サービスとしては至極もっともな設計だ。購読期限切れのセキュリティソフトがいかに危険かは前述した通り。不完全な機能は自分が無防備であることを忘れさせてしまう要因にもなるのだ。むしろ、すべての機能を使えなくさせることで、ユーザーにはっきりと危険性を認識させるほうが望ましいと言えるだろう。
多くのユーザーは、パソコンの主な用途にWeb閲覧や電子メールを挙げるだろう。今パソコンを利用するということは、インターネットを利用することと同義になりつつある。パソコン歴が浅くてもオンラインショッピングやネットバンキングを活用している人は多い。しかしその一方で、セキュリティ意識の低いユーザーがオンライン犯罪に遭遇する確率も高くなっているということだ。特にインターネット上で金銭のやりとりを行うサービスを利用する際は、パソコン自体のセキュリティ対策に加えて、フィッシング詐欺などに対する保護も必要不可欠になってくる。
もちろん、ノートン 360は安全なインターネットライフを実現するために必要な機能を完全に網羅している。例えば、パソコン自体の安全性を確保する「PCセキュリティ」の機能を挙げると、ウイルスとスパイウェアからのリアルタイム保護を行うAuto-Protect、パターンファイルなどの自動更新を行うLiveUpdate、電子メールのスキャン、Windows Updateの自動受信、侵入防止、弱いパスワードの検出、ブラウザの脆弱性検査、ネットワーク乗っ取りの検出を行うネットワークアドレス検査など、枚挙にいとまがない。
また、オンライン上の取り引きを保護してくれるトランザクションセキュリティでは、「ノートン・コンフィデンシャル」同様に、相手が信頼できる相手かどうかをさまざまな方法で複合的に検証してくれる。ショッピングサイトやネットバンクなど、フィッシング攻撃を受けやすいWebサイトに接続したとき、そこが正規のWebサイトかどうかを認証してくれるので、安心してサービスを利用できるわけだ。
そして、ノートン 360の最も大きな特徴は、これらの多彩な保護機能をユーザーが意識することなく、ほぼ自動的に享受できる点だ。例えば通常セキュリティソフトをインストールすると、最初に完全スキャンを行ってすでにウイルスに感染していないかどうかをチェックするように促してくるが、ノートン 360はいちいちそのような表示をせず、代わりにバックグラウンドですみやかにスキャンを行う。パソコンを使う際の快適さを優先し、“当たり前”のことをたずねてユーザーを煩わせない、という姿勢がここにも表れている。
快適な使用感で付け加えるなら、従来の「ノートン・インターネットセキュリティ2007」(以下、NIS 2007)に比べて若干パフォーマンスが向上した点も挙げておこう。昨年末に行ったベンチマークではリアルタイムスキャンに48秒かかっていた処理が、ノートン 360では44秒で終了している。NIS 2007に比べて機能が増えていることを考慮すると大きな改善点と言えるだろう。
ノートン 360は処理の自動化、最適な初期設定値、バックグラウンドタスクの優れたスケジューリングなど、「使っていることを意識させない」ことに重点が置かれている。パソコンに問題が発生したときでも極力ポップアップを表示しないようになっており、初心者を煽ってパニックを招くようなことがない。
これは自分だけでなく、他人にノートン 360を勧める場合にも見落とせないメリットだ。少々パソコンに詳しいユーザーは、その友人や両親から無償サポートのまねごとをさせられているケースは多い。そのようなときに、セキュリティからバックアップまで「インストールすればあとはOKだから」の一言で済ませられるのは大きい。また、複数のパソコンを所有する家庭が増えていることを反映し、1ライセンスで3台までインストールが可能になったのもうれしいポイントだ。コスト面からサブマシンにセキュリティを導入せず、その結果ネットワーク全体のリスクが高まってしまうという従来の問題点もカバーできる。
もちろん、ノートン 360は単に使いやすいだけではない。先行する別製品で採用されている先進技術が盛り込まれており、ウイルスやフィッシングサイトの検出率ではすでに大きな実績がある。同社が2006年11月に行ったアンケートの結果によると、オンライン犯罪などの不安から、14%のユーザがWeb上の個人情報入力をやめ、22%のユーザーはオンライン取り引きをしなくなったとあるが、そのような人に是非使ってもらいたいサービスだ。
さて、今回はノートン 360の新しい設計思想を説明し、それがインターネットライフを安全に楽しむためにいかに有効であるかを見てきた。次回は残る2つの機能、「バックアップと復元」「PCチューンナップ」を紹介していこう。
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提供:株式会社 シマンテック
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年9月30日