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» 2007年09月28日 16時30分 公開

インタビュー:写真のプロに聞く液晶ディスプレイの選択基準──本格フォトレタッチに最適な作業環境は? (2/2)

[ITmedia]
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面倒な色合わせから開放されたデジタルツール

 熊谷氏の作品は写真集としてまとめるだけでなく、大判プリンタで出力したり、Webにアップするなど、さまざまな見せ方で発表している。また、普段の業務でも、ポスターやカタログなどの商業印刷、インクジェットプリンタによる印刷、Web、DVD、グッズなど、最終的な仕上がりの形態はまちまちだ。そのため、用途に応じてsRGB、Adobe RGB、CYMKなどのカラースペースを使い分けている。だからこそ、CMYKの色域をサポートし、Adobe RGB比96%の色域を表示できるのがありがたいのだという。

 CG241Wが解像度WUXGA(1920×1200ドット)に対応する点も熊谷氏が気に入ったポイントの1つだ。「ワイド画面は、Photoshopなどのツールパレットを画面の端に置いても、写真の全体を表示できるので、レタッチ作業には好都合です。サイズに関しては、設置スペースさえ許せば、大きければ大きいほどいいと私は思っています。写真を大きく表示して鑑賞することは、写真の醍醐味(だいごみ)の1つですから」(熊谷氏)。

 写真(作品)データ、画面表示、印刷物の色を合わせるカラーマネジメントにおいて重要なことは、液晶ディスプレイが常に正しい色を表示できるように調整しておくことだ。それには液晶ディスプレイのキャリブレーションが欠かせない。

 液晶ディスプレイ内部の色表示設定を直接調整するハードウェアキャリブレーションに対応したCG241Wでは、付属ソフトウェアの「ColorNavigator CE」 *と、サードベンダー製キャリブレーションセンサーを使ってキャリブレーションを実行する。カラーマネジメント、あるいはキャリブレーションなどと聞くと、「難しい」、「面倒そうだ」といった印象を持つ人が中にはいるかもしれないが、熊谷氏はむしろ楽で簡単だという。

*「ColorNavigator CE」は2007年内に「ColorNavigator 5.0」と統合され、大幅に機能拡張される予定

「デジタル時代になって大きく進化したのは、厳密で正確なカラーマネジメントが手軽にできるようになったことです。ポジフィルムで撮影したことがある人なら、色合わせの苦労を知っているでしょう。フィルムというのは、メーカーや製品ごとの違いはもちろん、エマルジョンナンバー(生産ロット別の乳剤番号)によっても発色が異なります。また、増減感処理によるカラーバランスや濃度の変化、現像所によるクセもあります。どのフィルムを使って、どんなライティングで、どんな現像をするか。そして、それをどんな紙でどう印刷するか。それらをすべて把握・管理しなければならないフィルムに比べれば、デジタルのカラーマネジメントはずっと楽です」(熊谷氏)。

付属ソフト「ColorNavigator CE」とセット販売されているセンサー「Eye-One Display2」を使ってキャリブレーションを実行中の熊谷氏

 しかも、CG241W付属のColorNavigator CEは、操作のほとんどが自動処理で行えるようになっている。ナナオの直販サイト「EIZO Direct」でセット販売されているX-Riteのキャリブレーションセンサー「Eye-One Display2」と組み合わせて使用すれば、表示される画面の指示に従って作業を進めていくだけで、環境光や使用する印刷用紙に適したプロファイルを素早く作成できる。熊谷氏にとって「一度慣れてしまうと手放せない利便性」だという。

「カメラや照明機材はもちろん大切ですが、撮影した写真をきっちりと表示・鑑賞できる環境を整えることも撮影機材と同じくらい重要です」。幅広い色域をカバーし、簡単な操作で正確な発色を得られるCG241Wは、熊谷氏の創作活動に欠かせない道具の1つとなるだろう。

熊谷直夫氏プロフィール

熊谷直夫 Naoo Kumagai
写真家。東京新宿生まれ。日本アドスペース株式会社(ザ・スタジオ)の代表取締役。1991年マガジンハウス、デザイン・オブ・ザ・イヤー受賞。1994年から10年間「新宿の顔100人」写真展の代表を務める。また、2000年には出版部を開設し、フリーペーパー「イマジン」を創刊するなど、広告や出版、Web等の幅広い分野で精力的な活動を行っている


熊谷氏の作品「Free as a Bird」(左)と「Budweiser」(右)

熊谷氏が撮影・プロデュースを手掛けた杉村陽子写真集「ONE MORE」(左)と吉川ひとみ写真集「IMPACT」(右)

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