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» 2007年09月14日 10時00分 公開

ナナオイズム:第2回 EIZOディスプレイ工場は進化し続ける――さらなる高品質と顧客満足を求めて (1/3)

高画質、高機能、高信頼性といったキーワードで語られるナナオの液晶ディスプレイは、一体どのように作られているのだろうか。今回は秘密のベールに包まれた液晶ディスプレイ工場を訪問し、ナナオのこだわりが形になる瞬間を見ていく。さらに“EIZOクオリティ”を陰で支える品質管理とサポートにもスポットを当てる。

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国内一貫生産がEIZOクオリティを生む

 石川県白山市に本社を構えるナナオは、その敷地内に液晶ディスプレイ製造工場も有する。ここで製造された液晶ディスプレイは、日本国内はもちろん、欧州や北米などの海外市場に向けても出荷される。製造コストで有利になる海外に工場を持たず、開発から製造まで一貫した国内生産体制を敷くことで、品質面での差異化を図っているのだ。EIZOブランドの高評価を定着させた大きな要因は、この生産体制にあると言える。

 液晶ディスプレイ工場は本社のオフィス棟と直結しており、製造現場で発生した問題などは品質管理部門や研究開発部門へ即座にフィードバックされ、速やかに対策が講じられる。こうした生産過程でのフットワークの軽さも国内一貫生産ならではの利点だろう。工場内は清潔で整理整頓されており、EIZOブランドの真新しい液晶ディスプレイがびっしりと並べられて製造工程を流れていくさまは壮観だ。

液晶ディスプレイの生産ライン(写真=左)。ナナオ本社の簡略図(写真=右)。ビルが直結して同じ場所にあるので、開発から生産、品質管理までが一貫して行える

FlexScanシリーズを効率的に生産

 液晶ディスプレイの製造現場は、汎用の「FlexScan」シリーズと、医療向けの「RadiForce」シリーズやグラフィックス市場向けの「ColorEdge」シリーズで分かれている。FlexScanシリーズは大量生産に適したライン方式、RadiForceシリーズは少量多機種の生産を効率よく行えるセル方式を採用。いずれも製造する液晶ディスプレイによって、工程のレイアウトが柔軟に変更できるように工夫されている。

生産ラインによる組み立ての様子

 ラインによって作業員の構成やロボットの導入といった違いはあるが、製造の工程自体は変わらない。パネル単体から組み立てが始まり、基板の搭載、板金の装着、外装の取り付けといった工程を経て、調整および検査に入る。この調整と検査の工程は、ナナオが最も注力している点で、他社製品との差異化につながる部分だ。

 調整および検査については、最初に初期画面をチェックして、画面が正しく表示されるか、RGBの色が正しく出るかをチェックする。次はプリヒート(エージング)の工程だ。ここでは各製品を長時間通電し、同じ画面を表示し続けることで、液晶パネルの残像不良や半導体の初期不良を検出する。

 プリヒートの後は、明るさと色の調整だ。専用の測定器と調整用ソフトを用いて、ディスプレイの輝度と色温度を実際に計測し、最適な画質レベルになるように輝度と色温度を補正する。この工程に必要な時間は製品によって大きく異なり、FlexScanシリーズに比べて、RadiForceシリーズやColorEdgeシリーズでは長い時間がかかる。RadiForceシリーズやColorEdgeシリーズは求められる高い品質に見合った製造工程が用意されているというわけだ。

 そして、製造工程の最後に待っているのが、人間の目による表示品質の確認作業だ。ここでは測定器よりも感度に優れた人間の目によって、測定器ではわずかな差でしか現れない微妙な色かぶりや、画面の細かな揺れ(ジッター)が発生していないかを判断する。この工程を担当する作業員は教育を経て、表示品質を見る目が養われてから配置されるという。

プリヒート中のディスプレイ(写真=左)。人間の目による表示品質の確認作業(写真=右)

特定用途向けの液晶ディスプレイをじっくりと生産

 前述の通り、RadiForceシリーズやColorEdgeシリーズは、FlexScanとは別に製造される。これらは生産量が比較的少なく、品種が多いという特徴を持つ製品だ。全体的な製造の工程はFlexScanと変わらないが、複数の作業員が一列になって製品を分業で製造していくライン方式ではなく、各ディスプレイを1台ずつ台車の上に載せて搬送するセル方式を採用する。

組み立て工程は1つのセルにつき3〜5人の流れ作業で行う(写真=左)。各ディスプレイを1台ずつ台車の上に載せて搬送する(写真=右)

 さらに特徴的なのが、調整および検査の工程だ。こうした特定用途向けの液晶ディスプレイは、機種によって調整順序と調整時間が変わるため、いちばん効率的に製造できるように、ソフトウェアの支援と人間の判断で作業を最適化しているという。具体的には、暗室で時間をかけて行われる画面表示均一性(ユニフォミティ)の補正などが挙げられる。

 1台のディスプレイを製造するのにかかる時間は、FlexScanシリーズよりRadiForceシリーズやColorEdgeシリーズのほうがかなり長い。FlexScanシリーズに比べて、より正確な階調性や画面均一性が求められるRadiForceシリーズやColorEdgeシリーズでは、長い時間をかけて細かな調整と厳密な検査が行われている形だ。

技能育成センターで組み立てのレクチャーを受けている様子

 ほかには、作業員の教育を行う技能育成センターもある。作業員はすべて基本的な知識と技能をここで身につけてから、工場のラインに配置される仕組みだ。技能は、組み立て、動作検査、外観検査、梱包、配膳、専門技術といった分野に分かれており、各作業員がそれぞれの分野でどの技能レベルを習得しているかが、一覧表で掲示されている。これにより、工場内にレイアウト変更が発生した場合、最適な人員配置が効率的に行えるほか、従業員のモチベーションアップにつながっているという。

 また、工場ラインでの離職率が低く、長期間仕事を続ける女性も多いと聞く。長期間の勤務と技能育成によって作業員が熟練した技術を持ち、開発段階での高い技術レベルを量産工程でも維持できる体制が整っていることは、工場の設備投資だけではまかなえない品質管理のポイントだ。こうした作業現場レベルの体制作りにおいても、国内一貫生産は有利に働いている。


 今回の工場見学を終えて、製造現場での徹底した効率化と人材の育成に対する配慮、人間の目と機械の目による詳細な品質チェックを欠かさないこと、こうした製造現場の工夫が積み重なって“EIZOクオリティ”を形成していることが実感できた。

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